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Diamond Hands Magazine、この1ヶ月をふりかえり、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
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1. 規制関連の動向
米共和党、2024年の党綱領において、Bitcoinマイニングやデジタルアセットのセルフカストディの権利保証を言及(出典:7/7付)
米共和党の全国大会が行われ、選挙公約である「MAKE AMERICA GREAT AGAIN!」とする綱領を発表・採択しました。
この中では、「第3章:BUILD THE GREATEST ECONOMY IN HISTORY」において、「暗号資産の取り締まりを終わらせ、中銀デジタル通貨の創設に反対する旨」や「Bitcoinマイニングの権利を守り、全米国人がデジタルアセットをセルフカストディし、政府の監視や管理から自由に取引する権利を持つことを保証する旨」が記されています。
Bitcoin Policy UK、英国の持続可能な送電網の課題解決策として、余剰再生可能エネルギーを収益化するBitcoinマイニングを提案(出典:7/9付)
英国の暗号通貨ロビーグループである「Bitcoin Policy UK」が、持続可能な産業のひとつが、これまで英国が見過ごしてきたビットコインマイニング採掘であるとして、レポートを発表しています。
「ビットコイン・マイニング:持続可能なグリッドのための柔軟な負荷」と題したレポートでは、持続可能な送電網が直面する問題を検証し、解決策としてビットコインマイニングを提案しています。
英国の送電網に関する課題として、次の3点を挙げています。
英国の電力網は、電化と再生可能発電による需要の増加と断続性に適応する必要がある。
デマンドサイドレスポンス(DSR)モデルが開発されているが、限界があり、インフラ整備が必要である。
政府は、陸上風力発電と原子力発電の野心的な目標を掲げているが、商業用および家庭用DSRでは、これらの目標を達成するのに必要な柔軟性が得られない可能性がある。
これに対して、ビットコインマイニングは、以下の特徴を持つ代替DSR戦略であるとしています。
温室効果ガス排出がゼロである。
利用可能なあらゆる余剰エネルギーや無駄なエネルギーを使用し、英国で最大72TWhの無駄な余剰エネルギーを生産的な経済成果に変換することによって、GDPを増加できる。
再エネプロバイダーに対する予備の需要を提供できるため、再エネプロバイダーは生産するすべてのエネルギーの買い手がいること、およびプロジェクトが利用不足に悩まされることがないことを確認できる。
適切なタイミングで即座に停止して再開でき、ミリ秒単位で応答するDSR能力を提供できるため、再生可能エネルギーの供給が大量かつ変動するという問題解決に資する。
その上で、ビットコインマイニングは、再生可能な資源を収益化し、グリーンエネルギーを実現する絶好の機会である、と結んでいます。
グローバルのトピックリスト
バーゼル委員会、銀行の暗号資産へのエクスポージャーに関する開示枠組みを承認。この枠組みは今月末に公表され、実施日は2026年1月1日となる。(出典:7/3付)
FATF、「暗号資産:FATF基準の実施状況についての報告書」を公表。(出典:7/10付)
バーゼル委、銀行の暗号資産エクスポージャーの最終的な開示枠組みを公表。(出典:7/17付)
米国のトピックリスト
米連邦所得税のBitcoin払いを認める法改正案。(出典:6/17付)
米国政府としてタグ付けされたウォレット、Coinbase Primeに3940BTCを送金。米司法省が押収した資金とみられている。(出典:6/26付)
米連邦保安局、大口デジタルアセットのカストディ提供でCoinbase Primeを選定。(出典:7/1付)
米エネルギー情報局(EIA)、米国におけるBitcoinマイニング事業に関するデータ収集調査に関する今後の取り組みの計画をウェビナーで説明。(出典:7/10付)
米Santa Monica市議会、コミュニティにBitcoinについて啓蒙すべくworkforcebtcと提携し、Bitcoin office開設へ。Bitcoin教育の提供や、再エネを利用したマイニングの探究など(出典1, 出典2:7/11付)
米裁判所、Tornado Cashの共同創設者であるRoman Storm氏の刑事裁判を延期するという弁護側の要請を認める。(出典:7/12付)
米下院、SAB121を覆す立法措置に対する大統領拒否権を覆すための投票を行い、228対184で3分の2の基準を満たせず。(出典:7/12付)
米財務長官、34兆ドルの債務の膨張やBitcoin・暗号通貨の台頭によって、各国の米ドル離れが進みつつあり米ドルの優位性が脅かされているとの見方。(出典:7/14付)
Bitcoinは分散型金融システムを提供することによって個人の自由を守り、政治結果に影響を与えることができるとする、Newsweek記事。(出典:7/16付)
