BIS等によるオフチェーンデータとオンチェーンデータの分析プラットフォーム実証/Baltic HoneyBadgerカンファレンスにおけるBTCPay Serverケーススタディ
Diamond Hands Magazine Vol.112
th_satです。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
BIS等が暗号資産取引所のオフチェーンデータとオンチェーンデータを組み合わせた分析プラットフォームを実証(出典1, 出典2)
BIS・Eurosystem・オランダ中銀・ドイツ中銀が、暗号資産市場と分散型金融(DeFi)のマクロ経済的関連性に着目したデータ・プラットフォームを構築する「Project Atlas」を発表しています。
これは、取引所から収集されたオフチェーンデータと粒度の細かなオンチェーンデータを組み合わせるものです。
最初のPoCでは、Bitcoinネットワーク内の暗号資産取引所に帰属するトランザクションを、それらの取引所の場所とともに、暗号資産の代理として使用することによって、地理的な場所を横断する暗号資産の流れを導出したとのことです。
暗号取引所間のフローは、オンチェーンネットワークの総トラフィックと比較すると比較的小さいものの、経済的に重要かつ相当なものであることが確認されたとしています。
これに、可能であれば取引所に地理的なエリアを割り当てることによって、クロスボーダーなフローの構造が明らかになるため、法域を超えた構造分析の出発点となることが期待されています。
こうした結果を踏まえ、暗号資産市場のマクロ経済的関連性や潜在的な金融安定性への影響の分析に使用できるデータ提供に繋がるとの見方がされています。
米下院で取引所のデジタルアセットの動きを当局が参照可能とする法案が提出(出典1, 出典2, 出典3)
米下院で、取引所に対し自社台帳にのみ記録されているデジタルアセットの動きを、規制当局が見ることができる外部リポジトリに共有するよう強制する法案が提出されました。
Don Beyer議員が、取引プラットフォームに対し、CFTCに登録されたリポジトリへの全取引の報告を義務付けることを通じてデジタルアセット市場参加者を保護する法案「オフチェーン・デジタル商品取引報告法」の導入を発表しました。
Beyer議員の声明によれば、「消費者がますます大規模なデジタル資産取引プラットフォームを利用してビジネスを行うようになるにつれて、毎日何千もの取引が公に検証可能なブロックチェーン外で行われている」とした上で、「残念なことに、こうした民間事業体の内部記録管理は千差万別であり、投資家や消費者を詐欺や操作の危険にさらす可能性がある」と指摘しています。
そこで、デジタル資産市場に透明性と信頼性を取り戻すための常識的な措置として法案を位置付けているとのことです。
すべてのオフチェーン・デジタルアセット取引を24時間以内にCFTCに登録された取引リポジトリに報告することを義務付けるものであり、事実上すべての証券取引やスワップ取引の要件と同様であるとしています。
米SEC委員長が暗号資産むけ適格カストディ保護の強化を提案(出典)
米SEC委員長が、公聴会で「暗号トークンの大半は投資契約のテストに合致する可能性が高い」とした上で、「全ての暗号資産をカバーし、適格カストディが提供する保護の強化を提案する」と発表しました。
暗号資産証券市場について、暗号トークンの大半は投資契約のテストに合致する可能性が高い、との見方を示しています。ほとんどの暗号トークンが証券取引法の対象であることを考えると、ほとんどの暗号仲介業者も証券取引法を遵守しなければならないことになるようです。
また、いわゆる「DeFi」システムを含む暗号資産証券を取引するプラットフォームに対する既存規則の適用可能性を再確認する再開リリースを発表しました。現在の投資顧問のカストディ・ルールは、すでに暗号ファンドや暗号証券に適用されている中にあって、これを更新する提案においては、すべての暗号資産をカバーし、適格カストディアンが提供する保護を強化するものとしているようです。
トピックリスト
IMF、暗号資産に起因するシステミックリスク評価フレームワークに関するペーパーを発表(出典)
香港SFC、暗号資産取引所を監視するタスクフォースを発足(出典)
中国の裁判所が発行したインターネット技術の発展に関する報告書において、Bitcoinは他のデジタルアセットと異なりユニークであると述べられている(出典1, 出典2)
2.ビジネス関連の動向
Baltic HoneyBadgerカンファレンスにおけるBTCPay Serverコラボレーションケーススタディ(出典)
Baltic HoneyBadgerカンファレンスは、Bitcoinカンファレンスとして知られている一方、参加者がBitcoinを使って支払いを行うことができないという重大な欠点が明らかになっていました。
