米エネルギー情報局がマイニング業者の電力使用量調査開始へ/LN Marketsが機関投資家デリバティブ取引向けDLC Markets発表
Diamond Hands Magazine Vol.136
th_satです。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
米エネルギー情報局(EIA)、米国のマイニング業者の電力使用量の調査開始へ(出典1, 出典2)
米エネルギー省内の統計・分析機関であるEIAが、米国で活動する暗号通貨マイニング企業の電力消費情報の暫定調査を開始することを発表しました。
特定された商業用暗号通貨マイニング企業を調査し、エネルギー使用に関する詳細を回答するよう求めている。行政管理予算局(OMB)が、緊急データ収集要請としてこの調査(暗号通貨マイニング施設調査)を許可したとのことです。
EIAはまた、暗号通貨マイニング企業のエネルギー使用データの収集に関するパブリックコメントを募集する予定としています。マイニングのエネルギー需要がどのように進化しているかに特に焦点を当て、高い成長を遂げている地理的地域を特定し、マイニングの需要を満たすために使用される電力源を定量化するとしています。
米EIAによる「米国の暗号通貨マイニング事業の電力消費量を追跡調査」と題した発表内容について、以下で詳しくみてみます。
米国における暗号通貨マイニング事業に関連する電力需要は、ここ数年で非常に急速に増加しており、暗号通貨マイニングによる年間電力使用量は、米国の電力消費量の0.6%〜2.3%に相当するとのことです。
この電力使用は、コスト・信頼性・排出量への影響を懸念する政策立案者や送電網計画者の注目を集めている一方、何百万という米国の最終使用顧客の中から暗号通貨マイニング活動を特定することの難しさや、マイニング資産が電力価格の安い地域に急速に移動する可能性がある暗号市場の動的な性質などに起因して、暗号通貨マイニングのエネルギー使用を追跡することが課題になっている、としています。
そこで、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチを採用することによって、米国の暗号通貨マイニング事業による電力使用量の一般的な推定値を作成した。トップダウン・アプローチとして、Cambridge Centre for Alternative Financeからデータを入手するとともに、個々の暗号通貨マイニング事業の所在地と、各施設が使用する可能性があるとする電力量に関するデータを収集する、独自のボトムアップ・アプローチも開発したと述べています。
トップダウン・アプローチによれば、Cambridge Centre for Alternative Financeが発表したCambridge Bitcoin Electricity Consumption Index(CBECI)の推定値を使用することで、米国におけるBitcoin関連の電力需要を概算できるとのことです。
CBECIの推計では、2023年のBitcoinマイニングを支える電力は、世界の電力需要の約0.2%から0.9%。この推計に基づくと、暗号通貨マイニングにおける世界の電力使用量は、ギリシャやオーストラリアの総電力消費量とほぼ同水準にあたると述べています。
また、CBECIは、米国で発生するマイニングの世界シェアは、2020年1月の3.4%から、2022年1月には37.8%に上昇したと推定しています。米国における世界的な活動の割合が約38%にとどまると仮定すると、米国を拠点とするビットコインマイニングによる電力使用量は25TWh〜91 TWhの範囲になると推定されるとした上で、この試算は、2023年の米国全体の電力需要(3,900 TWh)の0.6%〜2.3%に相当すると主張しています。 暗号通貨マイニングを支える米国の電力需要は、300万戸以上から600万戸以上の年間需要に相当するとのことです。
一方、ボトムアップ・アプローチを通じて、可能な限り多くの米国の暗号通貨マイニング施設を特定するよう努め、現在までに合計137の施設を特定しています。
場所と容量のデータがある52の施設を図示すると、21の州に分布し、テキサス州・ジョージア州・ニューヨーク州が多いことがわかります。特定された137の施設のうち、101の施設における最大電力使用量を確認したところ、10,275MWと推定されたとのことです。この量は、米国の年間平均電力需要約45万MWと比較すると、2.3%のシェアに相当するとしています。
