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今回は、先日開催されたBitcoin 2024カンファレンスにおけるトピックについて取り上げます。Donald Trump候補のスピーチに注目が集まりましたが、それについてはこちらのスレに書き起こしがまとまっています(ざっくりまとめると、セルフカストディ権利保護、エネルギー政策とBitcoinマイニング強化、Bitcoin売却停止と国家備蓄について言及がありました)。
本稿では、Donald Trump候補のスピーチではなく、Cynthia Lummis上院議員が発表した、戦略的ビットコイン準備金法案(「2024 年ビットコイン法(BITCOIN Act of 2024)」)について、その内容を具体的に紹介したいと思います。
Bitcoin2024で米Cynthia Lummis上院議員が発表した「2024 年ビットコイン法案」の概要
Bitcoin 2024カンファレンスにおいて、米国上院のCynthia Lummis議員が、戦略的ビットコイン準備金法案についてのセッションを発表しました。7分弱ほどの動画です。
Cynthia Lummis Unveils Bitcoin Strategic Reserve Bill
その中では、総供給量の5%に相当する少なくとも100万BTCの戦略的ビットコイン準備金を米国に設立することを目的とした法案の提出について紹介されました。
米Cynthia Lummis上院議員が提案した「2024 年ビットコイン法(BITCOIN Act of 2024)」法案が公開されていますので(PDFはこちら)、その内容を読み下しながら、ポイントを紹介します。
前文を読むと、連邦政府のビットコイン保有の透明性のある管理を確保するため、戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)およびその他プログラム(ビットコイン購入プログラム)を確立するものであるとされています。
第2条(背景)
現状認識として次の6点が記されています。
(1) 世界の金融環境は急速に進化しており、デジタル資産は世界経済においてますます重要な役割を果たしている。
(2) ビットコインは回復力と幅広い採用を示し、10 年以上にわたって交換手段および価値の保存手段として機能してきた。
(3) 金準備が歴史的に国家金融安全保障の礎となってきたのと同様に、ビットコインは 21 世紀の世界経済において米国の金融リーダーシップと安全性を高めることができるデジタル時代の資産である。
(4) 米国が大量のビットコインを取得し、長期保管することによって、米国の財政状態が強化され、経済の不確実性と通貨の不安定性に対するヘッジが提供される。
(5) 分散型で有限に希少なデジタル資産であるビットコインは、既存の国家準備金を補完する独自の特性を提供し、世界金融システムにおける米ドルの地位を強化する。
(6) 米国の国家資産をビットコインを含むように多様化することによって、金融の回復力が高まり、米国は世界の金融イノベーションの最前線に立つことができる。
第 4 条(戦略的ビットコイン準備金の設立)
戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)をビットコイン保管施設の分散型ネットワークとして位置付けた上で、その地理的分散化について述べられています。
(a) 米国全土に分散した安全なビットコイン保管施設の分散型ネットワークを設立し、政府のビットコイン保有をコールド ストレージするための戦略的ビットコイン準備金(Strategic Bitcoin Reserve)と総称する。
(b) 戦略的ビットコイン準備金は、政府のビットコイン保有に関連するビットコイン秘密鍵の生成、保管、および管理に使用される。
(d) 分散化
(d-1) 戦略的ビットコイン準備金の施設が米国全土に地理的に分散していることを確実にし、同時侵害のリスクを最小限に抑え、戦略的ビットコイン準備金の回復力を強化する。
(d-2) 包括的なリスク評価に基づき、地理的多様性、セキュリティ、およびアクセス可能性を優先して、(d-1) で説明されている施設の場所を選択する。
第 5 条(ビットコイン購入プログラム)
年間20万BTC以下を5年間、合計100万BTC購入する旨と、それらを最低20 年以上保有する旨を示した上で、その状況を年次公開報告書として公表する旨が述べられています。
(a) 概要
5 年間にわたり年間 200,000 ビットコイン以下を購入し、合計 1,000,000 ビットコインを取得する。
市場の混乱を最小限に抑えるために、透明性と戦略性をもって購入する。
取得したビットコインを、米国のために信託として保管する。
(b) デポジット
ビットコイン購入プログラムに基づいて購入されたすべてのビットコインは、戦略的ビットコイン準備金に預託される。
(c) 最低保有期間
戦略的ビットコイン準備金の長期的な安定性と安全性を確保するため、ビットコイン購入プログラムを通じて取得したすべてのビットコインを 20 年以上保有する。
(d) 公開報告書
20 年間にわたり毎年、ビットコイン購入プログラムの状況に関する年次公開報告書を公表する。
第 6 条(準備金証明システム)
四半期ベースのProof of Reserveとその四半期報告について述べられています。
戦略的ビットコイン準備金の管理における透明性と説明責任を確保するため、公開暗号認証の四半期での準備金証明(Proof of Reserve)システムを確立する。
戦略的ビットコイン準備金に関する四半期報告書を公表する。これには、戦略的ビットコイン準備金に関する保有総額、取引、および秘密鍵の証明された管理に関する詳細情報 (公開暗号認証:public cryptographic attestationを含む) が含まれる。
第10条(私有財産権の保護)
最後の条文では、Bitcoin保有者のセルフカストディ権などが言及されています。
秘密鍵の自己管理(maintain self-custody)能力がデジタル時代における金融主権、プライバシー、および個人の自由の原則の基本であることを認識し、個人のビットコインおよびその他のデジタル資産に対する完全な合法的管理を維持する権利を確認し、保護する。
今後も様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!