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「制度は“実装”で変えられる」──アジャイルエナジーX・立岩健二氏が語る“ビットコインの公共的可能性”【中編】

「制度は“実装”で変えられる」──アジャイルエナジーX・立岩健二氏が語る“ビットコインの公共的可能性”【中編】

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yutaro
Jul 29, 2025
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「制度は“実装”で変えられる」──アジャイルエナジーX・立岩健二氏が語る“ビットコインの公共的可能性”【中編】
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Alexandre Stachtchenko氏:

さて、よくある質問ですが、こうした「余剰電力を使ったビットコインマイニング」は本当に採算が取れるんでしょうか?
特に、たとえば稼働時間が年間30時間しかないとしたら、初期投資(ASICハードウェアなど)に見合う利益が出るとは思えない、という声もありますよね。
どんな条件下で採算が合うのか? 収益性を左右する要素とは何でしょうか?

立岩健二氏:

はい。Agile Energy Xでは、まさにその問いに挑戦しています。
私たちの構想には、最終的に2つの柱が存在します。


こんにちは!yutaro です。

本日のPro向け「BTCインサイト」は、前回に引き続き再エネ×ビットコインの旗手・立岩健二さんのインタビュー動画を取り上げました。

立岩さんは、再生可能エネルギーの地産地消を推進するスタートアップ「アジャイルエナジーX」の代表として、次世代の分散型エネルギー活用に挑んでいます。


1時間超におよぶボリューム満点なインタビュー動画ですから、前編、中編、後編と3回に分けさせていただいています。

(※今回は中編です、前編は コチラ )


立岩健二氏:

私たちの構想には、最終的に2つの柱が存在します。

1つ目は、「再エネのカーテイルメント対策としてのビットコインマイニング」。
こちらは稼働時間が長めで、時間帯や季節によって余剰電力が発生する場所に設置します。
とはいえ現時点(2025年)では、まだそれほど大規模なカーテイルメントが起きているわけではないので、稼働率はそれほど高くありません。

ですが、将来的に本当に日本がカーボンニュートラルを目指すなら、地方に大量の洋上風力などを建てなければならず、ものすごい量のカーテイルメントが発生することは確実です。

2つ目は、「グリッド混雑対策としてのビットコインマイニング」です。
こちらは稼働率が非常に低くなる想定です。年間稼働時間は数%以下でしょう。

ではこの場合、ビットコインを掘ることで収益が出るのか? その答えは「ノー」です。
このケースでは、マイニング報酬ではなく「送電インフラの拡張コストを削減した分を、電力会社とシェアする」という収益モデルを想定しています。

つまり、「掘って稼ぐ」から「負担を減らして報酬を得る」という仕組みですね。


規制上の障壁:電力会社はマイニングで送電網を置き換えられるか?

立岩健二氏:

この仕組みは理論上可能ですが、現時点では法的・制度的な問題があります。
日本の規制では、送電会社(たとえばTEPCOパワーグリッド)は「混雑が発生すればインフラを拡張しなければならない」と定められています。

つまり「ビットコインマイニングを使えば解決できます」と言っても、規制当局は「そんなの認められない」となるわけです。

ですが、私たちが2022年にAgile Energy Xを立ち上げて以来、私は経産省の担当者、大学の政策アドバイザー、規制当局などと継続的に対話してきました。
その中で徐々に、「これは面白い」「社会全体のコストを下げられるなら検討に値する」という声が出てきています。


アメリカ・テキサスの事例に見る将来像

Alexandre Stachtchenko氏:

それは、アメリカ・テキサス州の事例にも近いですね。
あちらでは一部のマイナーが、収益の50%を「マイニングではなく、電力サービスの提供」で得ています。
つまり「電力会社」と「マイナー」という業種が融合しつつある。

あなたの将来ビジョンとしても、そういった「ユーティリティ×マイナー」の統合はあると思いますか?
もはやマイニング単体では儲からない、他のラインを持たなければいけない、というような。

立岩健二氏:

その通りだと思います。
私たちAgile Energy Xは、むしろ逆で、「ユーティリティ会社の中から生まれたマイナー」です。
現時点では規模も小さく、実証段階ですが、将来的には統合的な方向に進んでいくでしょう。


現在の規模と概念実証レベル

Alexandre Stachtchenko氏:

ちなみに、現時点でのAgile Energy Xのビットコインマイニング規模はどのくらいですか?

