th_satです。
Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
ここまで過去3回にわたり(10月13日号、10月23日、11月6日号)、ビットコインをめぐるビジネス面の動向(ペイメントや社会生活での利用や、金融機関での金融商品としての取り扱いなど)、規制の動向、その他で気になる個別トピックについて、ゆるく紹介しています。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
FTX破綻をうけ米国下院公聴会を開催へ(出典)
11月11日、FTXがチャプター11を申請したことを発表しました(出典)。
Financial Timesの報道(出典)によれば、FTXは90億ドルの負債に対し、10億ドル以下の流動資産しか保有していなかったともされています。11月2日には、クリプトヘッジファンドであるAlameda Researchのバランスシートについて、$14.6bの資産において最大の資産は$3.66bを占める「アンロックFTT」で占められているとする報道が出ていました(出典)。また、Alameda Researchについては、Alamedaの最大の資産が、FTX発行する「FTXトークン(FTT)」であり、純資産額の88%を占めていることから、「Celsius Networkを破滅させたのと同じflywheelスキームにかかっている」とする記事も出ていました(出典:図の出典も同じく)。
財務省関東財務局も、11月10日には「利用者に明確な理由を説明することなく、親会社であるFTX Trading Limitedの方針であるとして、再開の日程を明示しないまま、利用者に対する預かり資産(法定通貨及び暗号資産)の出金(出庫)を停止している」として、FTX Japan株式会社に対する行政処分を発表しています(出典)。
その後、Sam Bankman-Fried氏とFTXの元同僚2名は、バハマ当局の「監視下に置かれている」とされています(出典)。バハマ証券取引委員会は、FTX Digital Markets Ltd.のすべてのデジタル資産を、委員会が管理するデジタルウォレットに転送する措置をとったと発表しています(出典:図の出典も同じく)。
FTXの新CEOは、破産手続きの一環としてデラウェア州の破産裁判所に提出した文書で「今回のような企業統制の完全な失敗と、信頼できる財務情報の完全な欠如を見たことはない」と非難しているようです(出典)。
こうした環境を踏まえ、米下院は、FTXの破綻とデジタルアセットエコシステムへのより大きな影響について公聴会を12月に開催すると発表しています(出典)。この発表では、「FTXの崩壊は、100万人以上のユーザーに甚大な被害をもたらした。この出来事は、この1年間に崩壊した暗号通貨プラットフォームの多くの例のうちの1つに過ぎない。デジタルアセット事業者が、連邦政府の強力な監督と明確な道路規則の外で陰に隠れて活動できないことを保証すべく、立法措置が必要である」といった見方が示されており、立法面も含め、今後の米国の動きに注目が集まります。下院金融委員会のマキシン・ウォーターズ委員長は、「暗号通貨取引所FTXのような事業体が、連邦政府の強力な監督と明確な規則のないところで陰で活動すると、顧客にとって危険である」と語っています(出典)。なお、公聴会には、Sam Bankman-Fried氏の他、Alameda Research社、Binance社、FTX社 および関連団体などが招集される見込みです(出典)。
なお、技術的な側面からは、Vitalik氏が、中央集権型取引所の破綻を踏まえ、暗号技術を用いた解決アイデアを発表したことにも注目が集まっています。Balaji Srinivasan、Coinbase、Kraken、およびBinanceとのディスカッションを通じてまとめたものです。取引所がオンチェーンで保有する資金がユーザーに対する負債を十分にカバーできることを示す暗号的な証明を作成することができるのではないかという主張であり、さらには、取引所が、預金者の同意なしに預金者の資金を一切引き出せないシステムも構築可能であるとしています。ZK-SNARKsを使って、proof-of-liabilitiesプロトコルのプライバシーを大幅に簡素化し、改善することができるとのこと。長期的には、すべての取引所がノンカストディアルとる方向が望ましいものの、短期的にはカストディアルな取引所とノンカストディアルな取引所(UniswapなどのDEX)が混在する中で、カストディアルな取引所の安全性を向上させる最も簡単な後方互換性のある方法は、proof of reserveを追加することだとしています。(出典)
※ 本件を巡っては、その背景や全貌がまだ明らかになっていないため、執筆時点で示されている内容に基づき記載したものです。
2.ビジネス関連の動向
メルカリ、アプリからビットコインを購入可能に(出典)
メルカリが、メルカリグループ日本事業におけるFintechの位置付けと今後の取り組みを発表する事業戦略発表会「メルカリ Fintech事業戦略発表会 2022」を開催しました。
この中で、これからのメルカリグループ日本事業の成長を支えるFintech領域における新たな取り組みとして、メルカリとして初となるクレジットカード「メルカード」の提供、常時ポイント還元の開始、と併せて、「暗号資産事業の方向性」について発表を行いました。
具体的には、「Fintechの今後の事業構想」の一環として、「売上金をデジタルアセットへ交換する体験への拡大」を掲げています。
2023年春(予定)には、これまで拡大してきたメルカリのエコシステムに暗号資産が加わり、「メルカリ」アプリから暗号資産(ビットコイン)を誰もが簡単に購入できる機能の提供を開始するとのことです。すでに本人確認を完了している顧客であれば「メルカリ」アプリから最短1分で申込みが完了し、「メルカリ」で不要品を売って得た売上金を利用して「メルカリ」アプリ内から暗号資産を購入できるようになる等、誰もが簡単・身近に暗号資産を保有できる未来を描いているとしています。
なお、暗号資産を購入できる機能は、メルカリ100%子会社である、株式会社メルコインより提供し、株式会社メルコインの暗号資産取引口座への口座開設申込みとなるとのことです。
Apple Pay、Circle上で利用可能に(出典)
Circleは、Circleを使って構築された事業者が、Apple Payを受け入れることによって、売上を向上させることができるようになったと発表しました。
暗号ネイティブのビジネスにとっては、これによって、従来型の方法を用いた支払いを好む顧客・暗号資産を全く使用しない顧客との間で取引を行いやすくなるほか、顧客が希望する取引所でApple Payを使って暗号資産を購入することも可能になるといったインパクトが期待されるとしています。
企業もこの機能強化を利用して、リテール決済をUSDCで決済するデジタル通貨に移行することができるとのことです。
9月末にCircleが開催したカンファレンスConverge22において、Circleは、ベンダーがETHやBTCなどの暗号通貨での支払いを受け付けられるようにする追加のマーチャントサービスと、支払い体験を向上させるさらなる機能を発表しており、今後、さらに多くの決済手段を提供するとのことです。
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