BTCPay Server 2.0/ドイツテレコムが余剰電力でマイニング/Bitcoin Policy Instituteの戦略準備金レポート/デトロイト市が暗号通貨受け入れ
Diamond Hands Magazine Vol.179
th_satです。
Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
今回から、ごっつさんのライトニングに関するトピックも引き継いで、ビジネスやソリューション関連の取り組みも厚めに紹介していきます!
重要リンク集💎🙌
Diamond Hands Wiki (ライトニングやルーティングに関するリソース集)
Lost in Bitcoin(ビットコイン学習リソース集)
DH Magazine Proへの招待
月7ドルでDH Magazine Proに参加して、日本国内のビットコイン普及活動を最前線で楽しみつつ、Diamond Handsの活動を支援しよう!
詳細は以下のPro版の内容紹介記事をご確認ください。
日本国内のビットコイン普及の加速を目指す新しい挑戦 DH Magazine Proの公開と案内
それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1.ビジネス関連の動向
「BTCPay Server 2.0」がリリース(出典)
BTCPay Serverは、2017年のプロジェクト開始以来最大のアップデートとして「BTCPay Server 2.0」リリースを発表しました。
主な機能として、「新しいインターフェースのローカライズ」「新しいサイドバーのみのナビゲーション」「新規ユーザーとPOS向けの新しいオンボーディングフロー」等を挙げています。
まず、「新しいインターフェースのローカライズ」は、BTCPay Server バックオフィス全体を簡単に翻訳できるものであり、これによって、 あらゆる言語に迅速かつ効率的にローカライズするための完全な制御が可能になるとしています。
次に、「新しいサイドバーのみのナビゲーション」は、すべてのナビゲーション要素を統合されたサイドバーに移動するものであり、これによって明確な情報階層が確保され、ページ間の移動がスムーズになるとしています。
また、「新規ユーザーとPOS向けの新しいオンボーディングフロー」は、POSからQRをスキャンするだけで、既存ユーザーを POSアプリに簡単にオンボード可能にするものです。
南アのPick n PayでLightning決済の受け入れを可能にする上での、Blink Walletを用いた取組み(出典1, 出典2)
Pick n Pay(PnP)の独自QRフォーマットを読み取り、QRコードをBolt11 invoiceに変換するQRスキャナーアプリ「CryptoQR」を開発しました。
QRデータに基づいたLightningアドレスを作成し、<qr_data>@our.domainの形式にするものとなっています。
MicroStrategy、株式$21bと固定利付証券$21bで構成される「21/21 Plan」を発表(出典)
MicroStrategyが、今後3年間で$42bの資本を調達するという戦略目標を発表しました。このうち$21bは株式、$21bは債券で、これを「21/21 Plan」と呼んでいます。
同社は、「Bitcoinトレジャリー企業」として、追加資本を使用して、より高いBTC利回りを達成できるような方法で、財務準備資産としてより多くのBitcoinを購入する予定としています。
現在のBitcoin価格が維持されれば、計画されている$42 bを使って約578,586BTC、つまりBitcoinの総供給量の約2.7%が取得されることになります。(出所)
同社によると、同社のMicroStrategyは今年に入ってから現在までに17.8%であり、2025年から2027年にかけては年間6%〜10%を目標としています。
今回示された戦略目標は、トレジャリーリザーブ資産としてさらに多くのBitcoinを購入し、より高い「BTC Yield」の達成を目指すものです。
ここで「BTC Yield」は、Bitcoin保有量と「仮定希薄化発行株式数」の比率変化を示すKPIと位置付けられています。
同社の直近の開示は9月中旬で、7,420BTCを$458.2mで購入したと発表しました。
これにより、その時点での保有Bitcoinは252,220BTCとなり、総額 $9.9b、平均価格は1BTCあたり$39,266 となりました。
現在の価格が約$72,000であるため、同社のBitcoinの価値は$18bを超えます。(出所)
Deutsche Telekom、余剰電力を利用したマイニングインフラの運用パイロット立ち上げ(出典)
ドイツテレコムの子会社が、太陽光発電と風力発電の余剰電力を利用したマイニングインフラの運用パイロットプロジェクトを立ち上げました。