立岩健二氏:

現在は概念実験レベルで、合計100kW程度です。
2か所で展開しています。

1つは、ソーラーパネルのすぐ隣にマイナーを設置する「オンサイト型」で、太陽光の発電量に応じてマイナーを稼働させる仕組み。

もう1つは、50kWのコンテナ型マイナーを配電線に直接接続して、グリッド混雑の緩和効果を実証するものです。

この2年間で、「余剰再エネを活用したマイニング」と「グリッド混雑対策としてのマイニング」、両方の技術的実証を完了できました。


今後のスケールアップ計画

Alexandre Stachtchenko氏:

今後は、どのタイミングでこのPoC(Proof of Concept)が本格展開に進む予定ですか?

立岩健二氏:
技術的にはすでにPoCを証明できています。
あとは、規制当局がユーティリティ会社によるマイニング活用を認めてくれるかどうかです。

それとは別に、公にはしていませんが、数メガワット〜10メガワット規模の余剰電力を活用するマイニング案件もいくつか「水面下で」進んでいます。
近い将来、公表できることを期待しています。


フランスEDFとの比較:「原子力出力のモジュレーションは必要か?」

Alexandre Stachtchenko氏:

それでは、あなたの過去数十年にわたる専門的な経験に立ち返って、そして原子力に特別な歴史を持つ2つの国、フランスと日本を比較してみたいと思います。

フランスの主要なユーティリティ企業はEDFで、基本的にすべての電力を発電・送電していますよね。彼らは定期的に原子炉の出力を調整して需要に合わせています。

あなたの視点から見て、原子力の出力を上げたり下げたりすること、つまりモジュレーションは、避けられない必然だと思いますか?
それとも、実は「遊ばせている能力(容量)」をマネタイズできる機会を逃している、いわば機会損失だとお考えでしょうか?

いくつか数字を挙げておくと、フランスでは原子炉の平均的な稼働率(capacity factor)はだいたい67〜70%です。
これはつまり、30%以上の時間はアイドリング、すなわちメンテナンスや現場での作業のために停止しているか、あるいは単に出力を下げているということになります。
なぜなら、可変的な再生可能エネルギーがグリッドに優先的に流されるために、原子力はその分だけ抑制されているからです。

立岩健二氏:

はい、私はそれを機会損失だと考えています。

まず第一に、世界中どこの原子炉でも、定期点検(アウトリッジ)は必要です。
日本の場合、13か月ごとに定期点検が義務付けられていて、それには2〜3か月かかります。
ですので、日本においては最大でも75%程度の設備利用率が上限になります。

フランスの場合は、こうしたアウトリッジは避けられません。それは当然のことです。
ただし、需要や再生可能エネルギーの量に応じて原子炉の出力を調整する、つまりモジュレーションするかどうか――
この点については、実はビットコインマイニングのような仕組みを使えば、そのギャップを埋めることが可能です。

つまり、出力を上下させずに済むように、需要の谷間を埋める負荷(=ビットコインマイナー)を用意しておくのです。
そうすれば、アウトリッジ(定期点検)以外では、原子炉を安定的に運転できるようになります。


Alexandre Stachtchenko氏:

ではもし、今の利用率がだいたい60〜70%だとして、あなたの考える理想的な利用率、つまり原子炉が最大限運転された場合の利用率はどのくらいだと思いますか?
90%程度まで上げられるでしょうか? それとも、日本と同様に75%程度が限界で、その差はわずか5%にすぎないのでしょうか?

立岩健二氏:

そうですね、私はフランスのアウトリッジに関する規制要件を正確には知りません。
たとえばどれくらいの期間の停止が必要か、あるいはどのくらいの頻度で行う必要があるのかなどですね。

ただ、私の理解では、日本の規制は世界でもっとも厳格な部類に入ります。
ですから、もしフランスにおいて、たとえば18か月連続で運転ができ、停止期間が平均で2か月ほどで済むのであれば――
正確な計算はこの場ではできませんが、設備利用率は80%を超える水準まで到達できる可能性があります。

現時点では利用率が60〜70%程度とのことですが、モジュレーションを行わなければ、すでに80%に達することは可能だと思います。


モジュレーションに関する安全性の議論:誰が正しいのか?


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Koji Higashi
·
September 4, 2023
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