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Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
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それでは、この1ヶ月について、トピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
IMF、エルサルバドルに対し「Bitcoin法の範囲を狭め、規制の枠組みとビットコインエコシステムの監視を強化し、公共部門のビットコインへのエクスポージャーを制限すること」を推奨(出典:10/3付)
IMFは、エルサルバドルにおけるBitcoin導入がもたらす潜在的なリスクについて懸念を表明し、Bitcoin法の適用範囲を狭め、Bitcoinエコシステムの規制枠組みと監視を強化するよう以下を勧告しています。
Bitcoin法の範囲を狭めること
国民によるBitcoinの使用に対する規制を強化すること
政府がBitcoinを売却すること
IMF 記者会見のトランスクリプト書き起こしによると、エルサルバドルとの協議に触れ、「Bitcoinから生じるリスクへの対処は、議論の重要な要素である」とした上で、「Bitcoin法の範囲を狭め、Bitcoin エコシステムの規制枠組みと監視を強化するとともに、公共部門のビットコインへのエクスポージャーを制限することを推奨している」としています。
ECB、Bitcoinについて後発者・非保有者が早期採用者の犠牲になるため社会的観点から問題とするペーパーを発表(出典:10/22付)
欧州ECBが、Bitcoinについて「より優れたグローバルな決済手段を世界に提供するという、サトシナカモトの当初の約束は実現しなかった」「価格が永久に上昇する場合、非保有者と後発者の両方を困窮させる」とするペーパーを発表しました。
この中であ、「価格が上昇し続けるというシナリオでさえ、社会的観点から問題がある。なぜなら、価格上昇を通じて早期採用者が享受する富の効果はすべて、貧困に陥った後発者・非保有者の犠牲になるため」と指摘しています。
ECBが発表したこのペーパーについて、「アーリーアダプターが後発者から経済的価値を盗む」とし、「社会の分断を防ぐために法制化が必要」と主張するなど、当局がBitcoinへの過酷な課税や禁止を制定するためにこの議論を利用することが懸念される、と指摘もされています。(出典2)
同様に、このペーパーに対して、「金融包摂、国境を越えた支払い、技術革新においてBitcoinが提供する現実世界のメリットも見落としている」として反論するペーパーも提示されています。(出典3)
グローバルのトピックリスト
WEF、デジタル資産規制の現状に関するレポートを発表(出典:10/3付)
「マネロン防止と顧客情報」「規制と技術的サンドボックス」「分散型金融」「プライバシーとセキュリティ」という4トピック
暗号資産ビジネスに優しい国として、ドバイ・スイス・韓国・シンガポール・米国が上位にランクイン(出典)
米国のトピックリスト
オハイオ州で、州税や地方税の支払いに暗号通貨を使用することを合法化する法案が提出(出典:9/30付)
米上院議員、1978年金融プライバシー権法を改正する「プライバシー保護法(Saving Privacy Act)」案を提出(出典1, 出典2:10/4付)
米国市民の個人を特定できる情報を収集する新たなデータベースには議会の承認を必要とする他、CBDCの創設を禁止するもの
米SEC、ビットコイン上場投資信託のオプションの上場および取引を許可する規則変更案の迅速承認命令(出典:10/18付)
米ペンシルバニア州下院、住民のセルフカストディアルなデジタルアセットの権利を保護し、Bitcoinを支払い手段として使用できることを保証し、Bitcoin取引への課税に関する明確なガイドラインを提供するBitcoin Rights法案2481を可決(出典:10/24付)
米ミネアポリス連邦準備銀行、「ビットコインを法的に禁止することで、恒久的な基礎的財政赤字の特異な状態を回復でき、ビットコイン課税できる」旨のペーパーを発表(出典:10/17付)
「ビットコインを法的に禁止することで、恒久的な基礎的財政赤字の特異な状態を回復することができ、ビットコインに-(r - g) > 0の税率で課税することもできる」旨のペーパーを発表
「取引可能な役に立たない紙切れ(略してビットコイン)」とも
これに対し、このペーパーの中心的な結論は、「Bitcoinの存在によって政府が無期限に赤字を出すのを防ぎ、長期的には政府に予算の均衡を強いることができるというもの」であるという見方もある(出典)
