トレジャリー企業の光と影──アドバイザリー契約の高額報酬・プレミアム構造の行方
いくつかの暗号資産トレジャリー企業を取り上げ、最近の取引構造や、人々がなぜこれらに投資するのかを考察します。mNAV(market Net Asset Value、時価純資産価値)に対して大きなプレミアムで取引される場合、PIPE(Private Investment in Public Equity)投資家がどのようにして大きな利益を得られるのかを解説。
さらに、mNAVプレミアムを高めるために用いられるアドバイザリー契約、資産運用契約、経営陣へのインセンティブを簡単に確認しましょう。加えて、パッシブファンドがこの分野に与えうる影響や、成功したトレジャリー企業の“最後の保有者”がバンガードになる可能性についても分析します。
こんにちは!yutaro です。
本日のPro向け「BTCインサイト」では、BitMEXによるリサーチ記事 Treasury Company Advisory Agreements を全文日本語訳してお届けいたします。
概要(Overview)
2017年はICOバブル。2021年はNFTと暗号資産レンディングのバブル。そして2025年、このサイクルで同等の位置を占める存在が明確になってきました。それが「暗号資産トレジャリー企業」ブームです。
早期参入で短期的な利益を狙い、大きなリスクを取るなら、NASDAQ上場のこうした企業が選択肢となります。取引形態はさまざまですが、単純化すると人気の方法は2つ──リバーステイクオーバー(逆買収)とSPAC取引。
典型的なリバーステイクオーバーの流れはこうです。まず、NASDAQ上場の小規模な“ゾンビ企業”を探す。理想的なのは、負債を抱えておらず、本業が行き詰まり、時価総額が4,000万ドル未満。訴訟や偶発債務のリスクが低く、少数のインサイダーが大半の株式を持っている企業です。
次に、株式発行に参加するPIPE投資家を集めます。この中には、8年前にICO案件に特化していた投資家が含まれることもあります。ターゲット企業は新株を発行し、既存株主の持ち分を少数派まで希薄化。発行された新株は取引完了時にPIPE投資家へ渡ります。彼らは通常株主となり、新しい経営陣が就任。財務戦略に専念する体制へ移行します。
企業は調達した米ドルを使って選定した暗号資産を購入します。場合によっては、対象コインによる現物出資(in-kind subscription)が可能なケースもあります。
狙いは、取引完了後に株価が保有暗号資産の価値の2倍から5倍で取引されること。そうなれば企業は市場で新株を発行し、その資金でさらにコインを購入できます。いわゆるMSTR(MicroStrategy)方式です。株式がmNAVに対してプレミアムで売られるため、1株あたりの保有コイン数が増加。この動きがコイン価格を押し上げ、さらに株価を引き上げる好循環につながる可能性があります。
PIPE投資家はおおむね0.8倍から1.0倍──つまり企業が立ち上げ時に購入予定のコイン価値とほぼ同等の評価──で参加します。取引完了後に株式が大きなプレミアムで取引されれば、短期的に大きな利益を得られる見込みです。
投資としての魅力(The Compelling Nature of the Investment)
なぜ人々はこうしたオファリングに参加するのか──多くの質問を受けます。mNAVに対するプレミアムの正当化は循環論法、つまり「プレミアムはプレミアムで正当化される」という理屈に依存しています。これはポンジスキームに似た性質を持つ場合もあります。それでもPIPEレベルで見ると、これらの取引は非常に魅力的に映ることがあります。
以下の例を考えてみましょう。
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