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Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. ビジネス関連の動向
Taproot Assetsを利用したLightning Network初のstablecoin「DePix」がローンチへ(出典)
ブラジルでTaproot AssetsベースのStablecoin「DePix」がリリースされました。
Lightning Networkとブラジル中銀の即時決済システムPIXをブリッジするものとなっています。
チャネルの流動性と管理を抽象化し、Taproot Assets Protocol でのみ可能な新しいスワッピング サービスを SDK に組み込むことで、Lightningを介して、Bitcoin、Stablecoin、その他のアセット間でスワップを可能にするものです。
Lightning Network上で機能する、DePixのデモ動画の模様はこちらです。
Casa、企業がBitcoinトレジャリーをセルフカストディで管理するためのソリューション「Casa Enterprise」を発表(出典)
Casa Enterprise は、ビジネスセルフカストディの標準を設定するために設計されたものです。
実戦でテストされたマルチシグvaultデザイン および Wealth Security Protocol を使用した資金保護が特徴となっています。
「Wealth Security Protocol」は、トレードオフや可能な代替案など、鍵管理と資産のセキュリティに対するCasaのアプローチをまとめたものであり、後段で詳述します。
監査人や外部の会計事務所との調整向けに、各vaultの入出金ログと明細書にアクセスできるダッシュボードポータルを提供しています。
また、冗長性のために複数の場所に鍵を配布できるマルチシグにおいて、チームとしてトランザクションに署名することによって、鍵を保持しているチーム全体でトランザクションを容易に調整可能としています。
具体的には、鍵の割り当て、デバイスの種類、およびヘルス チェックを追跡するために使用できるスムーズなガイドを提供しています。
セルフカストディ資産を1人の担当者が監視するのは安全性・持続可能性の両面で問題であることから、組織の他メンバーや外部パートナーを招待して、取引の監視と促進を手伝ってもらうことで、コーポレートガバナンスと内部統制の維持を可能にしています。
さらに、さまざまな目的でビットコインを管理するに際して、別々のvaultとサブアカウントを用いて別々の資産を混在を防ぎながら保有・レコードキーピングを可能としています。
参考:トレードオフや可能な代替案など、鍵管理と資産のセキュリティに対するCasaのアプローチをまとめた「Wealth Security Protocol」の概要(出典)
動機
暗号通貨ウォレットを制御する秘密鍵は、窃盗犯にとって魅力的なターゲットとなる。
そのため、秘密鍵情報を悪意のある人の手に渡さないようにすることが重要。
一方で、盗難防止の予防策は、紛失のリスクにつながる可能性もある。
加えて、暗号通貨においてはクレカなどと同様の復元が利用できないため、暗号通貨の保管には、新しい習慣が必要となるため、アプローチをまとめたもの。
システム設計原則
鍵管理サービスの顧客データベースは、攻撃者にとって魅力的なターゲットとなるため、Casaでは顧客に関するデータ収集を最小限に抑えている。
完璧なセキュリティを追求すること自体が、過度に複雑なシステムとなり、セキュリティ上の危険が高まってしまう。
Casaでは、大口残高むけには、5キーvaultを設計している。
Casaでは、モバイルウォレットに日常的な少額資金を保管し、3キーvaultに(貯蓄口座のように)高額資金を保管し、5キーvaultに(高セキュリティ銀行の金庫のように) さらに多額のお金を保管できる。
「悪事を働かない」を保証する唯一の方法は、ユーザーだけが自分の資金を管理できる必要がある。
脅威モデル
「データと認証情報の損失」「フィッシング」「SIMハイジャック」「ネットワーク攻撃」「マルウェア」「サプライチェーン攻撃」のほか、「物理的な強制」などもある。
Casaシステムの選択
ハードウェア ウォレットを使用
マルチシグの使用
ユーザーにハードウェアウォレットを複数の場所に分散して保管することを推奨
鍵を複数の場所に保管することで、自然災害による壊滅的な鍵の紛失からも保護できる。
異機種ハードウェアとソフトウェア
3-of-5 セットアップでは、Trezor、Ledger、携帯電話など、少なくとも 3 つの異なるプラットフォームを同時に使用する。
複数のブランドと種類のウォレットを利用することで、1 つのブランドの脆弱性がシステム全体に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。
手動でバックアップされたリカバリシードに頼らない
ハードウェアデバイスのPINをパスワードマネージャーなど安全な場所にバックアップし、ハードウェアデバイスを最新のファームウェアで最新の状態に保つ。
緊急リカバリキー
ユーザーエラーによる資金損失の可能性を減らすため、ユーザーのマルチシグ設定で署名キーの1つをCasaが保持している。
ヘルスチェック
すべてのハードウェアウォレットのデバイスヘルスチェックを定期的に実行し、正常に動作していることを確認する。
キーストレージシステム内のすべてのキーに生体認証データを使用しない
生体認証を単独で使用すると、物理的攻撃の強い動機が生まれてしまう。
Bitkey、所有者が死亡した際に、ウォレットに保管されている資金を指定された受取人に譲渡することができる相続機能を発表(出典)
相続の鍵の所有者が死に十分な準備をしていなかったために相続が失敗するケースは数多くあるとされています。
そのため、相続人が指示なしに資産を回収できるとは思わずに、相続計画をたてることが重要である旨、Casaは鍵管理と資産のセキュリティに対する自社のアプローチをまとめた「Wealth Security Protocol」の中で述べています(出典)。
