この列車は止まらない / ビットコインとテザー:ドルの“ミルクセーキ”を飲み干す / トリフィン・ジレンマの終焉
ラスベガスで先週開催された世界最大級のビットコインカンファレンス「Bitcoin 2025」ですが、
本日はキーパーソンによる登壇、パネルディスカッションをさらに深掘りして、詳しく見ていきたいと思います。
こんにちは!yutaro です。
さっそくですがPro向け「BTCインサイト」本日のトピックスはこちら:
この列車は止まらない(Lyn Alden氏)【無料公開】
ビットコインとテザー:ドルの“ミルクセーキ”を飲み干す(Saifedean Ammous氏)
トリフィン・ジレンマの終焉(Lyn Alden氏、James Lavish氏、Mark Moss氏)
この列車は止まらない
(※本記事は、”Bitcoin 2025”カンファレンスにて行われたLyn Alden氏の登壇をもとに要約・編集したものです)
止まらない「列車」:米国財政赤字の構造的暴走
Lyn Alden氏が掲げる「Nothing Stops This Train(この列車は止まらない)」という言葉。
その出典はドラマ『ブレイキング・バッド』ですが、彼女がこの表現を用いるのは、
現代アメリカの財政赤字とそれを取り巻く金融構造が、もはや誰にも止められないフェーズに入ったという深刻な警告のためでした。
■ かつて存在した「健全な連動性」が壊れた
歴史的に見れば、米国の財政赤字(対GDP比)と失業率は高い相関がありました。景気後退期に失業率が上がれば、税収は減り歳出は増え、財政赤字が膨らむのは自然な構図。
しかし2017年以降、失業率は低水準を維持しながらも財政赤字は異常に拡大。パンデミック前からすでに6〜7%の赤字を出しており、この相関は崩れています。
■ リアル金利との乖離:金とビットコインの躍進
本来、実質金利(名目金利−CPI)と金価格は強い逆相関にある。金利が高ければドルが魅力的になり、金の需要は減ります。
しかし近年では、金もビットコインも、高金利環境でも価格が上昇。これは従来の金利政策が市場を制御できなくなっている兆候とも言えます。
構造転換:民間から政府へとシフトするクレジット創出
■ クレジットの出所が民間から公共へ
1955〜1990年までは、クレジット(借金)の伸びの多くは民間部門(企業や個人)によるものでした。
しかし2008年の金融危機以降は、政府の借入(赤字支出)が民間のそれを常に上回るという構造転換が起きています。
■ 金利政策の「ブレーキ」が効かない
かつては金利を上げれば民間の借入が減り、景気が引き締まるという制御が可能でした。
しかし、政府債務がGDPの100%を超えた現在では、金利を上げれば政府の利払いが激増し、むしろ赤字が拡大するという逆転現象が起きています。
止められない理由:二つのレバレッジと人間の本性
■ 社会保障という「約束された支出」
ベビーブーマー世代が支えた社会保障信託基金(Social Security Trust Fund)は、2035年までに枯渇する見通し。
この資金は今後10年にわたり経済へ流出し続けるが、その支出は**政治的に手をつけられない「聖域」**であり、財政圧力の源となります。
■ 金融システムそのものの設計
現代の中央銀行制度+信用創造(fractional reserve banking)は、「成長し続けなければ破綻する」設計。
2008年のわずか1%の信用収縮すら許容されず、FRBは通貨供給量を5倍以上に膨らませて支えていました。
現在は米国全体のレバレッジ比率が100兆ドル超であり、「50倍のレバレッジ」が組まれている状態です。
なぜビットコインなのか:未来の通貨インフラ
Alden氏の結論は明快です。
「この列車は止まりません。7%の財政赤字が毎年、何十年と続きます。それが“普通”になるでしょう」
そのような「柔軟すぎる台帳(ledger)」に対して、ビットコインは透明性があり、改ざん不可能で、供給量に上限のある台帳です。
ビットコインはユニットそのものが不可侵であり、支える構造は逆に緊縮的でシンプル。
貨幣的信用が劣化していく世界の中で、希少資産としてのビットコインの意義が日に日に増しています。
(※原文はコチラ)
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