Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめです。
今週末はクリスマスなんですね。年末年始は日本に帰りたいと思っていましたが、尋常じゃない航空券の高騰で断念。去年と比べて約2倍です。
メキシコはカトリック教徒が多いので、クリスマスは宗教行事でもありますが、モールの混み方を見ると、かなり商業化されてる印象。用意するプレゼントの数が膨大です。日本だと家族や大切な人くらいだと思いますが、こちらは住んでいるgated communityの門番、警備員、郵便配達員、ゴミ回収や洗車をしてくれる人などにもあげます。忘れると翌年のサービスに影響するとの噂もあるので、隣人との雑談で相場観を探って用意しました。現金をあげる人も多いようなので、来年はビットコインにしようかな?再来年、サービス受けられなくなったりして。
普段でもひどい渋滞がこの時期はさらに悪化するので、ほぼ家に引きこもりですが、中心部は巨大なクリスマスツリーやイルミネーションで盛り上がっているようです。
旧市街の中心広場にはアイススケートリンクもできたりするようですが、日中は気温23度程度と暖かいので、街では半袖の人も多いです。
メキシコシティは標高2300mと高地で、年間を通して気温が20~30度と過ごしやすくて良いのですが、日本の四季に慣れている身にはトリッキーです。猛暑を経験しなかったせいか、今年は5月のまま時間が止まっています。12月と言われても全く実感がなく、失われた7ヶ月、一体何をしていたのかと軽く自己嫌悪。
皆さまにとってはどんな1年だったでしょうか。いろいろ思うところはあるかもしれませんが、一旦置いておいて、楽しいクリスマスをお過ごしください。
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重要リンク集💎🙌
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Lost in Bitcoin(ビットコイン学習リソース集)
降って沸いた “Nostr” ブーム
週末にかけて、このようなtweetを目にした人も多いのではないでしょうか?


ビットコインを健全な貨幣たらしめている特性に、検閲耐性、パーミッションレス、単一障害点がなく誰にも止められない、オープンソースなどがあります。ビットコイナーがこうした特性を求めるのは貨幣だけではありません。降って沸いた “Nostr” ブームは、言論の自由を守るために、SNSにも同様の特性を求める多くのビットコイナーの意思表示とも解釈できます。
ことの発端は、Jack DorseyがSignalに年間100万ドルを寄付するとのニュースでした。
これに対し、電話番号を登録しないと使えないSignalではなく、Nostr開発者を支援すべきとのリプライがつき、上記投稿からわずか1.5日という電光石火の速さでNostrのリードメンテナーのfiatjafに14 BTCが届きました。
そもそもNostrとは何なのでしょうか?No Bullshit Bitcoinの説明は以下の通りです。
検閲耐性のあるソーシャルネットワークを形成するための最もシンプルなオープンプロトコル(を目指している)
公開鍵暗号と電子署名を利用した耐タンパー性がある
私が試したDamusというNostrのクライアントアプリでは、公開鍵がアカウントID、ペアの秘密鍵で投稿やメッセージに署名
単一障害点となる中央サーバはない
投稿は複数のリレーサーバに送信される
他人の投稿を見るには、複数のリレーサーバに問い合わせ、返ってきた投稿の署名をユーザー端末で検証
リレーサーバの運用は非常に簡単なので誰でもできる
P2Pネットワークではないため実装が容易
fiatjafはJackから受け取った14 BTCの半分をDamusを開発する基金に配分。そのせいではないと思いますが、Damusをインストールした日は表示速度が遅く、リレーサーバの追加もできず、使い物になりませんでしたが、今日の更新でサクサク動くようになりました。
ことの発端となったJackによる寄付のニュースからわずか3日後、Twitter社がTwitter以外のSNSのIDやリンクの投稿は規約違反とアカウント凍結をちらつかせて警告しました。SNSの例として、FB、インスタなどと並んでまだまだ弱小のNostrが挙げられていることにビックリです。投稿を検閲していること、任意にアカウントを凍結できることを公に認めるなんて、NostrのPRかと思いました。
ドライブチェーンを開発するLayer 2 Labsが300万ドル調達
ビットコインのスケーラビリティ、プライバシー、UXを向上する手段として、長年ドライブチェーンをプッシュし続け、BIP300とBIP301の提案者としても知られるPaul Sztorcが共同設立したLayer 2 Labsがシードラウンドで300万ドルを調達しました。
以下、Bitcoin Magazineによるドライブチェーンの概要です。
