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ビットコインをめぐる4つの思想(Saylor氏)/ Post Quantum “Lightning” をレイヤーごとに読む

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yutaro
Jun 07, 2026
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自分のパソコンでビットコインの供給量を独自に検証しました。ほんの数分で、たった一つのコマンドで。

最高の気分です。


こんにちは!yutaro です。

さっそくですが「BTCインサイト」本日のトピックスはこちら:

  • ビットコインをめぐる4つの思想──Saylor氏が示した「これからの対立軸」

  • 量子時代のLightningは何を失い、何を守るのか──Post Quantum “Lightning” をレイヤーごとに読む(Pro向け)


ビットコインをめぐる4つの思想──Saylor氏が示した「これからの対立軸」

本記事は、Michael Saylor氏がX投稿した記事 The Four Ideologies of Bitcoin の内容をもとに要約・編集したものです。


ビットコインは、ひとつの思想だけでは語れなくなった

ビットコインは、もはや一部の技術者や反中央集権的なコミュニティだけのものではありません。

個人投資家、企業、金融機関、政府、資本市場、開発者、ノード運用者、ウォレット事業者、ETF発行体。さまざまな立場の人たちが、ビットコインを異なる角度から見ています。

その結果、ビットコインを支持する人たちの中にも、考え方の違いがはっきり出てきました。

Michael Saylor氏は今回の投稿で、ビットコインをめぐる主要な思想を4つに分類しています。

  • Bitcoin Maximalists(ビットコイン・マキシマリスト)

  • Bitcoin Capitalists(ビットコイン・キャピタリスト)

  • Bitcoin Technologists(ビットコイン・テクノロジスト)

  • Bitcoin Fundamentalists(ビットコイン・ファンダメンタリスト)