欧州のトピックリスト
オランダ税務当局、暗号通貨の所有権に関する透明性を高め、租税回避や脱税を防ぐべく、暗号通貨サービスプロバイダーにユーザーのデータを収集・確認し、税務当局と共有することを義務付ける法案草案について意見収集(出典:10/24付)
アジア太平洋のトピックリスト
UAE、暗号資産取引について付加価値税(VAT)支払い免除を発表。2018年1月1日時点の取引に遡って適用(出典:10/7付)
日本のトピックリスト
2.ビジネス関連の動向
Diamond Hands、独自の「sats4ads」機能を備えたDiamond Walletのベータ版をリリース(出典1, 出典2, 出典3:10/2付)
Breez SDKとBlockstreamのGreenlightのノードを使用して構築された、日本とアジア初のセルフカストディアルな Lightningウォレット
Bolk Link と「sats4ads」機能を統合しており、セルフカストディアル方式でユーザーに直接報酬を支払うことができる
ユーザーは、Bolt Link をクリックして、ウォレットがアプリ内ブラウザで広告を表示することによって、少額の satsを請求できる
有効なLightningチャネルを持つユーザーのみが、Bolt Link 経由でsatsの報酬を請求できる
自己管理型ウォレットの設定にかかる初期コストを、スパムを削減するメカニズムとして活用することによって、カストディアル型およびKYCモデルに代わるスパム防止スキームに
デモ動画はこちら
Blockstream、SimplicityをLiquidテストネット上でアクティベート(出典1, 出典2:10/10付)
Blockstreamが、SimplicityをLiquidテストネット上でアクティベート。
併せて、Simplicityの関数型プログラミングの詳細を抽象化する「Simfony」も発表。
Simplicityは、2017年にホワイトペーパーが公開された。
Bitcoin Script や Ethereum の EVM よりも優れたスマート コントラクト言語を構築することによって、より表現力豊かでより強力な安全性保証を提供することを掲げていた。
フロントエンド言語「Simfony」は、Simplicityにマッピングしながらも、Rust言語に似た外観と操作性を備える。
Simplicity の関数型プログラミングの詳細の一部を抽象化し、開発者がプログラムやコントラクトを記述しやすくするように設計されている。
今後、SimfonyおよびSimplicityを使い始めるのに役立つサポートツールやドキュメントがリリースされる予定。
今月開催されるTABConfカンファレンスにおいて、Elementsノードの設定手順を説明するハンズオンワークショップ「Writing smart contracts in Rust using Simfony workshop」が開催予定。
Bitkey、Robinhoodとのパートナーシップを発表(出典:10/3付)
Cash App、Coinbase、MoonPayに続くもの。
Robinhoodアカウントを使ってBitcoinを直接Bitkeyに送金・購入が可能
このパートナーシップによって、Bitcoinを取引所からBitkeyのセルフカストディウォレットに簡単かつ安全に移動できるようにすることで、セルフカストディのアドプションのパイを広げ、ひいてはBitcoin取引へのアクセス拡大に役立つとしている。
Lightspark、パートナー向けのイベント「Lightspark Sync」で新ソリューション発表(出典1, 出典2, 出典3, 出典4, 出典5:10/25付)
Lightsparkが主催したパートナー向けのイベント「Lightspark Sync」において、同社のオープンな決済ネットワークに関する進捗状況や将来の計画が発表された
Lightsparkの製品は、規制対象の金融サービス企業を念頭に置いて構築されている
さまざまな顧客決済体験をサポートし、リスク管理、AML/CFT、制裁、トラベルルール、その他の要件に対応できる
Lightspark Syncにおいて発表されたのは、以下の3つ
①UMAの新たな基本機能「UMA Auth」および「UMA Request」
②Lightsparkのアップデートとして「Lightspark Extend」
③Stablecoinとセルフカストディアルウォレット向けの新しいBitcoin L2であり、Lightning 互換ソリューション「Spark」
