Chainalysis「テロ資金調達における暗号通貨の役割は過大評価」/Fidelity「Bitcoinは他のデジタルアセットと異なる観点で評価すべき」
Diamond Hands Magazine Vol.115
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
Chainalysis、テロ資金調達における暗号通貨の役割が過大評価されていると主張(出典)
イスラエルにおけるハマスによるテロ攻撃を受け、Chainalysisに対して、「テロリスト集団が暗号通貨をどのように活用しているか」について、多くの質問が寄せられており、その中で、テロリスト・グループが暗号通貨を使用していることについて、いくつか誤解が見られることから、Chainalysisが、暗号通貨の役割について過大評価されているとする旨の記事を発表しています。
イスラエルへの攻撃に関連した試算では、テロ資金に関連した資金を受け取った特定のサービス・プロバイダーへのすべてのフローが含まれており、テロ資金供与に明確に関連していない資金も含まれているとしています。そのため、これらのサービス・プロバイダーが行っている取引活動のすべてがテロに関連していると考えるのは正しくない、と主張しています。
また、ブロックチェーン技術特有の透明性により暗号通貨は追跡可能なため、暗号通貨はテロ資金を大規模に調達するための効果的なソリューションではないとしています。特に、法執行機関や諜報機関がブロックチェーン分析を活用して、資金提供者、促進者、およびキャッシュアウト・ポイントを調査し、民間組織と提携して活動を停止させることができる点が強調されています。
イスラエル警察サイバー部門、国防省・情報機関・Binanceと協力のもと、ハマスに関連する暗号通貨口座を凍結(出典)
地元メディアのCalcalistが報じたところによると、イスラエル警察がハマスに関連する暗号通貨口座を凍結したとのことです。
押収された資金はイスラエルの国庫に納められるとしています。
米CFTCが今年3月に起こした訴訟では、Binanceの役員はハマスのトランザクションを知っていたと主張されています。
イスラエル当局は以前に、テロリストグループとの関係が疑われる約190のBinance口座を押収していました。
この他、WSJが、「2021年8月から今年6月までの間に、Palestinian Islamic Jihadが$93m、Hamas関連ウォレットが$41mの暗号通貨を受け取った」とする記事を発表しています。
米財務省外国資産管理局(OFAC)、ハマスの工作員と金融斡旋業者に制裁(出典)
イスラエルへのテロ攻撃を受け、米財務省外国資産管理局(OFAC)は、ハマスの工作員と金融斡旋業者に制裁を科すことを発表しました。
ハマスの秘密投資ポートフォリオに関係する6人、ハマス幹部2人、ガザを拠点とする仮想通貨取引所とその運営者を指定しています。
米国内にある、あるいは米国人が所有または管理している、上記の指定された人物のすべての財産および財産の権利は封鎖され、OFACに報告しなければならない、としています。
さらに、直接的または間接的に、個人または総計で50%以上を1人または複数の指定対象者が所有している事業体もブロックされるとのことです。
OFACの規制は、一般的に、指定された者又はその他の方法でブロックされた者の財産又は財産権に関わる、米国人による又は米国内(又は米国を通過する)における全ての取引を禁止しているとしています。
米FinCEN、マネロン懸念リストにミキシングの追加を提案(出典)
FinCENが、国際的な仮想通貨ミキシングをマネーロンダリングの主要な懸念のある取引類型として特定する規則作成提案公告を発表しました。
世界中の様々な違法行為者による仮想通貨ミキシングサービスの広範な利用がもたらすリスクを強調した上で、ハマス、パレスチナ・イスラム聖戦、北朝鮮を含む悪意ある行為者による仮想通貨ミキシングの利用に対抗する上で、ミキシングに関する透明性を高める規則を提案するもの 、とのことです。
仮想通貨ミキシングについて、「ランサムウェアのエコシステムのプレーヤー、不正な国家活動家、その他の犯罪者が違法な活動に資金を供給し、不正に得た利益の流れを難読化することを可能にする重要なサービスを提供している」としています。
この公告では、対象となる金融機関に対して、米国内または米国外の司法管轄区が関与する仮想通貨ミキシングが判明した場合、およびそれが疑われる場合、または疑われる理由がある場合において、取引に関する情報を報告することを義務付けています。