という分類です。

重要なのは、これらが必ずしも対立する陣営ではないという点です。ひとりのビットコイナーの中にも、複数の考え方が混ざっていることは普通にあります。

ただ、この分類はかなり有用かもしれません。

なぜなら、いまビットコイン界隈で起きている議論の多くは、この4つの思想のどこに重心を置くかによって見え方が変わるからです。

  • ETFをどう見るか。

  • 企業のビットコイン保有をどう見るか。

  • 銀行によるカストディをどう見るか。

  • LightningやL2をどう見るか。

  • ベースレイヤーの変更をどこまで許容するか。

  • セルフカストディと個人ノードをどこまで重視するか。

これらの議論は、単なる技術論や投資論ではありません。

ビットコインがこれからどのように世界へ広がるべきか、という思想の違いでもあります。


1. ビットコイン・マキシマリスト──「ビットコインこそが答えである」

最初の分類は、ビットコイン・マキシマリストです。

この立場の中心にあるのは、ビットコインは単なる暗号資産のひとつではなく、デジタル時代における支配的な金融ネットワークである、という考え方です。

ビットコインは、デジタル希少性を初めて実現したネットワークです。

発行上限があり、中央管理者が存在せず、政府や銀行や企業に依存せず、価値を保存し、移転できます。

マキシマリストにとって、ビットコインは投資商品ではありません。

より正確に言えば、ビットコインは「腐敗しないお金」に近い存在です。

インフレ、通貨切り下げ、資本規制、銀行破綻、政府による没収、金融システムの混乱。こうしたものから個人を守るための道具として、ビットコインを捉えます。

そのため、マキシマリストはビットコインを道徳的・文明的な進歩として見る傾向があります。

  • 良いお金は、人間の行動を変える。

  • 貯蓄を守る。

  • 低い時間選好を促す。

  • 経済的に抑圧された人に逃げ道を与える。

この考え方が、ビットコイン文化の強い芯を作ってきました。

マキシマリストの強みは、明確さです。

「There is no second best」

この言葉に象徴されるように、ビットコインを他のトークンやプロジェクトと同列に扱わない。これがビットコインのアイデンティティを守ってきました。

一方で、Saylor氏はリスクも指摘しています。

マキシマリズムは、目的地を示す思想としては強い。
しかし、そこへどう到達するかまでは十分に答えない場合がある。

つまり、ビットコインが勝つとして、それを銀行、企業、政府、資本市場、数十億人の個人とどう接続していくのか。

ここには別の議論が必要になります。


2. ビットコイン・キャピタリスト──「ビットコインは世界経済に組み込まれてこそ力を持つ」

次に、ビットコイン・キャピタリストです。

これはSaylor氏自身にかなり近い立場だと考えられます。

キャピタリストにとって、ビットコインは「デジタル資本」です。

鉄、電気、石油、インターネット、スマートフォンのように、社会の中に組み込まれることで真価を発揮する基盤的な資産だと見ます。

この立場では、ビットコインは閉じた世界にとどまるべきではありません。

  • 企業のバランスシートに入る。

  • 銀行が保管する。

  • 証券として組成される。

  • 信用商品や担保として使われる。

  • ETFや資本市場を通じて多くの人がアクセスする。

  • 政府や保険会社、資産運用会社が保有する。

こうした統合を、キャピタリストは前向きに捉えます。

ビットコインがすべての既存制度を置き換える必要ありません。

むしろ、既存の金融システムにビットコインが入り込むことで、企業、銀行、投資家、家族、国家の資本基盤を強くできる。

これがキャピタリストの考え方です。

この思想の強みは、現実的で拡張性があることです。

世界経済は、会計、税制、規制、証券、信用、担保、流動性、カストディといった仕組みで動いています。

ビットコインが本当にグローバルな資本になるなら、これらの仕組みと無関係ではいられません。

その意味で、キャピタリストの視点は、ビットコインを大規模に普及させるうえで重要です。

ただし、ここには大きなリスクもあります。

  • 統合は、複雑さを生みます。

  • 複雑さは、レバレッジを生みます。

  • レバレッジは、脆弱性を生みます。

ビットコイン担保融資、ビットコイン連動証券、企業トレジャリー戦略、高利回り商品、再担保、カストディ集中。

これらはすべて、ビットコインの採用を広げる一方で、ビットコインが解決しようとした金融システムの弱さを再現する可能性があります。

ここがキャピタリスト思想の最大の課題です。

「ビットコインを世界に広げること」と「ビットコインを金融商品化しすぎること」は違います。

生産的な統合と、危険な金融化をどう分けるか。

ここが問われます。


3. ビットコイン・テクノロジスト──「ビットコインは改善され続けるべきプロトコルである」

3つ目は、ビットコイン・テクノロジストです。

この立場では、ビットコインは完成品ではなく、進化し続けるべきプロトコルとして見られます。

ビットコインはすでに非常に強い仕組みです。

  • しかし、技術は変化します。

  • 脅威も変化します。

  • ユーザーの需要も変化します。

  • 攻撃者の能力も変化します。

そのため、必要に応じて、ビットコインも慎重に改善されるべきだというのがテクノロジストの考え方です。

彼らが重視するのは、スケーラビリティ、プライバシー、セキュリティ、機能性、使いやすさ、L2との互換性、ウォレット設計、将来の脅威への備えなどです。

たとえば、量子コンピューターへの備えはこの領域に入ります。

将来、現在の楕円曲線暗号が十分でなくなる可能性があるなら、ビットコインはどのようにポスト量子暗号へ移行すべきか。Lightningはどのレイヤーをどう変えるべきか。

これは、テクノロジストが考えるべき問題です。

テクノロジストの強みは、問題を先回りして見つけ、技術的な解決策を提案することです。

ビットコインが「何もしないこと」だけで永遠に強くいられるとは限りません。セキュリティ、プライバシー、UX、スケーリングの課題を無視すれば、長期的な有用性が下がる可能性もあります。