暗号通貨マイニングが行われているモンタナ州・ニューヨーク州・ペンシルベニア州にある5つの小規模発電所の電力使用量を追跡したところ、これら5つの発電施設の合計発電量は、暗号通貨マイニングが操業を開始した2021年から急激に増加していることがわかると主張しています。
これら調査を踏まえたネクストステップとして、暗号通貨マイニング活動に関連する電力消費を体系的に評価することに焦点を当てた義務的な調査を実施する予定としています。
米CFTC委員長、「Bitcoin ETPの当局承認が、現物デジタルアセット承認の技術的承認と取り違えるリスク」を懸念(出典)
米CFTC委員長が、アメリカ法曹協会のイベントで、「Bitcoin ETPの当局承認が、黄色信号にもかかわらず、市場参加者が現物商品のデジタルアセットに対する実際の規制監督を伴う製品の技術的承認を取り違えるリスクを引き起こすのではないかとの懸念に言及しました。
まず、「2023年度には、CFTCは、デジタルアセット商品に関連する行為に関する47件の訴訟を提起しており、これは同期間に提起されたCFTCの全訴訟の49%以上に相当する」とs。
米SECによるBitcoinのスポット上場商品(ETP)の上場承認にも触れ、「ETPは法的な確実性を獲得し、大衆に販売する手段を提供する一方、取引決済、利益相反、データ報告、サイバーセキュリティ、顧客保護、透明性、一般的な市場の整合性などの問題に関して、デジタルアセットの現物市場における不透明で一貫性のない慣行に対処するための確たるものは何もないままである」と指摘しています。
その上で、「Bitcoin ETPの当局承認が、黄色信号にもかかわらず、個人・機関投資家を問わず、市場参加者が商品の技術的承認と、現金商品であるデジタルアセットに対する実際の規制当局による監視とを取り違えるリスクをもたらすのではないかと懸念している。 デジタルアセットのコモディティ・スポット市場に関して、6年以上にわたって公に表明してきた懸念は、ますます大きくなっている。 現物市場のデジタルアセットをめぐる連邦法の必要性は、かつてないほど重大であり、引き続き行動を求めていく」と結んでいます。
金融庁、第三者への資金移動が可能な暗号資産交換業者への不正送金対策の強化を発表(出典1, 出典2)
警察庁と連名で、暗号資産交換業者あての送金利用状況などリスクに応じて、次の対策事例も参考にしつつ、利用者保護等のための更なる対策の強化を要請したものです。
暗号資産交換業者への不正な送金への対策事例として、次の2点を例示しています。
(1)振込名義変更による暗号資産交換業者への送金停止等
暗号資産交換業者の金融機関口座に対し、送金元口座(法人口座を含む。)の口座名義人名と異なる依頼人名で行う送金については、振込・送金取引を拒否する。
この際、あらかじめ、ウェブページ等により利用者への周知を図る。
(2)暗号資産交換業者への不正な送金への監視強化
暗号資産と法定通貨との換金ポイントとなる暗号資産交換業者との取引に係る取引モニタリングは、リスク低減措置の実効性を確保する有効な手法であることからパターン分析のためのルールやシナリオの有効性について検証・分析の上、抽出基準の改善を図るなど、暗号資産交換業者への不正な送金への監視を強化する。
トピックリスト
米財務省、マネロン・テロ資金供与に関する2024年国家リスク評価を発表。犯罪者・詐欺師・不正行為者がますます仮想資産に目を向けていると述べ、米国における不正金融の脅威・脆弱性・リスクを強調(出典)
米SEC、証券ディーラーの定義をさらに拡大して、自動マーケットメーカーを含む流動性提供の役割を担う業者に登録を義務付ける旨の規則を採択(出典)
米Blockchain Association、「ディーラー」の定義に関するSEC最終規則について、実行不可能なものであると指摘(出典)
米ハワイ州 、デジタル通貨イノベーション・ラボ(DCIL) が2024年6月30日に終了することに伴い、デジタル通貨事業者はハワイ州内で事業を行う上で、ハワイ州発行の送金ライセンスが不要に(出典)
タイ当局、デジタルアセット取引に対する付加価値税を免除する旨を発表(出典)
「暗号資産交換業者に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」の公表について|金融庁(1月26日)(出典)
2.ビジネス関連の動向
LN Markets、機関投資家向けのデリバティブ取引の新しい方法としてDLC Marketsを導入(出典)
LN Marketsが、Bitcoinの保管を完全に第三者に委ねたくないOTCデリバティブトレーダーにソリューションを提供することを目的として、「DLC Markets」を発表しました。