Bankhaus Metzlerと共同で、電力網の安定化(電力調整)プロセスを検証するとのことです。
再生可能エネルギーからの余剰電力を利用してBitcoinマイニングを行います。
発電された電力が電力網に供給できない場合や、蓄電の選択肢がない場合に発生する余剰電力を活用し、プロジェクトから得られるデータは、エネルギーの変動が電力網に与える影響を軽減するために活用される予定とのことです。
太陽光発電や風力発電は、天候に依存するため、電力供給が不安定になることがあり、その余剰電力発生を巡って、再生可能エネルギーの生産が増えるにつれて、電力網の安定化が求められています。
再生可能エネルギーが発電されすぎて供給過剰になった場合、その電力は電力網に戻され、逆に発電が足りない場合には、外部から電力を供給する必要があります。
このとき、Bitcoinマイニングは、余剰電力を消費し、電力供給と需要のバランスを取るための柔軟な負荷として期待されています。
プロジェクトは「デジタル通貨の光合成」と呼ばれ、余剰電力をデジタル資産に変換することを目指しているとのことです。
再生可能エネルギーの課題解決のほか、エネルギー企業にとっての新しい収益源として期待されています。
TabConfハッカソンにおける5つのハイライトプロジェクト(出典)
米アトランタで10/23-10/26に開催されたテクニカル・ビットコイン・カンファレンス「TABConf 6」においてハッカソンが行われ、以下の5つがハイライトプロジェクトとして選出されました。
Frostr は、FROST暗号技術を活用し、t-of-nのリモート署名と鍵のローテーション機能を提供するものです。
ベストハックオールラウンド賞を受賞しています。
DL Chess は、Taprootアドレスとアダプタ署名を使って、Bitcoinスクリプティング機能を活用してチェスへの賭けをサポートするものです。
Pepevote は、Pepe画像に投票するためのNostrイベントを作成することによって、Nostr上で透明でザップフリーの投票を行うものです。
Tajfi は、Taproot Assetsウォレットで、Nostr認証を用いた非中央集権的な資産管理を実現するものです。
Discreet Luck は、DLCとNostrを活用したBitcoin上の予測市場で、Polymarketの流動性と接続するものです。
トピックリスト
Bitkeyが、MoonPayとの提携を発表しました。Bitcoinをハードウェアウォレット保管しても、MoonPayを使って売買・転送可能になります(出典)
ブータン政府のウォレットが、$66.55M相当のBTCをBinanceに移動しました(出典)
アルゼンチン中銀が、Bitcoinマイニングマシンを世界で初めて展示開始しました(出典)
DATUMがUmbrel App Store上で公開しました(出典1, 出典2)
自身のマイナーをDATUMアプリに接続し、自身のBitcoinノードを使ってカスタムブロックテンプレートを生成します。
サードパーティサーバーを使うことなく、単独でマイニングしたり、プールに参加したりできるとのことです。
スイスLugano市長によると、現在約350店舗がBitcoinやTetherおよびスイスフランに連動した市のStablecoinでの決済を受け入れているとのことです。また、納税やサービスから得たBitcoinの使用について、現行法ではBitcoinを保有できないとし、法改正つうじたBitcoin treasury創設を期待している旨も示されています。(出典)
Lugano PlanB カンファレンスにおいてホテルの部屋に侵入されたとして、危険性を認識するよう呼びかけています(出典)
関連:組織犯罪に備える必要性に関するCasaのブログ(出典)
Blockstream、Luganoに新しい研究センターを設立しました。LiquidとLightning Network上での製品開発を推進するとのことです(出典)
英国の年金スキームで投資ポートフォリオに3%のBitcoin配分が選択されたとのことです(出典)
Fidelity Digital Assetsが、「Bitcoinはポートフォリオのリスク調整後リターンを向上させる代替投資として同様の役割を果たすことができる相関のない資産である」というレポートを発表しています(出典)
2. 規制関連の動向
無党派シンクタンクBitcoin Policy Institute、米国が戦略的ビットコイン準備金(SBR)を確立する可能性についてレポート発表(出典)
「経済と通貨の安定性」「地政学的競争」「エネルギーと気候」および「金融包摂と人権」という、4つの領域にわたって米国の利益を前進させる可能性があると整理しています。