一方で、テクノロジストにもリスクがあります。

それは、変更による副作用です。

ビットコインの最大の強みは、動き続けていることです。止まらず、壊れず、ルールが簡単に変わらないことです。

だからこそ、ベースレイヤーの変更には極めて高い慎重さが必要になります。

良かれと思って行った変更が、セキュリティ、分散性、金融的な完全性、社会的合意を損なう可能性もあります。

医療には「医原性被害」という考え方があります。治療そのものが患者に害を与えることです。

ビットコインにも同じ問題があります。

改善のつもりで行った変更が、ビットコインの強みを壊してしまうかもしれません。

だからこそ、テクノロジストには技術的な野心だけでなく、ビットコインの保守性への敬意が必要になります。


4. ビットコイン・ファンダメンタリスト──「ビットコインの魂を守る」

4つ目は、ビットコイン・ファンダメンタリストです。

この立場は、セルフカストディ、個人ノード、分散性、不変性、パーミッションレス性、検閲耐性を何より重視します。

ファンダメンタリストにとって、ビットコインの価値は「誰かに預けなくても使えること」にあります。

  • 自分の鍵を持つ。

  • 自分のノードで検証する。

  • 自分の取引を確認する。

  • 誰かの許可なく送金できる。

  • 政府や銀行や企業に依存しない。

これこそがビットコインの中核です。

この立場から見ると、ビットコインの成功そのものが新しいリスクになります。

なぜなら、成功したビットコインには、銀行、政府、企業、金融エンジニア、規制当局、投資家、開発者が集まってくるからです。

  • 銀行はカストディしたがる。

  • 政府は管理したがる。

  • 企業は金融商品化したがる。

  • 投資家はレバレッジをかけたがる。

  • 開発者は機能を追加したがる。

その結果、ビットコインが本来持っていたシンプルさ、自己主権、検証可能性が薄まる危険があります。

ファンダメンタリストの強みは、ビットコインの原点を守ることです。

ビットコインは、単なる価格上昇のために生まれたものではありません。中央集権的な金融システムへの依存から抜け出すために生まれたものです。

この視点を忘れると、ビットコインはただの金融商品になってしまいます。

一方で、ファンダメンタリストにもリスクがあります。

それは、閉じすぎることです。

世界中の80億人が、全員同じ方法でビットコインを使うわけではありません。

  • セルフカストディする人もいます。

  • 銀行経由で持つ人もいます。

  • ETFで持つ人もいます。

  • 企業の株式を通じて間接的に持つ人もいます。

  • ビットコイン担保融資を使う人もいます。

  • L2やアプリ経由で使う人もいます。

もし「この使い方だけが正しい」と狭く定義しすぎると、ビットコインの恩恵を受けられる人の範囲を狭めてしまいます。

プロトコルを守ることと、採用を拒むことは違います。

このバランスが難しいところです。


4つの思想が問いかけていること

Saylor氏は、4つの思想をそれぞれの問いとして整理しています。

マキシマリストは問います。
ビットコインはすでに何を証明したのか。

キャピタリストは問います。
ビットコインは世界経済とどう接続するのか。

テクノロジストは問います。
ビットコインはどう改善されるべきか。

ファンダメンタリストは問います。
ビットコインの中核原則をどう守るのか。

どの問いも重要です。

  • ビットコインには、確信を守るマキシマリストが必要です。

  • 採用を広げるキャピタリストも必要です。

  • 技術課題に向き合うテクノロジストも必要です。

  • 原則を守るファンダメンタリストも必要です。

問題は、どれかひとつが絶対化したときです。

  • マキシマリストは、他の議論を切り捨てすぎるかもしれません。

  • キャピタリストは、金融化を進めすぎるかもしれません。

  • テクノロジストは、変更のリスクを軽く見すぎるかもしれません。

  • ファンダメンタリストは、採用の広がりを拒みすぎるかもしれません。

健全なビットコインのエコシステムには、確信、統合、革新、保守のすべてが必要になります。


本当の対立は「変えるか、変えないか」だけではない

この分類を読むと、ビットコインの議論が単純な対立ではないことがわかります。

たとえば、ベースレイヤーの変更について考える場合。

テクノロジストは、将来の脅威やスケーリングのために改善が必要だと考えます。

ファンダメンタリストは、変更がビットコインの安定性や不変性を損なうことを警戒します。

マキシマリストは、ビットコインの支配的な地位を守るために、何が本質的かを問います。

キャピタリストは、世界経済との接続や資本市場での利用にとって何が必要かを考えます。

同じテーマでも、立場によって重視するポイントが違います。

ETFについても同じです。

キャピタリストにとって、ETFはビットコインを世界の資本市場に接続する重要な導線です。

マキシマリストにとって、ETFはビットコインが支配的なデジタル資産であることの証明です。

ファンダメンタリストにとって、ETFはカストディ集中と自己主権の喪失リスクを含みます。

テクノロジストにとって、ETFそのものよりも、より多くの人が安全に使えるインフラ設計が課題になります。

つまり、どれか一つの視点だけでは、ビットコインの現在地を正しく見られません。


「規律ある拡大」という考え方

Saylor氏は、ビットコインの今後に必要なのは「reckless change」でも「institutional capture」でも「isolationist purity」でもないとしています。

