th_satです。
Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
ビットコインをめぐるビジネス面の動向(ペイメントや社会生活での利用や、金融機関での金融商品としての取り扱いなど)、規制の動向、その他で気になる個別トピックについて、ゆるく紹介しています。
Diamond Handsコミュニティは国内外の関連企業から支援してもらっています。ありがとうございます!
重要リンク集💎🙌
Diamond Hands Wiki (ライトニングやルーティングに関するリソース集)
Lost in Bitcoin(ビットコイン学習リソース集)
それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
米SEC、カストディ規則を改正し暗号資産を規制対象とする旨を提案(出典1, 出典2, 出典3)
米SECが、登録済み投資アドバイザーによって管理された顧客資産の保護を強化するための規則改正を提案しています。
投資アドバイザーのカストディー・ルールの適用を、顧客の資金や証券にとどまらず、投資アドバイザーが所有するあらゆる顧客資産、あるいは投資アドバイザーが顧客資産の所有権を得る権限を持つ場合にまで拡大するものです。
Gary Gensler委員長は、一部レンディングプラットフォームが投資家の暗号資産をcustodyすると主張するが、適格カストディアンであることを意味しないとし、暗号資産カストディアンサービスを提供する企業は登録を必要とすると提案しています。
この提案について、米SECのHester M. Peirceコミッショナーは、提案されているアプローチとその実施スケジュールは、スケジュールや実行可能性に疑問があると指摘しています。
投資家、投資顧問、カストディアンにとって広範な意味を持つため、熟慮された意見が必要にもかかわらず、十分な時間を一般市民に与えていない。
適格カストディアンが顧客資産を管理する際に、一定の標準的な保護を提供することを確認するために、アドバイザーが適格カストディアンと書面による契約を締結し、そこから一定の保証を受けることを要求している。
カストディアンに書面による合意を締結させ、必要な合理的保証を提供することは、アドバイザーにとって難しく、顧客にとってもコストがかかる。
カストディ要件の範囲を暗号資産にまで拡大することで、適格な暗号カストディアンの数を減少させる可能性があり、より脆弱になってしまいうる。
米ワイオミング州、米ワイオミング州、秘密鍵の開示要求から住民を保護する法案を可決(出典)
米ワイオミング州が、デジタルアセット関連手続きにおいて、秘密鍵を開示することを強制されないとする法案を可決しました。
デジタル資産、デジタルID、その他の利益または権利に関連する秘密鍵の強制的な提出を、指定された場合を除き禁止するというものです。
何人も、デジタル資産、デジタル ID、その他の利益または権利に関する民事、刑事、行政、立法、その他の手続きにおいて、公開鍵が利用できない場合、またはデジタル資産、デジタル ID、その他の利益または権利に関する必要な情報を開示できない場合、秘密鍵を提出するよう強制されたり、秘密鍵を他の人に知られたりすることはないものとする。
本項は、秘密鍵がアクセスを提供するデジタル・アセット、デジタル・アイデンティティ、その他の利益または権利の生成、販売、譲渡、移転、開示、またはデジタル・アセット、デジタル・アイデンティティ、その他の利益または権利に関する情報の開示を人に強制する合法的手続きを禁止すると解釈してはならない。
「秘密鍵」とは、暗号データの一意の要素、または実質的に類似した類似のものをいい、以下のものをいう旨、定義しています。
(A) 個人によって保有される。
(B) 一意の、一般に利用可能な暗号データの要素と対になる。
(C) トランザクションを実行するために必要な暗号化または復号化を行うために必要なアルゴリズムに関連する。
暗号資産企業が銀行サービスへのアクセスを拒否する、全ての金融規制当局にまたがる米政権の取組は、静かに暗号を禁止しようとするものだとする、Nic Carter氏の見方(出典)
顧客から預金を預かり、Stablecoinを発行し、暗号資産の保管に従事し、暗号資産を元本として保有しようとする銀行が、ここ数週間、規制当局の攻撃に直面していると指摘しています。
規制当局によって、「安全性と健全性」という表現のもと、銀行にとってパブリックチェーンに何らかの形で触れることは許容できないほどリスクが高いという見方が示されている。
特に、Silvergate銀行への調査は、暗号資産との提携を考えている銀行にとって強い抑止力になっている。
FRBがワイオミング州のSPDI銀行Custodiaを拒否したことによって、州認可の銀行がFDICの監督に服すことなしに連邦準備制度にアクセスできるという希望も事実上消滅してしまった。
IMF、エルサルバドルにBitcoinのリスク対応や、トークン化証券の発行によるBitcoin購入の資金調達の回避を求める声明を発表(出典)
IMFは、1月30日から2月8日の現地訪問を踏まえ、2023年4条ミッションのスタッフ総括声明を発表しました。
声明の中では、Bitcoinのリスクに対する対応を引き続き求めたことに加え、トークン化証券の発行によるBitcoin購入の資金調達の回避を求めています。
Bitcoinのリスクへの対応が必要である
これまでのところBitcoinの利用は限定的であるためリスクは顕在化していないものの、法定通貨としての地位や、トークン化債券(デジタルアセット法)を含む暗号資産の利用を促す新しい法改正を通じて、その利用が拡大する可能性がある。
このような状況の下、金融の健全性・安定性、財政の持続可能性、消費者保護に対する根本的なリスクは依然として残っている。
根本的な財政偶発性とカウンターパーティーリスクを評価する上で、政府のBitcoin取引と国営Bitcoinウォレット(Chivo)の財務状況に対するより高い透明性が依然として不可欠。
財政リスクを考慮すると、トークン化証券の発行によるBitcoin購入の資金調達は、避けるべき
