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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. ビジネス関連の動向
Lightspark、アフリカ向けにUniversal Money Address (UMA)を提供(出典)
Lightsparkは、アフリカのon/off-rampプロバイダーYellow Cardと提携し、アフリカ向けにUniversal Money Address (UMA)を提供することを発表しました。
UMAネットワーク上で、Lightspark Extendを搭載したYellow CardのPayments APIとのインテグレーションを通じて、アフリカ20か国にクロスボーダー決済の送受信が可能になるとのことです。
これにより、アフリカの企業と消費者が、モバイルマネーやアフリカ諸国での銀行振込など、簡単で即時の支払い方法を使用して、法定通貨から法定通貨への支払いまたはBitcoinの送受信など、迅速でオープンなクロスボーダー決済にアクセスできるようになります。これは、この規模では初めてのことだということです。
さらにLightsparkは、UMAを使用して、米国からメキシコに数秒で送金可能になったことも発表しました。(出典2, 出典3)
米国の銀行口座保有者はメキシコの銀行口座保有者に USD を送金し、メキシコの銀行口座保有者は MXN を受け取ることができるようになります。
上記と同様に、Lightning を活用して超高速でコスト効率の高いトランザクションを保証するLightspark Extendソリューションを使用するものです。
Microsoftの株主、総資産のBitcoinへの分散提案を拒否(出典)
Microsoftが、年次株主総会において、全米公共政策研究センター(NCPPR)によって提案された「インフレに対する潜在的なヘッジとして、総資産の1%をBitcoinに分散することを検討」するよう取締役会に指示する提案「Assesment of investing in Bitcoin」を否決しました。
提案を支持した株主はわずか0.55%だったとのことです。
Proxy Statement 2024の内容はこちらで参照できます。
なお、この提案を行った全米公共政策研究センター(NCPPR)は、Amazonに対しても、Bitcoinを同社の財務準備戦略に含めるかどうかを年次株主総会で議論し、同社が総資産の少なくとも5%をこの仮想通貨に投資することを推奨する旨の株主提案文書を提出しています(出典)。
BlackRock、Bitcoinへのエクスポージャーの妥当な範囲として、1〜2%の配分を示す(出典)
Bitcoinに2%以下を割り当てることで、投資家は「1)非常に異なる収益とリスクの源泉を導入し、2)ビットコインへのリスクエクスポージャーを管理することができる」、としています。
トピックリスト(ペイメント)
Philips Walita コーヒーマシンを、Lightning Network決済に対応したスマートコーヒーディスペンサーに改造するプロジェクト(出典)
商品やサービスと引き換えにBitcoinを受け入れるマーチャントのリスト(出典)
トピックリスト(セキュリティ)
Casa、国家が専用のセキュリティモデルを用いて戦略的Bitcoin準備金の秘密鍵を保持できるセルフカストディソリューション「Praetorian by Casa」を発表(出典)
Bitcoin ATM大手のByte Federal、ハッカーが5万8千人の顧客の名前・住所・電話番号・政府発行の身分証明書・社会保障番号・トランザクション・ユーザーの写真などのデータにアクセスしようとした旨、メイン州司法長官に提出した文書で明らかに(出典)
トピックリスト(企業保有)
MicroStrategy、15,350 BTCを取得。1BTCあたり平均$100,386で$1.5b相当のBitcoinを取得済みであり、現在合計439,000 BTCを保有(出典)
BitcoinマイニングのMARA、ゼロクーポン転換社債の発行収益を通じて1BTCあたり約$96,000で 11,774BTCを取得。2024年12月9日現在、同社は40,435BTCを保有(出典)
BitcoinマイニングのRiot Platforms、1BTCあたり平均$99,669で、約5,117BTCを取得。2024年12月12日現在、同社は16,728BTCを保有(出典)
Riot Platforms、さらに667 BTCを取得(出典)
トピックリスト(金融機関)
米国で上場されているスポットBitcoin ETFは1,104,534 mBTCにのぼり、Satoshi Nakamoto(1,100,000 mBTC)を含む世界中のどの個人・企業・政府よりも多くのBTCを保有している、とするBloombergアナリストのレポート(出典)