UMAは、LNURL 上に構築されたオープンソースのメッセージング標準であり、「マネーのための電子メール」と例えることができる
法定通貨、Stablecoin、または人間、企業、AI エージェントがリアルタイムで移動または交換する必要がある価値の形式での取引を可能にするもの
さらに、UMA Authは、「マネーのためのOAuth」として、企業が決済をアプリケーションやサービスに直接統合する拡張機能
「Nostr Wallet Connect」上に構築されており、消費者と企業がウォレット、プラットフォーム、サービス間で双方向の接続を作成できるもの
プラットフォームとユーザーの UMA 対応ウォレット間の双方向接続を通じ、誰もが簡単に安全な認証を可能に
UMA Authを使って、銀行口座やウォレットをメッセージングアプリやメール アプリに接続できるようになる
企業やUMA対応ウォレットがネットワーク上の別ウォレットに支払いをリクエスト可能に
マーチャントは、数回タップするだけで、UMA対応のウォレットからシームレスに支払いをリクエスト可能
これにより、EC、B2B請求書、通貨、支払システム、ウォレット、銀行をまたいだシンプルなP2P送金リクエストが可能になる
「Extend」は、米国の適格な口座保有者に対して Lightning および即時支払いを可能にする企業向けコンプライアンス準拠ソリューション(出典3)
さらに、Lightsparkは、ノンカストディアルウォレットが実質的にコストをかけずにリアルタイムで支払いを送受信できるようにするBitcoin L2「Spark」を発表した(出典4, 出典5)
Sparkは、BitcoinとLightningの残りの課題に対処すべく、「セルフカストディアルウォレットのスケーリング」および「Bitcoin上のStablecoinの有効化」に重点を置いている
これら2つの機能を組み合わせることによって、Bitcoinがお金のSMTPになるのに役立つ、としている
なお、新しい Bitcoin L2 がトークンを発行することはない
ペイメントを巡るトピックリスト
Ashigaru WalletのコードをSamourai Walletと比較したレビュー記事(出典:9/29付)
Coinbase․comユーザー、TaprootアドレスにBitcoin送金可能に(出典:10/9付)
Ark Labs、Boltzとの提携を発表(出典:10/14付)
Lightningの流動性スワップにArkを統合することで、スケーラビリティを向上させ、手数料を削減
Lightningを暗号資産取引所が採用する主な理由と、利益改善、顧客満足度の向上、サポートチケット削減へのインパクトに関する記事(出典:10/26付)
トランザクションコスト削減
必要な場合にのみオンチェーンで決済するオフチェーン取引を実行することで、Lightningは従来のBitcoin 取引に関連する手数料を大幅に削減
即時決済
決済が遅いときに価格が急激に変動すると、特に高頻度取引や裁定取引において、取引所が大きな損失にさらされるといった市場リスクに対応
柔軟でプログラマブルな決済ソリューション
標準支払い、マイクロトランザクション、ストリーミング支払い、スマート コントラクトを使用したプログラマブルな支払いといった、様々なトランザクションタイプをサポート
投資を巡るトピックリスト
MicroStrategyのBitcoin戦略
MicroStrategyのBitcoin戦略の特徴(他社が真似できない理由)(出典:10/12付)
米ドル資本市場とBitcoin市場のギャップを埋め、投資可能な商品を生み出している
MSTR株式を通じて、投資家はBitcoinのボラティリティにアクセスできることとあわせ、さらに株式自体もダウンサイドプロテクションを提供している
MicroStrategyは、株式・転換社債・債券・優先株にまたがるBitcoin資本市場商品を創出する金融会社を目指している(出典:10/11付)
低コストの負債と魅力的な転換プレミアムから利益を得るモデルは、中小企業にとってはコピーが難しく、大企業には事業内容が多岐にわたり提供しにくい特徴
MicroStrategyは、Bitcoinを単なる投資対象ではなく、新しい金融インフラストラクチャの基盤と捉えている(出典:10/12付)
Bitcoin関連ソリューション開発を通じてエコシステム拡大に貢献することによってアドプションを促進
Bitcoin、世界の上位貨幣資産の最新ランキングで、ゴールド・米ドル・ユーロ・中国元・日本円に続く第6位に(出典)
MicrosoftのSEC提出書類で、次回の株主総会にて、インフレに対するヘッジとしてBitcoinを検討する提案(出典:10/25付)
マイニングを巡るトピックリスト