これは、Bitcoinの先物やオプション、ハッシュレートやブロックスペースに関する商品を、カウンターパーティ・リスクをほとんど負うことなく取引できるものです。
Discreet Log Contract (DLC)を使用することによって、2つの当事者が共同で取引を行うことができ、オラクルが原資産の価格(例:Bitcoinの価格)に関する認証を公表したときに決済が行われる仕組みとされています。
DLC Marketsのウェブサイトによれば、「リスクを最小限に抑えながらOTCデリバティブ取引を管理するためのアプリケーションスイートを提供する」「担保を保管する最も安定した金融インフラに依存しながら、独自の証拠金ルールを用いて、どのような原資産でも、どのような商品でも簡単に設計することができる」としています。
具体的に、DLC Marketsのホワイトペーパーを見てみると、「BitcoinにOTCデリバティブ取引プロセスのセキュリティと効率を強化する画期的なアプローチとして、BitcoinのDLCs を活用することによって、カウンターパーティに対するトラストの必要性を排除し、透明性のあるマージン計算と担保管理を保証する」とされています。
これにより、参加者はマージン資金をDLCに安全にロックできるため、カウンターパーティのリスクが軽減され、中央集権的な仲介業者への依存を軽減できるとのことです。
このトラストレスマージンモデルは、マージンコールや、担保の送金、決済を自動化することによって店頭デリバティブ取引プロセスを合理化し、効率の向上と運用の複雑さの軽減につながると述べています。
これにより、参加者は自分の資産を完全に管理できるようになり、より透明性と回復力のある OTC デリバティブ市場を促進できるとしています。
将来的には、Taproot マルチシグを DLC に統合し、BLS 証明書を用いて清算メカニズムを強化し、ステートレスなオラクル管理を容易にすることを想定しているとのことです。
Google、暗号通貨トラストが商品を宣伝することを広告ガイドラインで許可(出典1, 出典2, 出典3)
Googleは昨年12月、Cryptocurrencies and related products policyを更新し、Cryptocurrency Coin Trustの広告の範囲と要件を明確にすることを発表していました。
これを踏まえ、2024年1月29日以降、米国をターゲットとする暗号通貨トラストを提供する広告主は、以下の要件を満たし、Google が認定した場合に、それらの製品およびサービスを広告することができることになります。
暗号通貨トラストの例として、「投資家が大規模なデジタル通貨プールを保有する信託の株式を取引できる金融商品」を挙げています。
FT記事によれば、このGoogleによる広告許可をうけて、BlackRock・Fidelity・Grayscale・Invesco・BitwiseなどがBitcoinETFのプロモーション開始を発表したとのことです。
トピックリスト
ジンバブエの低帯域幅環境下におけるLightningウォレットの動作比較(出典)
PhoenixとWallet of Satoshiは高い信頼性とスピードを示し、Phoenixはカストディアル型のWallet of Satoshiよりも優れたパフォーマンスを示した。
Green、Mutiny、Phoenixはユーザーフレンドリーな12ワードのシードフレーズを提供する一方、BlixtとZeusは24ワードのシードを提供。
Greenの「強制バックアップ」は特筆すべきセキュリティ機能。
クラウドバックアップは、いくつかのウォレットがこのオプションを提供しているように、ユーザーデータのセキュリティに関する懸念を提起した。
アプリのロック設定と、オンチェーンビットコインウォレットの可用性も考慮された。
総合的なパフォーマンスと信頼性ではPhoenixがトップで、使いやすさではMutinyが続いた。
River Financial が2023年10月に発表したライトニングネットワークのレポートから、企業やプロジェクトを一つずつ調べたので共有します〜1.3 ウォレットインターフェース(出典)
Bitcoin Mining Companiesリスト(出典)
Bitfinex、BlocktankのLightningチャネルサービスを開始。BlocktankおよびSynonymとの統合によりLightningチャネルを入手可能に(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!