Strategyがビットコインを売った本当の理由──それでも価格が上がったのはなぜか【前編】
【ジョー】
もしホルムズ海峡が今年いっぱい閉鎖されたままになることで、再び高インフレに見舞われたら、年末にはインフレ率が10%になるでしょう。
そうなれば、とてつもない景気後退が起きます。あらゆるものが売られ、その後、FRBは金利をゼロまで一気に引き下げるでしょう。ですから、
今後のビットコインには2つのシナリオがあります。
彼は、「私たちは物価が構造的に下落していく時代に入りつつある」と言いました。僕の記憶が正しければ、そんなことを言ったFRB議長はこれまで一人もいません。
【ジョー】
Strategyは、かなりの量のビットコイン――同社史上最大の売却量――を売っても、ビットコインは気にもしないことを証明しました。
【ウォーカー】
底は打ったのでしょうか?まだ底を打っていないとすれば、その「底」とやらは、来るとして、いつ来るのでしょうか?
【ジョー】
現実には、皆さん、債券商品が値下がりするということは、市場がより高い利回りを求めているというだけです。それがフライホイールです。
そして今や、ポンジ・スキームだという議論は正式に死にました。2年後、3年後、4年後、ビットコインが35万ドルになったとき、彼らはひどく静かになっているでしょう。
こんにちは!yutaro です。
本日のPro向け「BTCインサイト」では、『The Bitcoin Podcast』に出演したアナリスト、ジョー・コンソルティ氏のインタビューを、前編・後編に分けてお届けします。
今回の中心テーマは、Strategyによるビットコイン売却です。
マイケル・セイラー氏は長く「ビットコインは売るな」と語ってきました。それにもかかわらず、Strategyは過去最大となる3,588 BTCを売却しました。ところが、その発表でビットコイン価格が崩れることはなく、むしろ市場は上昇して取引を終えました。
ただ、Strategyがなぜ売ったのかを理解するには、その前に「いま何がビットコイン価格を動かしているのか」を押さえる必要があります。
前編では、ホルムズ海峡をめぐる緊張と原油価格、4カ月遅れで表れるインフレ、FRBの利上げ・利下げ、新たなFRB・財務省協定、
そしてAIが物価に与える影響までを取り上げます。以下から本編をお楽しみください。
(※本日は前編です)
ジョー・コンソルティを迎えて
【ウォーカー】
ジョー・コンソルティ(Joe Consorti)、ようこそ。
これまでにも、君には僕のRoxom配信に出てもらいました。でも、少なくともそのうち1回には出てもらいましたね。
君は仲間たちとやっているBitcastにも、何度もゲスト出演しています。
でも、Bitcoin Podcastへようこそ。来てもらえて最高にうれしいよ。
【ジョー】
呼んでくれて本当にありがとう、ウォーカー。いつも最高に楽しいです。
この少し違った形式で話せてうれしいです。
【ウォーカー】
今日は君と話したいことがたくさんあります。
まず、君をまだフォローしていない人がいたら、フォローすべきです。
XとYouTubeの両方でフォローしてください。Nostrにも参加してもらいます。
カメラが回っていないところで、ちょうどその話をしました。だから、主権的なウェブのほうにも来てもらいましょう。
君は素晴らしい分析を発信していて、それが人々に本当に響いていると思います。
普段は中くらいの長さのコンテンツを出していますね。いろいろなことを細かく分解して説明しています。
昨日も動画を出していました。
ビットコインとマクロ環境に影響している、たしか5つくらいの異なる要因を分解して説明していました。
それを全部、10分以内くらいに収めていました。
すごく良くて、引き締まっていて、本当に取っつきやすい。あれは見事でした。
そのうちのいくつかを、もう少し掘り下げたいと思います。
ビットコインが今どこにいて、どこへ向かっているのか、全体像を確認したいんです。
というのも、みんなが考えている大きな疑問は、底を打ったのか、ということだと思うからです。
まだ底を打っていないなら、その「底」とやらは、来るとして、いつ来るのか。ビットコインは死んだのか。
それから、Strategyの方面についても話したい。
あのビットコイン売却をめぐって、君が動画で分解していたもう一つのテーマです。
君は、同社が前にも似たような売却をしていて、それが前回、サイクルという観点から何を示していたのかという、とても興味深い点を指摘していました。
そこでまずは、今のビットコインをどう感じているのか、君の直感的な見立てから始めましょう。
まだ弱気な見方をたくさん目にします。
僕は強気でなくなったことが一度もないので、良い指標にはならないんです。
僕はいつも強気ですから、それでは大したことはわかりません。君は今、どう見ていますか?
