おめでとう、XRP。RippleのSECに対する勝利が意味することは何か?
久しぶりのXRP to the Moon!が来てみんな盛り上がってますね。みんな本当にRipple/XRP好きだなーと思いつつ、何か色々盛り上がってて個人的にもほっこりしてました。
さて、冗談はともかくとして今回の判決は実際今後業界全体に大きな影響力を持つ可能性がありますし、自分にとっても一部驚きな部分もありました。というわけで、全体をざっと概観したあとに自分の方でも今後どのような展開を予想しているか、特にビットコインへの影響部分を中心に考察しておきます。
今回のこちらの記事は元々ビットコイン研究所向けの内容で考えていましたが、当面自分が書くコンテンツは無料公開しよう、ということでDH Magazineの方で今回配信します。同じく研究所向けに「AI×ビットコイン」というテーマでも先日無料記事を公開しましたが、まだ読んでない人は是非そちらも面白いので読んでみてください。
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Ripple vs SEC裁判 判決の概要
判決の概要については他にすでに色々まとめてくれているソースがあるので、それらに当たってください。
MineCCさんがツイッターで日本語で判決文のまとめをしてくれているのと、英語ではCoindeskのこちらの記事などを主に参照しています。
自分の理解の範囲でまとめておくと、
SECによるRipple Labsへの追求の一部は否定されて、両者痛み分けのような形の判決になった。
Ripple社によるXRPの機関投資家への販売は違法な証券販売だと認定される一方、一般投資家への取引所を通したXRP販売は証券販売だと認定されなかった。
主な主張の根拠としては、一般投資家はRipple Labsとの投資契約という認識で取引所でXRPを購入しておらず、Ripple Labsの努力によるXRPの価格上昇も期待していなかったというもの
同様に従業員やパートナー企業へのXRPの配布に関しても証券とは認定されなかった。
上記のようなものです。他にも色々論点はありますが、詳細は元ソースなどを当たってください。
また、自分は法律の専門家ではないという前置きを入れた上で、今回の判決に対して間違った解釈や誤解も多そうでした。主な間違った主張として、
XRPは証券ではない。Ripple社の完全勝利。
今回一般投資家への販売部分が未登録証券の販売に該当しないと判断されたのは確かに大きいですが、機関投資家への販売部分に関しては違法という判断なので、Ripple社の完全勝利、とまでは言えません。
また自分の認識では、「XRPは証券ではない」というような1か0かの話ではなく、「販売方法や販売場所、販売相手などに応じて証券がどうかは個別に判断される」ということであり、白黒でXRPは証券ではない、という主張は間違っています。これでアメリカの取引所でのXRPやその他のコインの販売が再開できる
今回の判決はあくまでSECの一部の主張が否定されたということであり、これからおそらく裁判は最高裁にまで持っていかれ、そこでまだ判決が覆される可能性があります。
その点でSECに名指しで証券と追求されているコインの販売再開にリスクが伴うのは変わりませんし、完璧にシロになった、というよりは、クロでない可能性が出てきた、というくらいで自分は認識しています。
いずれにせよ最終的な判断は数年後まで引き伸ばされることになりそうですが、不確定要素が完全になくなったわけではないです。
今回の判決を自分はどう考えているか?
まず初めに、今回の判決は個人的にも驚きの結果でした。
判決の内容によってはSECの主張の一部が否定されるのは当然ありえるとは思っていましたが、内容的には現状の感覚では確かに「Ripple社の(予想外の)大勝利」くらいに言ってもいいのではないでしょうか。正直この展開はあまり予想してなかったので、自分の認識が間違っていた部分も結構あるなと改めて感じました。
特に取引所を通したXRPの販売は購入者が投資契約やRipple Labsの存在を意識していないので証券ではない、という判断はXRP及びその他の多くのアルトコインやトークンの一般投資家への販売を許容するような解釈になっており、XRPだけでなくトークンを持つプロジェクト全般にとってはポジティブなニュースと言えそうでし、喜んでいる関係者も多かったですね。(まあポジトークも多いのですが)
その一方ではこの判断をあなたは支持しますか?と聞かれたら、あまり支持はできないというか、大きな違和感や矛盾を感じる部分があります。
今回の判断を平たく言えば、「一般投資家は何もわかってないから投資契約、つまり証券の販売ではない」というような主張がまかり通ってしまうリスクを素人ながらに感じてしまいます。
これはつまり、今までグレーゾーンであった口だけの分散(DINO)の主張や、取引所での一般投資家へのトークンの売り抜け行為が合法化されてしまう可能性が出てくることを意味し、トークンを発行している系のプロジェクトにとっては朗報でしょうが、結局カモになってしまっている一般投資家層の保護や情報の透明性の向上などが置き去りになり、むしろトークンによる投資被害を増やすだけだと感じる部分もあります。
上記のような主張が正当化出来ると言うなら、スキームの穴をついて無責任にトークン発行と販売を繰り返す手法論はいくらでも思いつきますし、スキャム的なプロジェクトの排除と健全化という点でもこれはむしろ業界全体としては後退してしまっている部分があると思います。
今後どうなるか?
さて、最後に今後の展開の予想をします。
まず今回の判決が出る前に、自分は6月に以下の記事で今後のトレンドの予想をしていました。
ただし今回の判決を受けて自分のシナリオ予想もアップデートする必要が出てきました。
まず、「証券認定などの不安もあり、ビットコインが強いターンがしばらく続きそう」という予想をしていましたが、この予想は外れる可能性が上がりました。
今回のニュースでXRPのようなトークンの一般投資家への販売スキームが未登録証券と認定されない可能性が出てきたことで、これからビットコインの半減期前後などにかけてトークンやアルトコインバブルのターンがまた来る可能性が強まったと言えます。
また、今回の判決で、Howeyテストのように杓子定規な条件でまとめて証券規制をするのは難しそうだということがわかってきました。それはSECによる界隈への影響力というのは想定されていたほど大きくない、という認識が今後強くなっていく可能性を示唆し、もしそうだとしたら引き続きトークン発行と販売周りでさらに色んな手法が考案される、強化される可能性も感じます(それがいいことと思うかどうかは個人ごとに認識は違うと思いますが)
端的に言えば、今回の判決はビットコイン以外のSECに証券認定されるリスクのあったアルトコイン全体にとっては少なくともこの1〜2年は当面大丈夫そうだ、という安心感を与える結果になった一方、ビットコイン視点ではアルト周りでの似非分散的な主張にまたしばらく振り回されることを意味するので、率直に言えばあまり好ましくない影響のほうが強いと思います。
まとめると、以下のような形に予想を変更します。
ビットコインのドミナンスはしばらく横ばい、また半減期の前後でアルトコインが大きく盛り上がるタイミングがくるとBTCドミナンスは低下する
XRP以外のSECから証券と追求されていたコインの対BTC価格の下落も横ばい傾向になる。また、DeFiやNFT関係のコインの価格も比較的強い水準をしばらく維持する。
アメリカから香港やシンガポールへの関連企業の流出も予想していたが、アメリカから海外への流出のトレンド自体はなくならないとはいえ、アメリカ一強時代はしばらく継続。
まあいずれにせよビットコインはビットコイン、その他はその他、という自分の基本的なスタンスには変わりはないですし、より長期で見ると特に何も変わってはいないですが、1〜数年単位の戦略という点では結構大きな影響を及ぼす可能性はありそうですね。
何よりみんな、本当にリップル好きだよね〜笑