欧州のトピックリスト
欧州銀行監督機構(EBA)、MiCA規制に基づく技術基準とガイドラインを発行。(出典:6/13)
独連邦刑事警察庁、CoinbaseとKrakenに200BTCずつ送金。(出典:6/25付)
デンマーク当局、MiCA規制発効を受けて、サービスが真に分散化されていると見なされるための基準についてガイダンスを発表。(出典:6/25付)
デンマーク当局DFSA、MiCAは「仲介者を介さない完全な分散型で提供される」暗号資産サービスを明確に除外しているため、セルフカストディアルウォレットはもともとMiCAの対象ではなく、セルフカストディアルウォレットの禁止を提案したものではないとの見方。(出典:7/2付)
独の国会議員、政府保有Bitcoinの性急な売却を非難し、包括的なBitcoin戦略を策定するよう要求。具体的には、国庫へのBitcoin保管、Bitcoin債券の発行、および好ましい規制環境整備など。(出典1, 出典2:7/3付)
独当局BKA、3000BTCを送金。うち1300BTCはBitstamp・Coinbase・Krakenへ。(出典:7/4付)
Plan ₿ Biz Schoolにおける、スイス国会議員による、Bitcoinとスイスの価値観がどのように一致しているかに関する講演の模様。(出典:7/9付)
Arkhamのデータによると、ドイツ当局は保有するBitcoin(3846.05BTC)をすべて売却し、残高0BTCに。(出典:7/13付)
ドイツ当局、6月19日〜7月12日の間に約49,858BTCの市場保全売却を完了したと発表。売却益の総額は26.4億ユーロ (出典:7/16付)
ドイツ当局によるBitcoin売却分は、主に機関投資家の流動性プロバイダーによって吸収されているとのこと(出典:7/14付)
アジア太平洋エリアのトピックリスト
韓国の暗号資産規制の枠組みが、2023年7月の承認から1年の猶予期間を経て発効。ユーザーの暗号資産デポジットの少なくとも80%を、自己資金とは別にコールドストレージに保管する法的義務を課すなど。(出典:7/18付)
韓国、暗号通貨の利益に対する課税を、当初予定の2025年初頭から2028年へ3年遅らせることを提案(出典:7/15付)
日本ブロックチェーン協会、「暗号資産に関する税制改正要望(2025年度)」を政府に提出(出典:7/19付)
2.ビジネス関連の動向
Fidelity Digital Assetsの考える「企業財務担当者がビットコインのアロケーションを検討する理由」(出典:6/26付)
Fidelity Digital Assetsが、「近年大手上場企業の企業財務担当者がBitcoinを受け入れ始めた理由」についてのレポートを発表しました。
ビットコインに対する理解を深めることによって、上場している大企業の財務担当者が近年ビットコインを採用し始めた理由を説明できるかもしれないとしています。
2100万BTCの最大供給量や、パブリック・ブロックチェーン上での検証可能な希少性など、ビットコインの特性の多くは、魅力的な価値の保存手段となる可能性があるとしている他、財政赤字の拡大、通貨価値の下落、地政学的リスクに対する貴重なヘッジとなる可能性があると述べています。
従来より企業の財務部門が資本の大部分を低リスク資産に配分してきた中にあって、インフレや金利・地政学的リスクの高まりを含む不透明な経済要因によって、戦略の実行可能性を再考させているとしています。
直近2020年以降、MicroStrategyの他、BlockやStone RidgeやSemler ScientificおよびTeslaなどが、ビットコインの割り当てを発表しているとし、ビットコインへのバランスシート配分を検討する理由を考察しています。
まず、規制面では、 EUのMiCAによる法的枠組みや、米国SECによるビットコインETFの承認などによって、投資家や企業が求めていた安心感や明確性を提供していることを挙げています。
また、米国財務会計基準審議会(FASB)のガイドラインでも、保有するビットコインの真の価値をより正確に表示することによって、財務健全性をより良く示すことができるようになったとしています。
その上で、ビットコインは一般的に経済危機によって生じた需要ショックと相関性がみられなかったため、 企業のコアビジネスが不利な状況にある場合にも、恩恵を受ける可能性があるとしています。
財務担当者が現金を管理する上で複数のリスクにさらされている中にあって、これらのリスクの多くが現在の経済環境において高まっているとした上で、企業がバランスシートを最適化する新たな方法を模索するにあたり、多くの企業が潜在的な損失を相殺するためにビットコインに目を向けている、と結んでいます。
表:企業の財務担当者が直面するリスクに対してビットコインが提供できる潜在的な解決策
野村ホールディングスが発表した「デジタルアセットの投資動向に関する機関投資家調査 2024」(出典1, 出典2:6/24付)
