th_satです。
Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
重要リンク集💎🙌
Diamond Hands Wiki (ライトニングやルーティングに関するリソース集)
Lost in Bitcoin(ビットコイン学習リソース集)
DH Magazine Proへの招待
月7ドルでDH Magazine Proに参加して、日本国内のビットコイン普及活動を最前線で楽しみつつ、Diamond Handsの活動を支援しよう!
詳細は以下のPro版の内容紹介記事をご確認ください。
日本国内のビットコイン普及の加速を目指す新しい挑戦 DH Magazine Proの公開と案内
テキサス州の電力供給に関するThe Economist誌記事に対するRiot Platformsの反論
The Economist誌が ”Why Texas Republicans are souring on crypto” として、「テキサス州のエネルギー市場での取引はBitcoinの採掘よりも利益が上がるようになった」とする記事を発表しました(出典1, 出典2(archive))。これに対して、Bitcoinマイニング企業Riot PlatformsがX上で反論を述べていますので、概要を紹介します。
The Economist記事を見る前に、マイニングにおける消費電力に関する、Riot Platformsの主張をみてみます(出典3, 出典4)。
Riot Platformsの分析によると、米テキサス州のBitcoinマイニングにおけるエネルギー消費量は、2023年8月の170万MWhから2024年8月の230万MWhへと、前年比で31%増加。
このエネルギー使用量の増加の一方で、テキサス州の電気料金は1MWhあたり190ドルから40ドルへと80%も下落。
電気料金が急騰する主な原因として、猛暑の際などに、エアコンの使用が増えることなどが挙げられるが、マイナーは電力使用を抑えた上で、電力需要と価格が低いオフピーク時間帯に電力消費を集中させることがよくある。
このように、マイナーの電力使用の柔軟性が電力網のバランスをとるのに役立ち、安定性を確保しながらも、低コストで信頼性が高く予測可能な電力を確保するのに有効。
Riotは、「従来のデータセンターとは異なり、ビットコインマイナーは電力使用量を簡単に調整できるため、エネルギー網のバランスをとるのに最適。使用量が少ない時期には安定した需要を提供し、電力需要が高いときには使用量を縮小することによって、スムーズで効率的な電力網を確保できる」と述べている。
このため、冒頭で述べたエネルギーコストの低下は、マイナーが電力網の安定化に果たす独自の役割に一部起因している。
こうしたマイニングとエネルギー網の共生関係は、Bitcoinがエネルギー市場に与えるプラスの影響を示す説得力のある事例であるとしている。
次に、The Economist記事に対するRiot Platformsの反論をみていきます。
まずは、The Economist記事では、「2030年までにエネルギー需要がほぼ2倍」「電力網に負担がかかり都市部で停電」「マイニングやAIむけデータセンターが需要増加の原因」といった点が述べられています。これらについて、Riotの反論は以下のとおりです。(画像:出典5)
Enverusによると、需要は2030年までに10%増加すると予測されており、「ほぼ2倍」というのは誤り。
ハリケーンによる停電は、強風による送電線や配電線の物理的破壊に伴うものであるため、マイニングは関係ない。
風力発電や太陽光発電を総負荷から差し引いたnet負荷に注目すると、風が弱く太陽が沈むときに希少プライシングが発生し価格が高騰するため、容易に削減可能なマイニングのような大きな柔軟な負荷の組み合わせが有効。
データセンターのような固定負荷はピークネット負荷を増加させるが、マイニングのような柔軟な負荷はそうではなく、同一視すべきではない。
続いて、The Economist記事では、「電力需要ピーク時のマイニング停止に伴い受け取る料金によって、マイナーはマイニングより儲けている」といった点が述べられています。この点について、Riotは以下のように反論しています。(画像:出典6)
マイナーは電力会社と固定価格の電力購入契約(PPA)を締結した上で、固定価格がリアルタイム市場価格よりも高い場合に余分に支払う必要がある。
その代わりに、リアルタイム市場価格が固定価格よりも高い場合には、利用を停止することによって事前に購入した電力を売却することができる。
このように、PPAの片方の側面のみに言及することは誤解を招く。
また、テキサス州の電力網運営者であるERCOTは、マイニングを停止するためにマイナーに料金を支払っているのではなく、その反対。ERCOTは、信頼性のある電力供給を達成するために必要となる予備(Ancillary Services)として利用できるように、マイナーなどの負荷には稼働したままにするために料金を支払っている。
マイナーは、日次入札プロセスを通じた競争を経てAncillary Servicesを受注している。
関連して、テキサス州の電力網運営者ERCOTも、「テキサス州における暗号通貨マイニングが電力網に与える影響に関する情報提供依頼に対する回答」として、2022年に次のように回答しており、マイナーはERCOTから補助金やその他の特別待遇を受けてないことを明らかにしています(出典7)。
ERCOTの主要な役割は、ERCOTグリッドの信頼性を確保し、テキサス州内における卸売電力市場を管理すること。
ERCOT市場は、可能な限り低コストでシステム需要を満たすためのエネルギーを調達するように設計されている。
システムの信頼性を確保するために、ERCOTは補助サービス(Ancillary Services)も調達している。
ERCOTのAncillary Services市場に参加することを選択した暗号通貨マイナーも、そのサービスに対して報酬を受け取ることができるが、他のすべての負荷資源と同様の参加要件を遵守する必要がある。
暗号通貨マイナーが、ERCOTから補助金やその他の特別な待遇を受けることは無い。
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!