th_satです。
Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
ビットコインをめぐるビジネス面の動向(ペイメントや社会生活での利用や、金融機関での金融商品としての取り扱いなど)、規制の動向、その他で気になる個別トピックについて、ゆるく紹介しています。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
米上院で提出された「Crypto-Asset National Security Enhancement (CANSEE)」法案(出典1, 出典2, 出典3, 出典4)
法案では、プロトコルをコントロールする者や、プロトコルを使用するアプリケーションを提供する者に要件を課すとされています。
CoinCenterはこの法案について、「言論の自由を侵害する一方で、米国財務省に広範な権限を与えるもの」だと批判しています。
あるプロトコルを 「コントロール 」するために何が必要かを決定する、事実上無制限の裁量権を財務省に与えるものであり、その支配権がオープンソースソフトウェアの貢献者にまで及ぶ可能性がある、との見方が示されています。
具体的には、「単にソフトウェアを公開し、FinCENへの登録を怠っただけで起訴される可能性が残されており、米国内および米国人による暗号プロトコルの開発を不可能にするものでもある」と指摘しています。
提案後すぐに否決されるこれまでの暗号通貨規制法案とは異なり、上院の重鎮たちが支持する超党派の法案であることから、「本当の脅威」であるとの見方もあるようです。
米国下院金融委員会、暗号市場の規制枠組みを確立する「FIT for the 21st Century Act」法案を可決(出典1, 出典2)
第104条では、SECとCFTCが共同で規則を策定することを定める他、CFTCとSECが個人によるセルフカストディを制限する規則を作ることを禁止しています。
第105条では、デジタル商品取引所、デジタル商品ブローカー、デジタル商品ディーラーが、CFTCに登録する意向の通知を提出することを認めています。
一方、第106条では、デジタル資産ブローカー、デジタル資産ディーラー、またはデジタル資産取引システムがSECに仮登録書を提出することを認めています。
第301条は、デジタル商品および許可された決済用Stablecoinを証券法上の有価証券の定義から除外しています。
トピックリスト
米インフラ法案(2024年1月施行)を受けた税法第6050I条拡張に関する、CoinCenterの訴えが棄却。$10,000超の暗号通貨の支払を受けた際には、取引を報告する義務が生じる他、氏名・社会保障番号・自宅住所など送金者個人を特定可能な情報を開示しなければならなくなる件に関するもの(出典)
米国下院でデジタル商品市場の管理権をCFTCに認めるとともに、投資契約の存在だけではトークンは証券にならずコモディティと分類すべきとする暗号市場構造法案が提案される(出典)
米下院で、デジタルアセットに関わる金融取引における個人のプライバシー権利を確認するKeep Your Coins Act法案が提案(出典)
米ミネソタ州、政治運動委員会への暗号通貨による寄付を合法化。5日以内に米ドルに換金せねばならず、その間に価格変動があった場合は選挙資金報告書に別途記載しなければならない(出典)
英国大蔵省、暗号資産取引をギャンブルに分類する庶民院財務委員会の勧告を「グローバルスタンダードとのずれを生じさせる」として却下(出典)
インドネシアで政府公認の暗号通貨取引所・クリアリングハウスが7月17日から稼働開始(出典)
2.ビジネス関連の動向
Lightspark CEOが考えるLightningの課題(出典)
Lightspark CEO David Marcus氏が、Lightningの課題を1) 直感的でない点、2) ルーティングとチャネル管理、3) セルフ・カストディアルの難しさ、4) 流動性の制約、と指摘しています。
まず、「直感的でない点」としては、チャネルベースの決済プロトコルであり、そろばんの形で支払いを送受信するために、他のノードとのチャネルで流動性をロックする必要があり、これをチャネルのメッシュネットワーク上で管理するのは複雑を極める点を挙げています。
次に、「ルーティングとチャネル管理の課題」については、標準的なLightningのルーティングは基本的なものに過ぎないため、高額トランザクションの成功ルートがうまく見つけられないことが多いことを挙げています。また、チャネル管理も複雑なため、ネットワークの至る所で流動性が休眠状態で非効率となっているとしています。
さらに、「セルフ・カストディアルの難しさ」として、セルフカストディアルウォレットで、期待されるUXを提供するのは信じられないほど難しい、と述べています。
参考記事:別著者による「Lightning Everywhere」記事によれば、「EC・投げ銭・自動化・サービスにおいて、Lightningが提供する恩恵を受けているものの、セルフカストディアルでプライバシー保護した即時決済ネットワークとしての真の可能性を発揮するには、解決すべき不足部分がまだ多く残っている」と指摘されています。(出典)
その上で、「流動性の制約」について、使用可能/引き出し可能な残高と、保有する準備金による総残高の概念は、チャネルを閉じるさまざまな方法と、それが流動性の利用可能時間という点で何を意味するのかを真に把握することが難しいと指摘しています。
Adopting Bitcoin Conference、1/26-1/28に南アのケープタウンで開催へ(出典, 出典2, 出典3)
Adopting Bitcoin Conferenceが、2024年1月に南アフリカで開催されることが発表されました。
CoinGeckoのレポートによれば、南アフリカは、アフリカにおいて暗号通貨への関心がナイジェリアに次いで高いと示されています。
南アフリカはビットコインのメッカになりつつある背景について、@BTC_Cultureのツイートをもとに紹介します。
南アフリカ人の50%以上が銀行口座を持たず、人口6,000万人の半数は銀行を利用できないため、多くの人が代替手段を探しているとされます。
例えば、地元最大のスーパーマーケットチェーンPick n Payは、2000店舗でビットコインを受け入れています。
南アフリカのMossel Bayには「Bitcoin Ekasi」があり、Bitcoinとその可能性について低開発地域の子供たちに教えているとのことです。
学生はBitcoinを自分で管理するセルフカストディを学び、秘密鍵を安全に保管するためのDIYスチール機器の使い方を教わっているため、自分の資産を保護し、自分自身で取引を処理することができるようになります。
このようにして、停電やインターネットアクセスの制限にもかかわらず、Bitcoinの普及は続いているということです。
アフリカでのBitcoinへのアクセスについては、こちらの記事でも紹介しています。
トピックリスト
Nasdaq、「適切な時期ではない」として規制状況の推移を見極めるべく暗号通貨カストディアン事業の計画を中止する旨を決算説明会で発表(出典)
Société Généraleの暗号通貨部門であるFORGE、AMFのライセンスを取得。デジタルアセットのカストディ、法定通貨によるデジタルアセットの購入/販売、デジタルアセットおよびその他のデジタルアセットの提供が可能に(出典)
ナショナルオーストラリア銀行、リスクの高い暗号通貨取引所への支払いを一部ブロックすることによる顧客保護を行うと発表(出典)
Coinbase、個人顧客がBitcoinを担保に現金融資を受けることができるプログラムを11月20日を以って完全終了へ(出典)
福岡県先端情報技術開発・実証支援事業に株式会社Nayutaの「Lightning Network上でトークン取引を可能にするゲートウェイ開発」が採択|株式会社Nayutaのプレスリリース(出典)
他の暗号通貨でなくBitcoin/Lightningを使って決済サービスを作った理由に関するスレ(出典)
Zapgoalsは、自身やグループのために募金ゴールを作成することができ、各受益者が受け取る金額を決めることができる。ゴールを達成すると、自動的に受益者間で支払いが分割される(出典)
PkgZapがLightning Networkを活用し、任意の金額の直接寄付を提供。開発者は、コードパッケージにファンディングプロパティを追加することで、npmパッケージに資金を受け取ることが可能に(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!