豪州の年金資産管理会社AMP、シカゴ・マーカンタイル取引所のBitcoin先物商品にA$27mの割り当て(出典)
トピックリスト(マイニング)
E4pool、「ロシア政府のマイニング事業者リストに登録するには、顧客に関するすべてのデータを税務署に提出する必要があるが対応できない」として、プールを停止し、サーバーをシャットダウンする旨を発表(出典)
2.規制関連の動向
戦略的Bitcoin準備金について各国で提案あるも、米国では冷静な見方が出始めている
米国の各州において、戦略的Bitcoin準備金の提案が提起されています。
こうした準備金設立の動きを加速すべく、Bitcoin Policy Instituteは、戦略的Bitcoin準備金を設立するための大統領令の提案起草を発表しました。(出典)
米国以外においても、EU・ロシアで提案されている他、日本でも質問主意書が参議院に提出されるなど、動きが出ています。
欧州議会議員、EUのための戦略的Bitcoin準備金の設置を提案(出典)
ロシア国会議員、「従来の通貨の国家準備金に倣って、ロシアで戦略的Bitcoin準備金を創設することの実現可能性を評価する」よう提案。伝統的な外貨準備は変動性・制裁の影響・インフレの影響を受けやすく、国家の財政安定に脅威を与えるとし、独立した準備金を保管するための代替手段を導入する必要がある、としている。(出典)
参議院に「米国等が進めているビットコイン準備金導入の動きの把握状況等に関する質問主意書」が提出。”我が国においても、外貨準備金の一部をビットコイン等の暗号資産にすることを導入すべきかどか、検討を始めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい”旨(出典1, 出典2)
しかし一方で、こうした動きに対して、米連邦準備制度理事会のJerome Powell議長は、「我々はBitcoinを所有することは許されていない。連邦準備制度法は我々が何を所有できるかを定めており、我々は法律の変更を求めていない」として、バランスシートにBitcoinを追加するという考えを拒否する姿勢を示しました。(出典)
直近では、中銀や当局サイドではなく、いわゆる界隈でも、冷静な見方が目立ってきましたので、注目したいと思います。
たとえば、Nic Carter氏は、戦略的Bitcoin準備金について、「実現可能性は低いし良いアイデアと思わない」とする意見を表明していますので、同氏の主張を紹介します。(出典)
米国はドルを発行しているため、ドルに対するエクスポージャーをヘッジする必要は無く、Bitcoin準備金はドルを支えるものではない。
また、Bitcoinは準備金ポートフォリオに何らかの影響を与えるほどの規模や流動性には程遠い。戦略的Bitcoin準備金に「戦略的」目的がない。
大統領令でBitcoin購入を強制することが可能だとしても、簡単に実行できることは簡単に元に戻ってしまうため、長続きしない。政策が不評だった場合、準備金を即座に売却し、Bitcoin市場に混乱を引き起こす。
政府によるBitcoinの購入は、納税者からBitcoinユーザーへの富の移転とみなされ、一般大衆を遠ざけBitcoinユーザーに敵対させるため、Bitcoin普及の軌道を深刻に複雑にしてしまう。
前述のBitcoin Policy Instituteによる、戦略的Bitcoin準備金に関する米大統領令の提案に対しても、L0laL33tz/氏が以下のような批判コメントを示しています。(出典, 出典)
Bitcoinを「価値保存資産」と定義することは、ossification[骨化・硬直化]のナラティブを強化するため、Bitcoinをお金としてより使いやすくするための変更を優先する際に開発者が危険にさらされる可能性がある。
Covenantsを発動するためのソフトフォークは、米国の主要な目標の定義に反する米国の国家安全保障の問題になる可能性があるため、開発者は米国政府の攻撃対象になってしまう。
連邦機関は押収したBitcoinを競売にかけることはできず、戦略準備金に寄付しなければならないとされているため、一般市民が利用できる流通Bitcoinが減るだけでなく、米国が押収活動を強化する動機も生まれ、AML/KYCの強化が考えられる。
バンクーバー市議会、Bitcoinに優しい都市になることを検討する動議を正式に承認(出典1, 出典2)
カナダのバンクーバー市長が市のバランスシートにBitcoinを組み込むなどの計画を発表したことを受けて、12/11に議会で審議が行われ、提案が承認されました。
この提案は、税金や手数料をBitcoinで受け入れることや、市の財政準備金の一部をBitcoinに転換することなど、Bitcoinをバンクーバーの財政戦略に組み込むことを提案するものです。
バンクーバー市議会で承認された「Bitcoinに優しい都市になることを検討」する動議内容は、以下のようになっています。
バンクーバー市は、市の財政健全性を守るための準備金を保有している。