必要なのは、disciplined expansion(規律ある拡大)。

これはかなり重要な表現です。

ビットコインは、広がる必要があります。

しかし、無秩序に広がれば、レバレッジ、カストディ集中、規制依存、金融商品の複雑化によって、ビットコインらしさを失う危険があります。

一方で、守ることだけを優先して閉じてしまえば、世界中の個人、企業、家族、国家がビットコインの恩恵を受ける機会を狭めます。

だからこそ、ビットコインのベースレイヤーは神聖なインフラとして扱うべきです。

変更はまれで、慎重で、圧倒的な合意に基づくべきです。

一方で、イノベーションの多くは、上位レイヤー、アプリ、カストディシステム、資本市場、信用商品、金融インフラで起きるべきだという整理です。

ただし、どれだけ制度化が進んでも、個人がセルフカストディし、自分のノードで検証できる権利と能力は残されなければなりません。

ここがビットコインの最低ラインです。


まとめ:ビットコインがビットコインであり続けるために

今回のSaylor氏の投稿は、ビットコイン界隈の思想地図として読むと非常にわかりやすい内容です。

マキシマリストは、ビットコインが唯一無二の金融ネットワークであることを強調します。

キャピタリストは、ビットコインが企業、銀行、資本市場、国家に組み込まれることで、より大きな力を持つと考えます。

テクノロジストは、将来の技術的課題に備え、必要な改善を検討します。

ファンダメンタリストは、セルフカストディ、個人ノード、分散性、不変性という中核原則を守ろうとします。

どれか一つだけでは足りません。

ビットコインには、確信も、採用も、技術的な備えも、原則を守る文化も必要です。

ただし、それぞれの思想が行き過ぎると問題も起きます。

採用を急ぎすぎれば、金融化とレバレッジが暴走するかもしれません。

技術改善を急ぎすぎれば、安定性や社会的合意を損なうかもしれません。

原則を守ることにこだわりすぎれば、ビットコインの恩恵を受けられる人を狭めてしまうかもしれません。

だからこそ、これからのビットコインに必要なのは「規律ある拡大」です。

  • ベースレイヤーは慎重に扱う。

  • セルフカストディと個人ノードの道は残す。

  • 上位レイヤーやアプリでは自由に実験する。

  • 資本市場との接続は進めるが、レバレッジとカストディ集中には警戒する。

ビットコインは、特定の思想や集団だけのものではありません。

個人にとってはお金になり、企業にとっては資本になり、銀行にとっては担保になり、国家にとっては準備資産になり得ます。

それでも、ビットコインがビットコインであり続けるためには、誰でも検証でき、誰でも自己保管でき、誰の許可もなく使える状態を守る必要があります。

純粋性と採用、革新と安定。

このどちらかを選ぶのではなく、両方のバランスを取りながら前に進むこと。

世界がビットコインの上に何かを作っていく中で、ビットコインがビットコインであり続けること。

そこが最も重要です。

(※原文はコチラ)


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量子時代のLightningは何を失い、何を守るのか──Post Quantum “Lightning” をレイヤーごとに読む

本記事は、Delving Bitcoinに投稿されたroasbeef氏の記事 Post Quantum Lightning: Layer by Layer をもとに要約・編集したものです。


量子コンピューターの問題は、Lightningにも影響する

量子コンピューターとビットコインの話になると、多くの場合は「ビットコインの秘密鍵が破られるのか」「古いアドレスのBTCは危険なのか」といった話題に集中します。

もちろん、それは重要です。

しかし、ビットコインの上にはLightning Networkという決済レイヤーがあります。そしてLightningは、単にビットコインを送るだけの仕組みではありません。

  • インボイスを作る。

  • ノード同士が暗号化通信する。

  • チャネル情報をネットワークに流す。

  • 支払い経路をオニオンルーティングで隠す。

  • オンチェーンのチャネル取引を安全に管理する。

こうした各レイヤーに、現在の楕円曲線暗号(ECC)が深く使われています。

今回の記事で重要なのは、「量子コンピューターが来たらLightningが終わる」という単純な話ではありません。

むしろ論点は逆です。

Lightningは、どの部分を、どの順番で、どの暗号方式に置き換えれば、量子時代にも同じように動けるのか。

そして、その代償として何が大きくなり、何が難しくなり、どのUXが変わるのか。

今回のroasbeef氏の記事は、この問題をBOLTごとに分解して整理したものです。


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Koji Higashi
·
September 4, 2023
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