Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめです。
イタリアに到着して宿泊先に着いたら、こんな張り紙があったと。
イタリアでは10/22に新法が施行され、暖房の設定温度は19度、1日あたりの使用時間は地域に応じて5~13時間が上限として定められました。イタリアはガス供給の40%をロシアに依存。
ヨーロッパはどこも似たような状況らしく、スイスではシャワーは1人じゃなく複数人まとめて浴びるようにと閣僚が発言し、UKでは1日3時間の計画停電の話も出ています。暖炉のある家も多いので薪の価格も高騰、太陽光パネルの取り付け工事は数ヶ月待ち。日本も光熱費が上がって辛いですが、ヨーロッパの深刻度は桁違いです。
暖冬になることを祈るばかりですが、3ヶ月予報ではラニーニャが収束せず、日本は寒い冬になるようです。ヨーロッパにはどう影響するのか?無事に春を迎えられるよう願うしかありません。
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着々とビットコイン対応を進めるCashApp
今年初めにライトニングを導入したCashAppですが、これまでは送金しかできませんでした。昨日、ついに受金も可能になったとCashAppのプロダクト・リードがツイート。「早速試してみたい人、QRコードかリンクをシェアして」との呼びかけに、リプライはQRとリンクで埋め尽くされ、satsが飛び交いました。大半は1〜5ドル相当のsatsでしたが、中には金額指定して20ドル分のsatsを入手した人も。羨ましい。
Jack Dorceyのイニシアティブで、CashAppは早くからビットコイン対応を進めてきました。
フェーズ1:CashAppユーザー間の送受金。自社データベースの処理のため、送付先はビットコインアドレスではなく、$Cashtag(ユーザーネーム)または電話番号、メアドで指定。
フェーズ2:オンチェーン送受金。外部ウォレットへの送受金が可能に。
フェーズ3:ライトニング送金。今年1月から段階的にロールアウト。
今回のライトニング受金はフェーズ4というか3.5でしょう。Saylorさんは以下のようにコメント。
CashAppがレイヤー1(ビットコイン)、レイヤー2(ライトニング)、レイヤー3($Cashtag)でのビットコイントランザクションに対応。他の決済アプリも続くだろう。
ちなみにCashAppは送受金の他にも、ビットコインの売買が可能で、自動積立機能まであります。アメリカで知人をオンボードするなら、Coinbaseより断然CashAppを薦めます。
CashAppはアメリカの他、UKでも利用可能ですが、ライトニング送受金は当面アメリカ限定で、しかもNY州居住者は対象外とのこと。NY州といえば、悪名高いビットライセンスが思い浮かびます。Strikeはビットライセンスを取得していないため、NY州居住者はアプリを利用できません。しかし、CashAppを提供するBlockはSquare時代の2018年にビットライセンスを取得済み。にもかかわらず、NY州を除外しなければいけない理由はなんでしょうか?わかる方がいたら、ぜひ教えてください。
CashAppのユーザー数は4,400万人。オンライン決済の15%を占める業界2番手です(1位はシェア50%を占めるVenmoも含むPayPal)。アメリカで10人に1人以上が利用するアプリが、ライトニングという公共財のようなオープンソース、パーミッションレス決済ネットワークを介して、あらゆるライトニングウォレットと送受金、ライトニング決済受け付け店舗で支払いができるというのは結構すごいことだと思います。マキシからはカストディアルだから意味がないという声も聞かれますが、オンボードのハードルを大幅に下げ、多くの人の手にビットコインを行き渡らせ、アダプションを加速することはビットコインにとってプラスです。日本で言うと、PayPayがライトニング対応するようなものでしょうか?インパクト大きいと思いませんか?