野村ホールディングス株式会社とデジタルアセット子会社であるLaser Digital Holdings AGが、「デジタルアセットの投資動向に関する機関投資家調査 2024」を発表しています。
調査は、国内の機関投資家またはファミリーオフィス、公益法人に在籍する運用担当者547名を対象として、2024年4月15日~4月26日に行なったものとのことです。
要点としては、以下3点が挙げられています。
「回答者の54%が今後3年間において暗号資産に投資する意向があり、25%が暗号資産に対してポジティブな印象を持っている」
「回答者の62%が暗号資産を分散投資の機会とみており、暗号資産に投資する場合、望ましい配分比率としてAUMの2~5%程度を想定している」
「暗号資産投資を加速する要因としては、ETF、投資信託、ステーキングなどのさまざまな商品が開発されることが挙げられた」
その上で、以下のような課題も提起されています。
投資の検討に至るまでは監督指針含む法規制、検討 / 実行の段階では自己資本規制が障壁となる
社内的な障壁としては、意思決定層の知見不足やネガティブな先入観があげられている
投資にあたっては情報収集や知見の蓄積に加え、意思決定層の先入観や知見のインプットが課題
トピックリスト
Austin大学が、Unchainedと提携し、新しい世代の学者と起業家を育成する取り組みに資金を提供するため、Bitcoinで保有される初の長期基金を立ち上げ。少なくとも5年間はBitcoinで運用されるとのこと。(出典:5/31付)
規制の圧力、劣悪なUX、マーチャント受入減少などによって、Bitcoinの日常利用が困難なものとなっている、とする記事。ギフトカードやATMには規制上のハードルが高まり、多くのKYCが求められるなど、Bitcoin支払いが簡単になるどころか難しくなっているとのこと。(出典:6/10付)
ZeroHashとLightspark、「暗号通貨とStablecoinによるフリーランサー向け支払いの課題解決」レポートを発表。(出典:6/11付)
ブラジルのネオバンクnubankが、Lightsparkと提携し、Lightning Network と UMA (Universal Money Addresses)を提供へ。(出典1, 出典2:6/25付)
7/1-7/6の日程で開催されたPlan ₿ Biz School(出典)
台湾の大手通信会社Taiwan Mobile、台湾で26番目のVASP事業者に。(出典:7/5付)
Block、3nmマイニングASICをCore Scientific社に供給する契約を発表。マイニングイニシアチブとセルフカストディウォレットBitkeyを主導するProtoチームによる開発。(出典:7/10付)
Relai、スイスの規制要件に準拠するため本人確認プロセスを新しく改善。10月31日以降、Relai を使用できるのは本人確認済みのユーザーのみに。(出典:7/10付)
Boltz、Boltz ClientのAutoSwap機能を使うためのガイドをリリース(出典:7/11付)
株式会社カシェイ、ビットコインでVisaプリペイドカードを購入できるサービスを開始。(出典:7/12付)
Stripe、EUで暗号通貨購入可能に。(出典1、出典2:7/16付)
買い物客がクレジットカードやデビットカードを使ってBitcoinなどの暗号通貨を購入できる。
オンラインベンダーはウェブサイトに暗号通貨購入ウィジェットを追加でき、暗号通貨決済に関連する手数料・KYC規制責任などの問題を処理できるとのこと。
Bitkey、MoonPayと提携し、Bitcoin購入可能に。(出典:7/16付)
Bitcoin Well、カナダの顧客が個人用BitcoinウォレットからLightningを使ってセルフカストディの安全性を維持ながら請求書やクレジットカードをBitcoin支払可能に。(出典:7/16付)
ラテンアメリカのデジタルアセットプラットフォームBitso、Lightningの導入にあたりLightsparkを採用(出典:7/16付)
Kraken、英国と豪州の機関投資家向けにカストディサービスを拡大(出典:7/18付)
関連サービスリスト
Bitcoinマーチャントリスト(出典)
領収書をアップロードすると、Lightningを使用してキャッシュバックを受けることができる「ScanBack」のデモ版(出典)
Bitcoin専用の宿泊物件リストサイト「Airbtc」(出典)
ノンカストディアルのBitcoin担保貸付プラットフォーム「debifi」(出典)
Lightning支払いによる高帯域幅のTorネットワーク「El Tor」(出典)
収益性とエネルギー効率を最大化するように設計されたホームマイナー用ビットコインツール「Bitaxe」(出典)
BTCPay Server、Bitcoin AtlantisやBitcoin Hong Kong等のカンファレンスで使用したセットアップガイドを公開(出典)
Bitcoin Design Guideに示されている、日常的に使用するBitcoinウォレットのあり方(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!