米国クリプト銀行破綻の影響/ビットコインの電力消費とCO2排出量アップデート
Diamond Hands Magazine Vol.65
Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめです。
3月中盤、皆さまいかがお過ごしでしょうか?今年のカナダ西海岸は肌寒くて、なかなか春が来ません。日本から桜開花のニュースを聞くと羨ましくなります!
ビットコインは様々な要因で価格が下がっていましたが、米国で次々に破綻した3つの銀行の顧客預金を全額保護するという現地日曜12日の政府救済策発表の後、急反発して一時 $26,000を超えました。ビットコイナーとしては嬉しいやら哀しいやら、複雑な心境です。
Diamond Handsコミュニティは国内外の関連企業から支援してもらっています。ありがとうございます!
重要リンク集💎🙌
Diamond Hands Wiki (ライトニングやルーティングに関するリソース集)
Lost in Bitcoin(ビットコイン学習リソース集)
Silvergate, Silicon Valley, Signature Banks, 3つの銀行の破綻
米国では、先週水曜日にクリプト企業を支えてきたSilvergate銀行が事業閉鎖を発表、それに続いて金曜日に多くのスタートアップ企業を支えてきたSilicon Valley銀行(SVB)が、日曜日にはSignature銀行が破綻し、多くの人に衝撃を与えました。これら3行はいずれもクリプト業界と深いつながりがありました。現地では多数のスタートアップ企業に深刻な影響が出そうだと、関係者が週末中状況を注視していました。
米国政府は現地の日曜午後、アジアの週明け株式市場スタート前に、各銀行の顧客預金を全額を補償すると迅速に発表し、大きな混乱は避けられましたが、月曜13日には多くの米国銀行株が大幅に下落しました。
今回の銀行破綻と異例の政府対応によって、FRBや銀行への信頼度がさらに下がったことは間違いないでしょう。サトシナカモトがビットコインのジェネシスブロックに刻んだメッセージを思い起こした方も多かったでしょう。
“𝐓𝐡𝐞 𝐓𝐢𝐦𝐞𝐬 𝟎𝟑/𝐉𝐚𝐧/𝟐𝟎𝟎𝟗 𝐂𝐡𝐚𝐧𝐜𝐞𝐥𝐥𝐨𝐫 𝐨𝐧 𝐛𝐫𝐢𝐧𝐤 𝐨𝐟 𝐬𝐞𝐜𝐨𝐧𝐝 𝐛𝐚𝐢𝐥𝐨𝐮𝐭 𝐟𝐨𝐫 𝐛𝐚𝐧𝐤𝐬.”
(英国タイムズ紙 2009年1月3日 財務大臣は銀行への2度目の救済措置の瀬戸際)
一方、金融市場からクリプト企業を締め出そうという動きはFTX崩壊後から加速しており、クリプト企業と取引の多かった3つの銀行閉鎖は意図的に業界を破壊しようとするものだと怒りの声も上がっています。


かつて、米ドルを置き換えるとまで言われたCircle社のステーブルコインUSDCも、週末にSVBにあった資金が凍結された影響で大量の売り注文により一時的に87セントまで値下がりしました。ほぼ1ドルまで値を戻しましたが、今後どうなるか。エルサルバドルでビットコイン推進に力を入れるMax Keiserは3カ月前にすでにUSDCは危ないという警告していました。ステーブルコイン、安定しませんね。

米国バイデン大統領、増税プラン発表
さて、銀行破綻ニュースの直前には、米国バイデン大統領が議会への予算要求で、ビリオネアに対して最低25%課税、100万ドル以上の投資家へのキャピタルゲイン税を約40%にアップ、そしてビットコイン(他クリプト含む)採掘にかかる電気代に30%課税するプランを発表し、ビットコイン価格を押し下げていました。
ビットコイン採掘の電気代に対する増税は毎年10%ずつアップし3年間で30%にする計画とのこと。これが実現すれば、米国の採掘事業規模は縮小することが予測されますが、大手事業者はいずれ米国から他の国へ移動して採掘を再開すると思われます。
参照記事:
ビットコインの電力消費とCO2排出量
2017年にWorld Economic Forum(WEF)は、2020年にはビットコインが世界中の電力を使い尽くすと予測していたのをご存じでしょうか?
現実は、当時の予測とは全く異なり、2022年9月の米国政府レポートはビットコインおよび他のクリプト事業の電力消費量をグローバル消費量の0.4~0.9%と算出しています。これは世界の一般データセンター(Google, Amazon 等)の電力消費量とほぼ同等です。


Daniel Battenの今月のアップデートでは、この3年でマーケット規模は3倍に、利用者は4倍に増えたにもかかわらず、ビットコインによるCO2排出量は3年前とほぼ同じレベルです。持続可能なエネルギー利用率は52.6%に上昇、ハッシュレートと消費電力量は増加でも、CO2排出量は下降トレンドです。エネルギー消費効率化により、ビットコイン価格が上昇しても排出量は抑制されています。
ビットコイン採掘では、石油生産時に出る有害なメタンを含むフレアガスを吸収してエネルギー利用するなど、温室効果ガス削減にも取り組んでおり、このトレンドが続けば次の4年でカーボンネガティブを達成できる可能性も試算されています。
ビットコインNFTの行方
NFTで大きな影響力を持つYugaLabsが、3月6日にビットコインのOrdinalsを用いた12種類のアート作品によるオークションを開き、24時間で$16.5 MIL(約22億円相当)を売り上げました。
一時は通常に戻ったかと思われたmempoolの状況は、このようなOrdinalsを利用したinscriptionsにより、タイミングによっては今も混みあっており、低い手数料でのオンチェーン送金には非常に時間がかかる場合があります。知人は先週、送金完了に18時間かかったそうです。
ごっつさんの記事で紹介されていたように、ビットコインNFTには熱烈な支持派もいて、Taproot Wizardsというプロジェクトもスタート。このブームは続きそうです。
参照記事:https://cointelegraph.com/news/yuga-labs-first-bitcoin-nft-auction-nets-16-5m-in-24-hours
イタリア:高校生のためのビットコイン教育プロジェクト
イタリア、トリノの公立大学Politecnico di Torino Universityにて、学生グループBitPolitoがビットコイン教育プロジェクト“BitGeneration”を開始。地元の高校生を対象に1回3時間、10週間のビットコイントレーニングコースを高校に出向いて提供します。これは高校のカリキュラムの一部として正式に採用されました。
コース概要:BitGeneration PDF(英語)
今回の米国の銀行破綻をきっかけにビットコイン保有者が増えますように!では、また次回よろしくお願いします。
記事を気に入ってくださった方はぜひ❤を、何かお気づきの点がありましたら、コメントいただければ幸いです。