ドライブチェーンはサイドチェーンの一種。サイドチェーンはビットコインブロックチェーンとの間の2-wayペグを介してビットコインの価値をサイドチェーンで再現するもの。代表例がBlockstreamのLiquid。Liquidは資産のロックアップや引き出し、ブロック生成をフェデレーションに依存。このフェデレーション型の中央集権性を克服するのがドライブチェーン。
ドライブチェーンはフェデレーションの代わりにビットコインマイナーにサイトチェーンのブロックをマイニングさせます。ビットコインマイナーは機材などへの新規投資不要で、サイドチェーンのトランザクション手数料という新たな収入源を確保。
ドライブチェーンは既存アルトコインが提供するほぼ全ての機能を提供できるため、ビットコインネットワークの機能的制限を取り払い、ユースケースを大幅拡大。
Layer 2 Labsはすでに6つのサイドチェーンを開発中で、そのうち2つはEthereumとzCashのクローンだそうです。Paul曰く「ドライブチェーンはアルトコインを一掃し、ビットコインのアダプションを加速する。」
良いことづくめに聞こえますが、この世にトレードオフを伴わないものはないです。以前からPaulの構想に対しては批判も多いです。ビットコインではマイナーとノードが行う検証をドライブチェーンではマイナーだけが行うことから、マイナーによる攻撃リスクが高いという意見や、サイドチェーン上の資産価値がビットコインネットワークを上回った時のリスクについても議論されています。
そもそも需要がないとの指摘もあります。Liquid、RSK、Omniのブロックはガラガラで、CounterPartyに至っては死んでいると。
私には技術詳細は理解できないので、ドライブチェーンのビットコインへの影響がポジティブかネガティブか判断できません。ただ、カンファレンスのパネルやtweetなどから、Paulのドライブチェーンに対する熱意と執念が尋常ではないことは分かります。なので、コミュニティーのフィードバックに耳を傾けつつも我が道を突き進み、これまで机上の理論だったものをプロダクトとして具現化して見せてほしいので応援します。
世界中で経済的自由、金融主権を侵害する規制強化の動き
アメリカでは、ノンカストディアルウォレット開発者、マイナー、ノード運用者などを規制する法案が提出されたり、ヨーロッパでは、取引所やウォレット事業者に対してユーザーの取引情報の税務当局への提出を義務付けが提案されたり、規制強化の動きは止まりそうもありません。詳細はth_satさんが前号で解説しているので、ご参照ください。
この動きはビットコインに限った話ではなく、ナイジェリアでは、CBDCの普及が進まないことに業を煮やした政府が、1月からATMでの現金引き出しの1日あたりの上限を350米ドル相当から45米ドル相当に引き下げると発表しました。EU域内では、アンチマネーロンダリング(AML)を理由に、1万ユーロ以上の現金決済を違法にする案が審議されています。オーストラリアでは2019年に1万オーストラリアドル以上の現金決済が禁止されました。理由はAMLです。
日本ではまだこうした規制の兆しは見られないかもしれませんが、現金大国と知られる日本も、数年前からのPayPayなどの決済アプリの普及で現金決済は減少しているのではないでしょうか。
金融プライバシーを守る上で、また国民をコントロールする道具としてお金を使う政府に対抗する上で、現金という決済手段は死守すべきです。少なくとも、ビットコインが普及するまでは。
メキシコでは公務員の給与の一部が金券で支払われます。金券が使える店舗が外国資本の大手スーパーマーケットチェーンやデパート(政治家を買収したのでしょう)に限られていたり、アルコールは購入できなかったりと制限があります。労働と引き換えに得た報酬を自由に使えないことに怒りを感じるべきなのですが、政府が節税になると吹き込んでいるので、不満を持っている人は少ないようです。
CBDCはお金の使い道を制限するハードルを撤廃します。米ミネアポリス連邦準備銀行Kashkari総裁の下記コメントはCBDCの本質を突いています。
Venmoにできなくて、CBDCにできるのは、国民の経済活動の監視、マイナス金利の導入、口座からの税金自動引き落とし。なぜ中国が早期採用に躍起なのかわかるだろう。
“Bitcoin or slavery”(ビットコイン、さもなくば奴隷制)というミームがあります。経済のデジタル化が後退することはないので、通貨のデジタル化は不可避です。ビットコインかCBDCかで、未来は大きく変わってきます。
とは言っても、全世界が共通の目的に向けて一致団結することはあり得ないので、こういう未来が現実的なのかもしれません。
このLittle HODLerという可愛いキャラのTelegramステッカーがクリスマスプレゼントとして無料配布されているので、Telegramお使いの方、ビットコイナーとのやりとりにぜひ使ってください。
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