そのため、5年目を迎えるにあたり、主催者であるHodl Hodlが、参加者のBitcoin取引を効率化すべく、BTCPay Serverとのコラボレーションを立ち上げたようです。
本取り組みにおいて活用されたBTCPay Serverの機能・プラグインは以下のとおりです。
ペイアウト:支払いをスケジュールし、後で処理できる。
Prismプラグイン:パーセンテージ分割と金額のしきい値に基づいて、複数の宛先への入金資金の自動転送を可能に。
ペイアウトプロセッサー:例えばタイマーのように、設定された基準を使用して支払いを処理できる。
Sideshiftプラグイン: Liquidネットワーク上で発行されたTetherのような他の資産への変換を可能に。
これらを通じて、以下のような手順で支払いが行われました。
100,000satが集まったら、ペイアウトプロセッサーを通じてSideShiftに支払いを転送する。
SideShiftは支払いをUSDT(Liquidネットワーク上のStablecoin)に変換した上で、Green WalletやAquaなどのマーチャントのUSDT Liquidウォレットに返す。
マーチャントは、Hodl Hodlプラットフォームを通じて、支払いをUSDTで保持したり、法定通貨に変換したり、Bitcoinで保持したりする柔軟性を実現。
結果として、1取引あたり平均9.20€の取引が2944件行われ、1.1BTC(27079.99€)の価値が扱われたとのことです。
ケーススタディの動画(30秒) および チュートリアル動画(15分)が公開されていますので、ぜひご覧ください。
Foundry USAのデータに基づき、テキサス州が米国のマイニングスペースを支配しているとする記事(出典)
テキサス州は、2021年末時点で米国内のハッシュレートの8.43%を占めており、その割合は2023年7月27日時点で28.50%に急上昇しているとされます。
この背景には、テキサス州のエネルギーグリッドを運営するERCOTからの支援も一因となっているとされています。ERCOTは歴史的に、変動するエネルギー価格と散発的なサービスに悩まされてきました。
そのため、マイニング事業者のような柔軟なエネルギー購入者と取引を行い、電力需要の低い期間において、余剰エネルギーを維持できるようにしています。
具体的には、需要が高いときに余剰エネルギーを送電網に戻すことができるように、マイナーに作業を停止させるインセンティブを提供しているとのことです
例えば、マイニング事業者のRiot Platformsは、マイニング作業をオフラインにすることで $31.7m以上の収入を得たといいます。内訳として、$24.2mはERCOTの電力供給網への売電によるもの、残りの$7.4mはデマンドレスポンスクレジットによるものとのことです。
Blockのサーベイによると、定期的に送金を送ったり受け取ったりしている世帯においてBitcoinに対する楽観的な見方の傾向があるとのこと(出典1, 出典2)
Bitcionを所有している成人の86.8%は、定期的に送金を送ったり受け取ったりしている世帯に属しているとのことです。
送金している人は8.9%がBitcionを所有していると回答したのに対し、送金していない回答者はわずか0.7%となっています。
Bitcoinの将来について、送金している人は56.2%が楽観的にみており、送金していない人(27.8%)と比べ、はるかに楽観的とされています。
さらに、送金する世帯の72.4%がプライバシーについて心配しており、送金しない世帯の54.4%と比較してデータプライバシーに関してより高い関心を持っているようです。
日本については、Bitcoinとその関連用途やツールに対する懐疑的な見方を維持する要因の結節点に位置しているとの見方が示されています。
その背景として、先進国の中で最も低いインフレ率、現金偏重な消費経済、ハイテク技術の導入や好奇心の低さ、送金経済への参加率の低さ、個人的な投資計画の必要性を否定してきた強力な社会的セーフティネットと強固な個人年金制度などが挙げられています。
トピックリスト
Volcano EnergyとLuxor Technologies、エルサルバドル初のマイニングプール「Lava Pool」設立へ(出典)
Chase bank、10月から暗号資産関連の決済を拒絶すると発表(出典)
ナイジェリアのLightning決済アプリLightning-pay(出典)
Coinbase、シンガポールMASから主要決済機関(MPI)ライセンスを取得(出典)
野村のLaser Digital、東京オフィス開設(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!