EU、税務当局が個人の暗号保有に関するデータを共有できるようにする税務データ共有ルールに正式合意(出典)
EU理事会が、租税分野における行政協力に関するEU規則を改正する指令を採択しました。
この改正は主に、暗号資産の取引による収益の報告と自動的な情報交換、および富裕層(富裕層)に対する事前税務裁定に関するものです。
登録・報告義務の範囲を拡大し、税務当局の全体的な行政協力を強化することによって、既存の法的枠組みを強化することを目的としています。
これまでは、暗号資産の非中央集権的な性質が、加盟国の税務当局が税務コンプライアンスを確保することが困難となっていました。
今回の改正によって、税務当局間では、暗号資産サービスプロバイダーが提供する情報の自動交換が義務付けられます。
MiCAに定められている定義を基礎としており、暗号資産の広範な範囲がカバー対象となります。
バーゼル委員会、暗号資産関連開示むけスプレッドシートの テンプレートを提供(出典1, 出典2, 出典3)
バーゼル委員会が、銀行の暗号資産エクスポージャーの開示に関するパブリックコンサルテーションを発表しました。
銀行の暗号資産エクスポージャーの標準化された開示表とテンプレート一式を提案しており、実施日は2025年1月1日としています。
本提案では、銀行に対して、暗号資産に関連する活動に関する定性情報、暗号資産へのエクスポージャーと関連する資本・流動性要件に関する定量情報を開示することを求めています。
さらに、銀行は、暗号資産および暗号負債へのエクスポージャーの会計分類の詳細を提供することも求められることになります。
提示された表・テンプレートは以下のとおりです。
表 CAEA: 暗号資産に関連する銀行の活動および分類条件の評価に使用した手法に関する定性的開示。
テンプレート CAE1:暗号資産エクスポージャーと所要自己資本。
テンプレート CAE2:暗号資産および暗号負債へのエクスポージャーの会計分類
テンプレート CAE3: 暗号資産および暗号負債へのエクスポージャーに対する流動性要件。
トピックリスト
2.ビジネス関連の動向
Fidelity、Bitcoinは他のデジタルアセットと異なる観点で評価すべきとしたリサーチペーパーを発表(出典1, 出典2)
Fidelity Digital Assetsが、「Bitcoin First Revisited」と題したリサーチペーパーを発表しましたので、以下にその概要を紹介します。
2022年以降、Bitcoinはデジタルアセット分野でのアドプションと市場シェアを拡大し続けている一方、他のデジタルアセットは逆風に直面しているとされます。
本稿では、Bitcoinは monetary good(貨幣的財)として理解するのが最善であり、Bitcoinの主な投資テーマの1つは、デジタル化が進む世界における価値の保存資産であることを提案しています。
「Bitcoinは他のデジタルアセットと比較して最も安全・非中央集権的・健全なデジタルマネーであり、いかなる改善もトレードオフに直面する可能性があるという意味で、他のデジタルアセットと根本的に異なる」とした上で、「そのため、他のどのデジタル資産も、monetary good(貨幣的財)としてBitcoinを上回ることはないだろう」と述べています。
「デジタルアセットエコシステムにおいてBitcoin以外の領域は、Bitcoinにはない異なるニーズを満たしたり、他の問題を解決したりすることができるものであるため、Bitcoin以外のプロジェクトは、Bitcoinとは異なる観点から評価されるべき」と主張しています。
また、「Bitcoinは、デジタルアセットへのエクスポージャーを得ようとする上でのエントリーポイントとみなされるべき」と述べています。
これらを踏まえ、「ここで論じたように、Bitcoinの最初の技術的ブレークスルーは、優れた決済技術としてではなく、優れた貨幣の形態としてであった。貨幣としてのBitcoinは唯一無二である。したがって、投資家は他のすべてのデジタルアセットとは別に、最初にBitcoinを考慮すべきである」と結んでいます。
トピックリスト
Lightning Networkのインダストリーマーケットマップ(出典)
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様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!