Bitkeyの相続機能は、12月にロールアウトされ、2025年1月にすべてのBitkey顧客がアクセス可能になる予定です。
相続プランを設定するには、Bitkeyアプリでウォレットの受取人を指定する必要があります。
また、相続は1人の受益者に限定され、受益者はハードウェアデバイスとアプリを含むBitkeyウォレットをセットアップする必要があります。
受取人はウォレット所有者のBitkeyウォレットにアクセスできません。
偶発的または不正な請求から保護するために、資金が転送可能になるまでに 6か月の待機期間が設定されています。
待機期間中、Bitkeyはウォレット所有者に資金転送請求が開始された旨、定期的にアラート・通知を送信した上で、ウォレット所有者はいつでも請求を取り消して、資金を完全に管理できるようになっています。
待機期間が終了すると、受取人は資金をBitkeyウォレットに転送できることを通知されます。
トピックリスト
Revolut、暗号資産取引を英国から欧州全域展開へ(出典)
PicknPayで直接支払いができる初めてのセルフカストディアルウォレットの取り組み(出典)
Block、分散型Bitcoin マイニングに向けて「Proto Mining」チームのマーケティングを展開(出典1, 出典2)
Arkhamのデータによると、ブータンのBitcoin保有額が$1b相当を超える(出典)
ヒマラヤ川の水力発電を利用して13,011 BTCをマイニングし、Bitcoin政府保有量で世界第4位
全米教職員保険年金協会(TIAA)、$51,921相当のスポットBitcoin ETF保有がSEC提出書類で明らかに(出典)
BTCPay Server、ドメインレジストラNamecheapとのコラボレーションに関するケーススタディを発表(出典1, 出典2, 出典3)
50万人以上のユーザーから110万件のトランザクションを通じて$73m相当のBitcoin決済を処理
Azteco、Bitkeyとの提携によりビットコイン バウチャーをBitkeyアプリで直接引き換え可能に(出典)
Fold、ギフトカードによるBitcoinリワードを提供(出典)
LightningとNostrによって、アーティストが自分の曲を宣伝できるListen To Earnセクション(出典)
リスナーは、曲を1分聴くごとに10satの報酬を得られる
1曲につき1日1回の報酬。アーティストは一度に3曲までプロモーション
Alby、カストディアル・ウォレット機能を廃止(出典)
MicroStrategy、先に発表した$3Bの2029年満期転換社債型シニアノートの募集を完了(出典)
保険付きBitcoinカストディソリューションに特化したAnchorWatchが、Lloyd's of Londonのカバーホルダーに指定(出典)
顧客1人あたり最大 1 億ドルの拘束力のある権限を持ち、2024年12 月に業務開始予定
2.規制関連の動向
米国で大統領選結果をうけた暗号通貨政策を巡る動きが活発に
大統領選を受けて、戦略的Bitcoin準備金構築にむけた法案"BITCOIN Act of 2024" が議会に提出されました(出典)。
米上院Cynthia Lummis議員が発表した、戦略的Bitcoin準備金計画の概要はこちらのとおりです。(出典)
米財務省が為替安定化基金(ESF)を使用してBitcoinを購入することを通じて「戦略的Bitcoin準備金」を構築する上での法的メカニズムについて、Bitcoin Policy Instituteが記事で解説しています。(出典)
これに対して、JPMorganは、Bitcoinを戦略的準備資産として確立することを提案する米国のBITCOIN Act法案については、承認される可能性低いとの見方を示しています。(出典)
一方、米ペンシルベニア州下院でも、「the Pennsylvania Bitcoin Strategic Reserve Act」法案が提出されました。(出典)
インフレ対策として、州資金の最大10%をBitcoinに割り当てることを許可するものです。
同州では、住民のデジタルアセットに関するセルフカストディ権を保護するとともに、Bitcoinを支払い手段として使用できることを保証する法案を先月可決したばかりです。
大統領選の結果を踏まえて設立が検討されている「暗号資産諮問委員会」の席を巡って、Kraken やCircle、a16zなどが競っているとされます。(出典)
また、Coinbase CEOと次期大統領の間でも、会談が設けられる予定です。(出典)
こうした暗号通貨政策を巡る動きについて、Coin Centerが展望を発表しています。(出典1, 出典2)
「pro-crypto」とは、友好的な長を選んだり企業に有利な規制を実施するだけでない、と主張しています。
その上で、国家安全保障リスクが高く、犯罪やテロの亡霊が自由、プライバシー、オープンさというアメリカ的な美徳を一瞬でも覆い隠すようなときに、プライバシーと言論を擁護することを強調しています。
トピックリスト
米下院議員、FinCENに対して「制裁にもかかわらずTornado Cashが使用され続けている」としミキサーの記録・報告要件を定めるNPRMの最終化を求める書簡を提出(出典)
ECBがBitcoinに言及したペーパー、表現が緩和(出典)
オランダ規制当局、Bitcoinやその他の暗号通貨と交換可能なユーロやドルのギフトカードの取り扱いを中止するよう、ウェブショップに警告(出典)
ロシア当局、電力不足への対処として、暖房期間中の暗号通貨マイニングの禁止を発表(出典)
中国の上海高等法院、仮想通貨資産には「財産的属性」があり、中国法はそれらを全面的に禁止していないとの見方示す(出典)
中国法の下で仮想通貨の「財産的属性」を認め、商品としての使用を認めるもの
ビットコインなどの暗号資産、金融庁が規制強化を検討…税率引き下げの議論につながる可能性も : 読売新聞(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!