暗号資産市場の法的リスク、財政的脆弱性、および大部分が投機的な性質を考慮すると、当局は、トークン化債券の発行を含め、Bitcoinに対する政府のエクスポージャーを拡大する計画を再考する必要がある。
Bitcoin Fund Managementによる収益の使用は、定期的な支出コントロールと良好なガバナンスの実践に従うべき。
新しいデジタル資産法によって与えられる保証は、伝統的な証券規制による保証と同等であるべき。
トピックリスト
米連邦準備制度理事会、日中データを用いたイベントスタディによりマクロ経済ニュースのBitcoinへの影響を推定することによって、Bitcoinとマクロ経済ファンダメンタルズの関連性を調査したレポートを発表(出典)
他の米国の資産クラスとは異なり、Bitcoinは金融やマクロ経済のニュースに対して直交(orthogonal)していると主張しています。
EUの銀行、暗号資産を最もリスクの高い種類の資産として扱った上で、エクスポージャーを開示要に(出典)
英国当局FCA、英国の消費者を対象にマーケティングを行うすべての暗号資産企業は、所定のプロモーションルートに準拠する必要があるとする声明を発表(出典)
ドバイ当局、「仮想資産および関連活動規則2023」を発表(出典)
2.ビジネス関連の動向
MicroStrategy、BitcoinやLightning を使って企業ウェブサイトやモバイルアプリをマネタイズする手法を示すカンファレンスを開催(出典)
MicroStrategyが、BitcoinやLightning を使って企業ウェブサイトやモバイルアプリをマネタイズする手法を示すカンファレンス「Bitcoin & Lightning for Corporations」を5月3日〜5月4日に米オーランドで開催予定です。
初日のテーマが「Bitcoin for Corporations」、二日目が「Lightning for Corporations」となっています。
「Lightning for Corporations」のキーノートでは、企業がどのように革新的なLightningアプリケーションを採用することができるかについて、紹介されるとのことです。
また、The Lightning Ecosystem Panelでは、拡大するエコシステムを踏まえた、Lightningがビジネスに与える影響の全貌が紹介されるようです。
MicroStrategy Lightningセッションでは、「Lightning Networkは、ソーシャルメディアやインターネットを介した交流に関連する課題を解決するのか?」について、ユーザーエンゲージメントへの効果的な報酬から、スパムや悪意のあるボットの激減に至るソリューションを紹介するとのことです。
StrikeのSending APIドキュメントが公開
Jack Mallers氏によれば、Strike APIを使うことによって、企業や開発者は、Lightning Network上で米ドルを送信可能になるとのことです。
「Stablecoinを使わず、米ドルを送金できること」さらに、「Bitcoinを所有/消費する必要はないこと」を特徴としています(出典)。
今回公開されたStrike APIは、Strikeユーザーの現金残高からBitcoin Lightning Network上で決済するものですが、公開されたドキュメントによれば、次のようなステップで決済が行われるとされます(出典。図も同様)。
1) Lightning invoiceを取得する(支払リクエストとして機能)
2) invoice取得後、quoteを作成する
3) quoteを実行することで、支払いを実行する
4) 送信者の現金残高から米ドルが送信され、Bitcoinに変換された上で、Lightning Networkを経由して受信者に配信される
Strike APIの使い方説明として、アプリケーション例も示されています(出典)。
Ordinalsプロジェクトを受けて、Bitcoinチェーン上へのinscriptionsが増加中
BitcoinベースのNFTがチェーン上に留まることに関する見通し
Bitcoinチェーンに要素を含めるための手順であるinscribeのペース
昨年12月14日の初回トランザクション以降、2月7日迄に13,000のOrdinalsが“inscribe”されたとのことです。
Bitcoinブロックスペースの使用量は526MB、Ordinals関連のコスト負担は6.77BTCに上るとされます(出典)。
2月8日時点、Ordinalsは、「212 / 時間」「5,088 / 日」「152,640/月」の割合でinscribeされているとのことです。
この割合が続くと、2月24日には10万inscriptions、その後8月20日には100万inscriptionsを突破するとの見方が示されています(出典)。
BitMEX Researchによれば、2月13日時点、依然としてBitcoinブロックスペースの使用率が高いままであるとのことです(出典。図も同様)。
累積データ1,558.8MB
73,900枚の画像イメージ
先日のごっつさんのニュースレターでも紹介されたように、OrdinalsとLightningとNostrを使ったプロジェクト「Astral Babes」も公開されています。
Ordinalsがコレクターズアイテムに真の希少性をもたらしており、NFTコミュニティはBitcoinに移行しつつあるとして、BAYCをBitcoinチェーン上にinscribeする取り組みも見られます(出典)。
トピックリスト
グアテマラのビットコイン・レイクに行ってみた|体験記寄稿3(出典)
グアテマラのビットコイン・レイクに行ってみた|体験記寄稿4(出典)
エルサルバドル、スイスLuganoに続いて米テキサスにBitcoin Embassy設立(出典)
露ブリヤート州に9億ルーブル相当のマイニングセンターがオープン予定。消費電力100MW、デバイスを3万台収容(出典)
LocalBitcoins、サービス停止を発表(出典)
シンガポールDBS銀、香港の顧客向けにデジタルアセット販売サービスを拡大する計画を発表(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!