Diamond Hands Magazine、毎週水曜日はビットコインニュースまとめです。皆さまのおかげで購読者、閲覧数とも順調に伸びています。ありがとうございます。
皆さまのフィードバックを基にいろいろ改善していきたく、ご意見いただければ幸いです。気になっていたニュースレターの情報量についてアンケートをとったところ、以下の結果。先週号を上限として、もう少しコンパクトなものを目指します。
今週はプロダクトやディールの華やかなニュースはありませんが、ビットコインの存在意義や価値提案を改めて考えさせられる事象が複数ありました。以下、その中から特に気になったトピックをご紹介します。
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開発者・教育者を萎縮させる法廷闘争
Craig Wrightとhodlonautの裁判が来月開廷するのを前に議論が再燃。BSV運営から脅迫とも取れる投稿もあり、対立が激化。
自分こそサトシと主張するCraigを批判したtweetを機に勃発した法廷闘争は既に3年目。Craigを信じる(またはフリをすることで利益を得る)富豪が資金援助するCraigと異なり、弁護費用の工面に苦悩するhodlonautを支援するため、FOSS開発PJを助成するOpenSatsが寄付サイト DefendingBTC(ビットコインを守る)を開設。47BTCを寄付した強者(Saylorさん?)もいて、4日目で約2千人から53BTC+30Kドルを集めました。
そんな中、Greg Maxwellがredditで、OGビットコインコア開発者の少なくとも4人が、Craigから訴えられてビットコインへの貢献をやめていたことを報告。でたらめな訴状でも、告訴されれば弁護費用が発生。Craigの目的は勝訴ではなく、開発者に経済的ダメージを与え、ビットコインから離反させることと指摘。マキシマリズムをめぐるビットコイナー同志の内輪揉めに注ぐエネルギーを、外からの攻撃でコア開発に実害が広がるのを食い止めることに費やせと。もっともです。
Craigの言動はミームと軽く考えていたので、開発者が経済的、精神的に追い込まれていたことを知り反省。コードを含む言論や自由な選択をお金や権力で封じ込める動きは、自分事として捉え、できること(寄付ぐらいですが)をしていきたいです。
Tornado Cash制裁は違憲?
上記と関連しますが、コードはスピーチであり、TC制裁は表現の自由を保障するアメリカ憲法に違反と考える人は少なくありません。
1991年にPhil ZimmermanがPretty Good Privacy(PGP)を無償公開した際、クリントン政権は武器輸出管理法違反の疑いで捜査。これに対し、サイファーパンクはソースコードを印刷した本、若かりしAdam BackはコードをプリントしたTシャツを制作。本やTシャツにすることで、憲法で保障された表現の自由を主張しました。
今回も同じことを試みたのでしょう。TCのソースコードを歌にした人が出現。
TCをめぐる状況はまだ流動的ですが、日本語でも解説記事が出てきているので、気になる方は調べてみてください。
Tornado Cash余波、The Mergeで騒つくEthereum
最大マイナーEthermineがTC関連トランザクションを処理しないことに、Ethereumベースレイヤーの検閲耐性への疑問が高まっています。
元Ethereumコア開発者は制裁後の過剰コンプライアンスを挙げて、Ethereumの中核にあると信じていた価値提案に疑念を持ち始めていると投稿。
TCとの関連は不明ですが、初期EthereumのCCO、The DAOのアーキテクト、ロンドンEthereumミートアップ主催者でもあるStephan Tualは、以下コメントを残してEthereumコミュニティと決別。
ブロックチェーン(いや、ヘッジファンドの造語である「分散台帳」と呼ぶべきか?)は、名ばかり非中央集権のNFT、繰り返されるねずみ講詐欺、未登録証券、規制当局に忠誠を尽くす裏切り者の茶番の舞台と成り下がってしまった。この場に私の居場所、するべきことは一切ない。
ビットコイナーからすると、今さら?という感じが否めませんが。
アルトコインに関して基本は我関せずですが、The Mergeは重要イベントらしく、私のフィードにも関連投稿が表示されます。(The Merge概要はこちらで把握した程度。)その中で、なるほど、と思ったのが以下。
高みの見物を決め “Told you so”(それ見たことか)と後で笑うのではなく、Ethereumが直面するリスクを分析し、それに基づきビットコインにとっての最悪シナリオを想定して回避策を講じる重要性を訴えています。
Ethereumの潜在リスクとして、1)フォークが起きた際に、どちらのチェーンを生かすかが実質USDC発行会社に委ねられ、非中央集権性と中立性が失われる、2)バリデーターの7割がOFAC規制の遵守が求められるアメリカ拠点のカストディアンであることから、TC制裁で実証されたように、ベースレイヤーの検閲耐性が損なわれることを指摘し、ビットコインが取れる対策として、マイナーによる検閲リスクを下げるStratum v2の普及加速、フォークの自由の死守などを挙げています。
マイナーの苦しい懐事情
第2四半期決算が出揃い苦境が鮮明に。業界全体で採掘量の155%に当たるビットコインを売却。電力逼迫による運営費上昇と金利負担がひびく。
見かねたBitmainは「全員でこの冬を乗り切る!」と、Antpoolら低金利融資とリボルビング貸付枠を提供、マイナー支援に乗り出しました。
私もテキサスでマイニングしてますが、熱波でデータセンターへの電力供給が停止。プールアプリを確認しては”Dead”というマイナーのステータスにため息をつく毎日。マイニング事業者の痛み、少しわかります。
8月21日はビットコイン・インフィニティの日
ハイパービットコイン化が達成されれば、世界の経済総生産、既存の社会資本を含む全ての価値がビットコインを尺度に再評価されるという概念を表すBitcoin Infinity。1BTCの価値は地球上の総価値を2,100万で割った数に到達するという超強気筋。
この提唱者の著書 Bitcoin: Everything divided by 21 million(ビットコイン:全ては2,100万分割される)が、有志のビットコイナーによって現在邦訳中。ビットコイン本を各国語に翻訳出版するKonsensus Networkでは、日本語版制作に協力してくれる翻訳者、編集者、校正者、DTPオペレーターを募集中。ご興味ある方、ぜひご連絡ください。
世界では着実に広がるアダプション
2,000億ドルを運用するラテンアメリカ最大の投資銀行BTG Pactualがビットコイン取引サービスの提供開始。
イギリスのRevolutがEU諸国でビットコイン取引サービスを提供する許可を取得。
Binanceがカザフスタンでの営業許可取得に向け大きく前進。
ウクライナのコンピュータ関連小売大手2社がビットコイン決済開始。ロシアによる侵攻以降、個人だけでなく、事業者の間でもビットコインへの関心が高まっている。
韓国でサムソン、未来アセットを含む証券会社大手7社が2023年上期創業を目指し当局に取引所設立許可を申請。
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