「経済と通貨の安定」については、「SBRは通貨切り下げと債務不安定性に対するオプション価値を提供し、国の準備金を多様化し、米国の財政状況、金融システム、世界的な影響力の信頼性を強化することができる」点を挙げています。
「地政学的競争」については、「ビットコインを採用することで、米国は、ドルの優位性を弱め、ドル制裁を回避するために代替デジタル通貨と金融システムを模索している敵対国に対して戦略的優位性を獲得できる」と指摘しています。
「エネルギーと気候」については、「ビットコインマイニングは再生可能エネルギーへの投資を促進し、送電網の安定性をサポートするために活用され、米国の気候とエネルギー安全保障の目標達成に貢献する可能性がある」と主張しています。
「金融包摂と人権」については、「ビットコインの分散型の性質は、個人の自由と金融包摂という米国の中核的な価値観とも一致しており、国内では銀行口座を持たない人々、世界的には政治的または経済的不安定に直面している人々に潜在的な利益をもたらす」と述べています。
また、幾つかの点からの異論に対する回答を整理しています。
まず、「SBRは、ドルシステムの持続可能性に対する信頼の喪失を引き起こし、米国政府を脆弱にさらすのではないか」という異論に対しては、「Bitcoinはゴールドと同様に、ドルの代替品や競合相手ではなく、別形態の準備資産である。国家準備金へのゴールドの導入がドルシステムを弱体化させるとみなされたことはない」と回答しています。
次に「SBRは米国政府を独自のヘッジファンドに変え、公的資金を不当に危険にさらし、投機を助長するのではないか」との異論については、「SBRは、投機的な取引や短期的な利益を得るためのツールではなく、国の金融ポートフォリオを安定させ、多様化するために保有される戦略的かつ長期的な資産である。Bitcoinの長期保有により、市場のボラティリティ軽減にも役立つ可能性がある」と回答しています。
また、「SBRは、時期尚早に1つの暗号通貨を勝者として選ぶことになるのではないか」という異論に対しては、「Bitcoinは、デジタル ゴールドと呼ばれるように、過去15年間にわたって、安全で分散化された価値の保存手段としてその実力を証明してきた。Bitcoinは主に、固定供給、予測可能な発行スケジュール、中央機関や基盤のない合成通貨資産として機能するといった特徴を備える点で、他の暗号通貨とは異なり、独自のものである。そのため、現時点では、Bitcoinが戦略的準備金に含めるのに適した唯一の候補である」と回答しています。
価格変動、市場操作の可能性、公衆教育の必要性といった課題やリスクはあるものの、戦略的メリットが上回るとの見方を示した上で、「米国は、Bitcoinを単なる資産としてではなく、国の戦略的回復力の柱として考える時が来ている」と結んでいます。
米フロリダ州CFO、年金基金の一部をBitcoin等に投資する可能性検討を州委員会に要請(出典1, 出典2)
フロリダ州CFOのJimmy Patronis氏が、主要アセットクラスの変動に対する安全なヘッジを提供するため、州の年金基金の一部をBitcoinなどの暗号通貨に投資する可能性を検討するよう、州管理委員会に要請しています。
Bitcoinは「デジタルゴールド」と呼ばれることが多く、州のポートフォリオを多様化し、他の主要アセットクラスのボラティリティに対する安全なヘッジを提供するのに役立つ可能性があると主張しています。
州管理委員会のトラスティとして、州の退職金制度の資金の一部をデジタルアセットクラスに振り向けることの実現可能性、リスク、および潜在的なメリットに関するレポートを提供するよう州行政委員会に要請するものとなっています。
米デトロイト市、税金やその他の市の料金支払に暗号通貨を受け入れ(出典)
米デトロイト市が、PayPalのプラットフォームを通じて、税金やその他の市の料金支払に暗号通貨を受け入れることを発表しました。
これは、公共サービスの向上、市民参加の強化、経済成長の促進につながる革新的な技術を模索する市の、より大規模な戦略の一環と位置付けられています。
2025年半ばに利用可能になる見込みです。
この取り組みにより、デトロイト市は、市の料金や税金の支払い方法として暗号通貨を受け入れる米国最大の都市になります。
現時点、州の支払いに暗号通貨を受け入れているのは、コロラド州・ユタ州・ルイジアナ州の3つとなっています。
トピックリスト
イタリアの会計事務所Coinlexの調査によると、立法令66/2014の規定を踏まえ、仮想通貨のキャピタルゲインに対する実効税率は従来の26%ではなく、c-sexiesの文字項により26%の税率から除外され、12.5%であるべきとの見解が示されたとのことです。(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!