あと、あまり話題になっていませんが、今回のアプリ更新にはUXの改善も含まれています。ビットコイン受金時、送金人にオンチェーンとライトニングのどちらが良いか逐一聞くのは面倒です。私は最近meetupの会費を27人から事前集金した際、このペインを痛感しました。今回CashAppはBIP21に対応することで、このペインを解消。QRコード1つでオン/オフチェーンどちらでも受金可能になりました。受金人はQRをシェアするだけ、送金人は好きなウォレットでQRをスキャンするだけです。エルサルバドルでは、ビットコイン決済にMuunなどオン/オフチェーンどちらにも対応したウォレットを利用する店舗も多いです。ただオンチェーンがデフォルト表示されるため、私がいちいちライトニングタブに切り替える必要がありました。BIP21は日常生活でビットコインを使う上でのフリクションを軽減します。採用するウォレットが増えて、ユーザーはオン/オフチェーンを意識せず決済できるようになる日も近いのでは。
逆境でもハッシュレートがATHを更新し続ける謎
今週は小粒ですがマイニング関連のニュースやリサーチレポートが相次ぎ出てきたので、マイニングの最新状況を振り返ります。
エネルギー価格高騰とビットコイン価格低迷という地合いの悪さにも関わらず、ハッシュレート(HR)が過去最高を更新し続けています。マイニング市場は弱者から脱落し、強者のみが生き残るというガマン比べ、適者生存の様相を呈してきました。
HR上昇の一因として以下が考えられます。
マイナーが再稼働。今夏の猛暑による電力逼迫で稼働停止していたマイナーが稼働を再開したこと(私がテキサスでホスティングしているマイナーも7月から6週間の停止を経て9月半ばに再稼働)。
最新鋭マイナーが量産体制に。昨年のビットコイン価格上昇期にマイニング事業者のIPOラッシュがあり、そこで得た資金で発注した最新マイナーが順次納入され、稼働開始したこと。これは来年前半まで続く見通し。
ロシアでマイニング拡大。ASICメーカーによると、中国マイニング禁止令後にHRシェアの3割を占める世界のマイニング拠点となったアメリカ向けを上回るペースでロシアへの販売が増えているそう。中国やインドなどによる買い一巡による需要減や、パイプライン損傷で行き場を失ったエネルギーを抱えるロシアが、安値で叩き売るのではなく、マイニングを選択したことは興味深いです。制裁で入手困難になった国際決済通貨ドルの代わりに、貿易決済に限りビットコイン利用を認める法案も審議中と報じられており、整合性はあります。
市場環境の悪化と競争激化の結果、収益性が低下し、上場廃止の危機に直面するマイニング事業者も出てきました。株価下落で上場基準を満たせなくなったことを理由に、ナスダック上場のDigithost、Mawson、NYSE上場のBit Miningが上場取り消し勧告を受けています。上場廃止まで行かなくても、ArgoはASIC3,400台、700億ドル相当の売却、HRシェア最大手のCore Scientificでさえ、マイニング量を上回るビットコインを売却を余儀なくされています。さらにCore Scientificは今年に入って20~25%値上げしたホスティング料の再度引き上げ、Maple Financeのマイナー支援に特化したDeFiレンディングプールにマイニング事業者が殺到していることが報じられるなど、どこも運転資金確保、生存に躍起です。
一方で、Riotがテキサスで最大となる1GWのマイニング施設建設を発表、Blockがマイニング事業関連ポジションを大量採用しているなど、資金力のある事業者はいずれ来るであろうブルマーケットを見据えて着々と足場を固めています。
この1年で上場企業のHRシェアは10%から25%に増え、来年半ばには40%に達するとの予測もあります。
上場事業者の中ではCore Scientificがシェア5%と2位以下を引き離しています。
こうした上場企業、大手企業の躍進は今後も続くのかと言うと、そうでもないようです。上場マイナーの大半はアメリカ、カナダの企業で、マイニング施設も勝手知ったる本国に集中しています。しかし、エネルギー価格の上昇、高止まりが予想される中、彼らのオペレーティングコストも上昇が不可避です。安価なエネルギー、座礁資源は、南米、アジア、アフリカの僻地を中心に偏在していることを考えると、彼らが進出を躊躇するような地域に進出する中規模、小規模マイナーがHRシェアを伸ばすことが予測されます。そのため、長期的には上場企業がHRの過半を占めるような状況は考えにくいと。
ブルベアで市場環境が激変するマイニングは下克上のチャンスも大きく、これまでの常識を越えるようなプレーヤーの参入も今後あり得るかもしれない、個人的には非常に興味を掻き立てられる分野です。
マイニング面白いと感じた方は、ぜひこちらもご覧ください。毎回、手前味噌で恐縮ですが、マイニングと資源開発や電力事業の補完関係、アメリカがマイニングを優遇する理由などを解説しています。
ノルウェーの裁判所「Craig Wrightはサトシ・ナカモトではない」
バックナンバーでお伝えした「開発者・教育者を萎縮させる法廷闘争」に決着がつきました。Craig Wrightはサトシ・ナカモトではないとの判決で、原告Wrightに348,257ドルの補償金の支払いが命じられました。めでたし、めでたし。
世界中のビットコイン決済が可能な場所が探せるBTC Map
オープンソースで開発とコンテンツ更新が続けられているアプリBTC Map。日本にも115箇所もあるようですが、どうでしょう?
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