バンクーバー市には、準備金を慎重に管理し、資金の購買力を保護する受託者責任がある。
中央集権型通貨システムを通じた従来の不換紙幣の購買力は、近年、インフレ圧力、拡張的金融政策、経済不安により、大きな通貨の価値低下につながる課題に直面している。
Bitcoinはオープンで分散化された安全なデジタル資産として、多くの金融専門家やアナリストからインフレや通貨の価値低下に対する潜在的なヘッジ手段として認識されており、供給量が限られており世界経済で採用が進んでいることから、価値の保存手段として有効であると考えられている。
世界中で多くの都市が、Bitcoinやその他の暗号通貨を金融戦略に統合することを検討し始めており、さらにはBitcoinを支払い方法として受け入れるなどしている。Zug、Lugano、ペンシルバニア州など。
Bitcoinマイニングは、取り残された再生可能資源や廃棄メタンから低コストの余剰エネルギーを消費することで、排出量を削減し、グリッドの安定性をサポートすることで、環境上の利点を示している。
バンクーバーでは、2013年に世界初のBitcoin ATMが市内コーヒーショップに設置された。
バンクーバー市の金融準備金と支払いオプションをBitcoinを含むように多様化することは、市の金融ポートフォリオの回復力を高めるだけでなく、伝統的な通貨の変動に対して貴重な税金やその他の金融資源の価値と購買力を維持し、最終的には市の納税者に利益をもたらす。
と同時に、通貨の価値低下やインフレなどデジタル時代の経済的課題と戦うために必要な革新的な金融戦略とアプローチに市を合わせることにつながる。
2025年第1四半期末までに、このような「Bitcoinフレンドリーシティ」戦略の実現可能性、リスク、潜在的な利点について評議会に報告するように指示する。
IMF、エルサルバドルとの間で、Bitcoin関連のリスク軽減について職員レベルで合意と発表
IMFは、エルサルバドルとIMFの拡大基金制度(EFF)に基づく約14億ドルの新しい取り決めについて、職員レベルの合意に達したことを発表しました(出典1)。
(なお、国を訪問した後の暫定的な調査結果を伝えるIMF職員チームの声明であり、必ずしもIMF理事会の見解を表すものではありません。この合意はIMF理事会の承認を条件としています)
この中で、Bitcoin関連のリスクは軽減されていることが示されました。
具体的には、以下が記載されています。
法改正により、民間部門によるBitcoinの受け入れは任意となる。
公共部門については、Bitcoin関連の経済活動への関与、およびBitcoinの取引と購入は制限される。
税金は米ドルでのみ支払われ、暗号通貨電子ウォレット(Chivo)への政府の参加は徐々に解消される。
一方で、エルサルバドルのBitcoin Officeは、「Bitcoinは法定通貨のままであり、戦略的Bitcoin準備金のためのBitcoin購入は継続する」旨をコメントしています(出典2)。
トピックリスト
米Coin Center、2025年に向けた最優先政策を発表(出典)
ノンカストディアルソフトウェア開発者に対する不当な訴追を阻止
米国人の国内取引を阻止するための制裁法の悪用を阻止
米国人が自らの暗号通貨を保有することを保護
米国の暗号通貨ユーザーに対する賢明な税制改革
ブロック報酬に対する平等な税制措置
有害な暗号通貨税制要件の廃止・修正
証券および商品法の明確化
米Bitcoin Policy Institute、Samourai Wallet とBitcoinのセルフカストディへの影響に関するレポートを発表(出典)
米司法省の法的理論は、ノンカストディアルツールに脅威をもたらし、ピアツーピア取引を促すだけで資金送金業者規制の対象となる可能性がある。
この解釈が支持されると、セルフカストディツールが「資金送信業者」として再定義されるリスクがあり、開発者とユーザーの両方に厳しいコンプラ負担を課す可能性がある。
米財務会計基準審議会 (FASB)、特定の暗号資産の会計と開示を改善することを目的とした会計基準更新 (ASU) を発表(出典)
Samourai Walletの次回の公判前審理、12月17日から2025年3月12日に延期(出典)
欧州証券市場監督局 (ESMA)、MiCAの完全適用開始に先立ち、規制技術基準およびガイドラインを含む最終報告書の最終パッケージを発表(出典)
タイ首相、Bitcoinを支払い手段として受け入れる可能性を検討するよう財務省に対し要請。プーケットのような場所でBitcoinを受け入れるサンドボックスを作ることを提案するもの(出典)
エルサルバドルとアルゼンチンの規制当局、仮想通貨規制で協力する協定に署名(出典)
マレーシア財務省、マレーシアで仮想通貨がマネロン手段として使用されている事例は少ないと発表(出典)
国税庁|暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!