センチメントは変わりましたか?
外部のセンチメントに対する認識は変わりましたか?
僕たちは今、どの位置にいると思いますか?
底打ち圏と、最大の逆風であるイラン戦争
【ジョー】
間違いなく。ビットコイン・サイクルのどこにいるのかを考えると、基本的にいくつかのことが起きています。
それを踏まえると、僕たちは底打ち圏にはいるものの、まだ底の近くではないかもしれない、と考えています。
何よりもまず、2月以降、ビットコインにとって最大級の逆風の一つになっているのが、イランでの戦争です。
もちろん、イランでの戦争は激しく続いています。
その影響でホルムズ海峡は閉鎖されていましたが、6月半ばに開通しました。
そして今、海峡では再び実弾が飛び交っています。僕たちはイランの艦艇、たとえば同国の戦艦を沈めています。
その結果、海峡が再び閉鎖される恐れがあります。
ホルムズ海峡は、世界の石油供給の20%を運ぶ役割を担っています。これは非常に重大です。
海峡を閉鎖しても、石油価格は単に20%上昇するだけではありません。
50%から80%も上昇します。実際にそれを見ることができます。ここで画面を共有します。
ご覧のとおり、戦争直前、緊張が高まるにつれて、WTI原油先物の期近限月であるCL1が少し上昇し始めました。
戦争が始まると、突然、それまでの65ドルから、およそ120ドルまで上がりました。
つまり、供給の20%を遮断した結果、価格は100%上昇したのです。
これは、この海峡がいかに重要かを示しています。
実際には、海峡が再開するより前から下落傾向に入り始めました。理由は2つあります。
第一に、これは先物契約です。
これは、方法や形態を問わず石油を扱う人々が、自分たちのリスクをヘッジするための手段です。
そのため、海峡が再開するとの予想から下落していました。
しかし、それ以上に重要なのは、ほかの国々が、より安く、より効率的に石油を掘り出し始めた結果、下落し始めたことです。
たとえば米国では、現在行っている石油のフラッキングの量が極めて多くなっています。
これは、ホルムズ海峡が閉鎖されていたことの直接的な結果です。
6月半ばに再開したとき、価格は基本的に戦前とほぼ同じ水準まで下がりました。
そして2日前にトランプが、まるで大物みたいに出てきて、カメラの前で「今すぐイランを爆撃する」とか、そんなことを言ったんです。
クレイジーですよね。この男、どれだけデカいタマをしているんだ、っていうね。
すると案の定、価格は68ドルから一気に75ドル超、76ドルまで急騰しました。
海峡が今やちょっとした戦場になったことで、原油高の時代に再び入っています。
ここには2つの点があります。
これがビットコインにとって大きな逆風だったのは、ビットコインも、ほかのあらゆる資産も、地政学的な不確実性を嫌うからです。
安全資産の寵児である金でさえ、不確実性を嫌います。
少なくとも、突然、国同士が爆撃を始めるような事態は嫌います。
ですから第一に、その結果、これはビットコインにとって大きな逆風になってきました。
原油高が4カ月遅れでインフレ率を押し上げる
【ジョー】
しかし第二に、そして最も重要なのは、原油価格の上昇がもたらす二次的、三次的な影響です。
石油は世界経済のほぼあらゆるものに使われる投入物です。
ガソリンやディーゼルの価格はもちろん、ほかのほぼすべてにも関係しています。
ですから原油価格が急騰すると、価格上昇が連鎖し、約4カ月遅れて世界中の経済へ波及する、カスケード効果が起きます。
その結果、6月の数値で、ようやく今になってインフレ率の上昇が見え始めたところです。
戦争が2月に始まったことを思い出してください。
海峡が閉鎖されたのは2月で、インフレ率の上昇が見え始めたのは、ようやく今なのです。
なぜ、それが重大なのでしょうか?