エネルギー産業に革命を起こすビットコインマイニング【Bitcoin Tokyo 2024】(出典)
Bitcoinとエネルギーに関するプレゼンテーションスライド(出典:10/2)
Bitcoinマイニングはエネルギーの無駄ではなく、Bitcoinネットワークのセキュリティ確保、健全な通貨の実現、コストを上回る社会的利益の提供において重要な役割を果たしている
東京電力の子会社「Agile Energy X」が登場したStephan LiveraのPodcast動画(出典1, 出典2)
廃棄された再生可能エネルギーをビットコインマイニングに活用する方法、日本でのビットコインマイニングの拡大、「究極の循環型経済」、そして日本が多様化したエネルギー戦略を必要としていることについての洞察を共有
Agile Energy Xの掲げる"Ultimate Circular Economy"
社会生活を巡るトピックリスト
エルサルバドルで成人1224人を対象とした調査で、「Bitcoinを何らかの取引に使用しているか」との問いに対して、回答者の7.5%が「はい」と回答する一方、92.0%が「使用していない」と回答(出典)
Bitcoin Tokyoの「ビットコインと地政学:国家と地方自治体のビットコイン戦略」セッションをYoutubeで一般公開(出典)
金融機関を巡るトピックリスト
BlackRock、Bitcoinのボラティリティは着実に低下しており、この傾向は普及が進み資産が成熟するにつれて続くとする予想を示す(出典:10/3付)
オルタナティブ投資運用協会(AIMA)とPwCが発表した、「第6回 グローバル・クリプト・ヘッジファンド・レポート2024」(出典:10/10付)
デジタルアセットへのエクスポージャーを有する伝統的ヘッジファンドの比率が、2023年の29%、2022年の37%から、47%に増加
BlackRockの第3四半期決算説明会の内容(出典:10/15付)
Bitcoinを一つの資産クラスと見なし、ゴールドのような他のコモディティに代わるものと位置付け
その他トピックリスト
LN Summit 2024サマリー(出典)
Bitcoin Amsterdam 2024
bitcoin++ ecash edition (workshop)の動画(出典)
ベルリンで10/11-13に開催された「bitcoin++ ecash Edition」の動画リスト(出典)
Bitcoin Tokyo 2024 の「進化するビットコイン - 長期視点で事業を構築できる堅牢かつ安全な基盤」セッションの動画(出典)
Bitcoinが真にユーザーにとって信頼性の高い決済手段となるためには、プライバシー確保が不可欠であり、そのための技術的進歩とコミュニティの協力が重要(出典:10/6付)
Blockstream、FulgurVenturesをリードとして$210Mの転換社債資金調達ラウンドを完了(出典:10/15付)
Lightning Networkについて、「追加のトークンやインセンティブプログラムに依存せず、決済むけユースケースを中心に有機的に成長しており、Bitcoin決済にとって真に有用で効果的なソリューションとしての役割を強化している」とする記事(出典:10/15付)
主要な取引所がLightning Networkサポートを組み込むなど、Bitcoin決済におけるLightning Networkの役割が高まっている
マクドナルドやウォルマートなどの企業がLightning Network決済を受け入れ
Michael Saylor氏がセルフカストディリスクを否定したことを批判し、政府による押収リスクへの懸念を示す公開書簡(出典:10/21付)
Bitcoinのセルフカストディソリューションの状況を調査し、デジタルおよび物理的な脅威から秘密鍵を保護することの重要性や、Casa、Liana、BitVault などについて紹介している記事(出典:10/16付)
Bitcoinカストディの隠れたコストについて考察し、サードパーティやセルフカストディオプションに関連するリスクを取り上げ、Bitcoinを保護するための安全なソリューションとして複数機関によるカストディを提唱する記事(出典:10/19付)
Bitkeyによる、マス向けにセルフカストディを安全かつユーザーフレンドリーにすることに重点を置いた、スマホ ベースのBitcoinウォレットに関するホワイトペーパー(出典:10/24付)
TradFiによるBitcoinの採用に注力する人々は、セルフカストディに注意を払っていないとする指摘(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!