インフレ率は上昇し、4年ほどで初めて4.2%を超えています。
これによってFRBが利上げする可能性が高まります。
当然ながら、ビットコインはそれを好みません。ビットコインは緩和マネーを好みます。
金融政策を引き締める局面、つまり政策金利が上がり、バランスシートが縮小される局面を、ビットコインは好みません。
実際、ビットコインが天井をつけたのは2022年です。
ちょうどFRBが利上げとバランスシートの縮小を始めた、あるいは少なくとも始めようとした時期でした。
ビットコインが1万6,000ドルから大きく上昇できたのは、FRBが利上げを止め、バランスシートの拡大を止めてからです。
とはいえ、金融引き締めの環境でも、ビットコインが好調に推移することはできます。
しかし今は、当初予測されていた利下げの継続ではなく、インフレ率上昇の結果、再び利上げが選択肢に入っています。
とはいえ、これには非常に多くの層があります。
その結果、ビットコインは売られました。
それでも利下げを予想する2つの理由
【ジョー】
僕が実際には今年の利下げに賭けている理由は、2つあります。
ホルムズ海峡は開いたままになる。少なくとも人々は、今後も何らかの方法で船舶を海峡に通し続けるだろうと思っています。
物価上昇には4カ月の遅れがあると言いました。
6月半ばに海峡が再開したのは、中間選挙が迫っているからです。
残念ながら共和党は、有権者との間に残っているわずかな信頼まで使い果たしつつあり、敗北の危機にあります。
下院を失い、上院を失い、すべてを失う危機にあります。
その結果、共和党は本当に、あらゆる手を尽くす必要があります。
やろうとすることの一つが、ディスインフレ、つまりインフレ率の低下を実現することです。
ですから、あのタイミングで海峡が開いたのは偶然ではありません。
同じ理由から、少なくとも船舶による海峡通過は続くだろうと、僕は考えています。
もう一つの要素は、FRBが実際に利上げするとは思っていないことです。
このことは数週間前にも言いました。
Kevin Warshが壇上に出て、FRBにより強い説明責任を取り戻したいと話し始めたときにも言いました。
彼は、傷ついたFRBの評判を修復したいと考えていました。
どうやってそれを実現するか、そして利上げについて、あれこれたくさん話していました。
その結果、利上げ予想は急上昇しました。
僕は、FRBが実質的な形で利上げする可能性はゼロだと言っていました。
なぜなら、それはできないからです。仮にやったとしても、大した効果はありません。
結局のところ、今感じているインフレは、先ほど説明し、チャートでも見せた原油ショックの結果です。
インフレを引き起こすほど大量に通貨を発行した結果ではありません。
通常は金融インフレが物価インフレにつながります。
金利がゼロまで一気に引き下げられ、FRBが何もないところから通貨を発行して、バランスシートを拡大する。
そして信用環境があまりに緩いため、貸し出しによってお金が生み出されます。
つまり、消費者が銀行へ行くたびに、新しいお金が作られます。
今回のインフレはそれが原因ではありません。
したがって、金利を上げ、バランスシートを縮小しても直すことはできません。
原因は供給ショックです。
信じられないかもしれませんが、今これをライブで見ている視聴者の皆さんは、全員知っていますよね。
FRBは実際にはモノの価格をコントロールしていません。
FRBがコントロールしているのは、お金の価格だけです。
銀行同士が借り入れ、貸し出すときの金利を設定し、それによって経済全体の借入金利に影響を与えています。
ですから、たとえば原油価格が急騰しても、Lyn Aldenもそう言っていますが、FRBには何もできません。
原油価格をコントロールすることはできません。
FRBにある2つのレバーは、バランスシートと政策金利です。
そのどちらでも原油高は解決しません。
原油高を解消する唯一の方法は、海峡を開くことです。
だからこそ、実際にそうなったのです。
多くの人が6月の物価上昇率4.2%という数字を目にしました。
さらにKevin Warshが登場し、ネクタイを直しながら「我々は責任ある行動を取る」と言ったとき、僕は「いや、そうはならない」と言いました。
なぜなら、利上げして起こる唯一のことは、すでに首を絞められている消費者の首を、さらに絞めることだからです。
そして案の定、金利予想は今、現実的なところまで下がりつつあります。
実際のところ、今は利下げ1回分にも満たない水準しかありません。まったく異常です。
僕はこれより多いと思っていましたが、どうやら違うようです。
当初、今年は3回の利下げが予想されていましたが、今ではわずか1回です。
米国のフェデラルファンド金利の現在の誘導目標は3.75%です。
こちらは来年3月時点の予想金利です。
今後8カ月で市場が織り込んでいるのは、3.75%から4%への25ベーシスポイントの利上げ1回だけです。
数週間前には、これが3回か4回くらいでした。
ホルムズ海峡が一部再開し、原油価格が以前の水準まで急落した結果、すでに予想回数は減ってきています。
ここまでの話は、すべてビットコインに関係していると約束します。
年末までに想定される、ビットコインの2つのシナリオ
【ジョー】
では、これがなぜそれほど重大なのか。
原油価格の急落がなぜそれほど重大で、それでもなおビットコインにとって多少のリスクなのか。
それは、FRBの政策金利がどう設定されるかが、ビットコインの方向性を考えるうえで、かなり重要だからです。
本当に底に近いのかどうかを考えるうえでも重要です。
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