ちょうど一年ほど前に「日本でビットコインを流行らせるにはどうすればいいのか本気で考えてみる①」という記事を書いたのですが、そこからなんと1年越しで続編を書いてみようと思います。
今回のテーマは「物理的なスペース」「関係者の溜まり場」の重要性について。
実はこのテーマ関連で少し前にビットコイナー反省会の方でも動画を収録していました。
こちらの動画の内容としては、「東京のどのあたりのエリアがビットコイナーに適してそうか?」というのを視聴者を巻き込みながら軽いノリで一緒にワチャワチャ話すものでしたが、その中でも一部説明した通り、「現在ビットコイン関連の人たちが国内で気軽に集まれる場所がない」というのが普及や啓蒙、開発活動などの加速を阻害させる要因の一つになっているというのは真実を含んでいると思います。
逆に言えば海外でビットコイン関連の活動が盛り上がっているエリアというのは、大抵エルサルバトルでいうBitcoin Beachのような聖地があったり、現地の開発者コミュニティや訪問者が気軽に交流できる何かしらのスペース、ハッカーハウスなどが存在していることが多いです。
以下ごく一部ですがいくつか例を挙げてみると…
Bitcoin Beach(エルサルバドル)
ご存知エルサルバドルのビットコイン法定通貨化のきっかけとなった、ビットコイン決済があらゆるところで使えるビーチ。元々は匿名の有志がエルサルバドルのサーフィンエコシステムや、ビットコイン経済圏の確立などを目標に大量のビットコインを寄付したのがきっかけ(と自分は認識している)
Bitcoin Park(Nashville, USA)
Nashvilleは最近アメリカ国内で盛り上がっているビットコインスポットの一つで、こちらの共同生活スペース的な家を中心に開発者などが交流しているようです。
BoBスペース(バンコク)
NashvilleのBitcoin Parkに近いコンセプトだと思いますが、先日自分たちでも行ってきたバンコクのビットコイナー向けのスペース。技術ワークショップの開催や、現地コミュニティと外国人コミュニティの交流などにも使われているよう。
他にもフィリピンではBoracay島でライトニング決済に対応した店舗が密集しており、すでに数百店舗が決済対応しています。グアテマラではBitcoin LakeのコンセプトでBitcoin Beach的な動きが起きていたり(これもフルグル練木さんが訪問記を書いています)、自分が直接知らないものも含めて世界的に各地でビットコインの「聖地」や物理スペースを設ける動きはこの数年で静かに進んでいる印象を受けます。
ちなみにもっと以前からこのような動きが全くなかったわけではないですが、いわゆるブロックサイズ戦争やその後のコロナによるロックダウンなども経て一旦諸々リセットされ、過去の経験も活かしながらより持続的に、より現地コミュニティやユーザーを巻き込んだ動きを作っていこう、という世界同時多発的に起きている現象は多分今までなかったトレンドだと思います。
ビットコイナーは無理してでももっとソーシャルな活動を頑張るべきか?
とはいえ自分が少なくとも最近まで日本でそういう活動にあまり積極的ではなかったのにも一応理由はあります。
まずそもそも個人差はありますが、ビットコイン好きな人たちは元々そこまで「みんなで仲良くワイワイしましょう」というのを好まない個人主義者であったり、一匹狼的なタイプの人達が多く、良い意味でも悪い意味でも多くの人が集まるコミュニティへの参加に消極的だったりします。ビットコイナー同士だからみんな仲良しで常に同意というわけではなく、その中でも意見をぶつけたり、批判したりみたいなのも日常茶飯事です。
もっとビットコインに興味を持ってくれる人や企業を増やそうという大義名分があったとしても、各自が自由にやればいいし、無理することはないでしょ、という感覚は自分個人もよくわかります。要は協調性が低めと言うか、本来まさに自分自身がこんな感じです笑
また、「コミュニティが大事」などとよく言いますが、悪い意味でクローズな人間関係ベースの仲良しグループ中心の村社会みたいなのを作りたくない/参加したくない、という気持ちも個人的にずっとあり、意識的に世界中どこにいても参加しやく、自分自身で介入度合いを調整しやすいオンラインでの活動やコミュニケーションを意識的にしばらく優先していた部分もあります。
外部から見ていると国内のクリプトとかWeb3の業界や「コミュニティ」というのはまさにこんな感じの村社会がもう形成されてしまっているように自分には見えており、部外者ながら「本末転倒だな〜」と思ったりしているわけです。(あまり内情は知らないので勘違いしているだけかもしれないですが)
とはいえなんだかんだ人間ですから直接会わないと得られない情報も多いですし、特に事業者同士の場合、オンラインでのコミュニケーションでは限界があり直接会わないと教えてくれないことや、得られないインサイトも多いです。
フィジカルな活動をバンバンやりすぎると、逆にドロドロした風通しの悪い人間関係ベースの文化ができやすいという弊害もある一方、現状の国内のビットコインコミュニティに関してもう勢いを加速させて行くには、もう少し物理的な空間で色んな人と意見を交換したりする機会を増やした方がいい、というのは多分他の関係者も同意するとは思います。
日本ではどのような戦略が有効か?
さてここから先は個人的な意見というか、日本ではどのようなコンセプトのものが合いそうかについて公開ブレインストーム、作戦会議をしていきます。
色んな人や意見が集まるみんなの溜まり場を作ろう!となると従来だとカフェ/バー、コワーキングスペースを作る、というのがよくあるパターンですが、これはどうでしょうか?
どちらかといえばビットコインというよりはCrypto関連ですが、国内でも銀座のP2P Crypto Barなど(自分が理解している限りでは)一定の成功や持続性を収めているケースも出てきています。
ただ個人的にはカフェやバーを単体で経営するのは中々難しいかなーと考えています。
バーなどとなると最終的には店主の経済状況や努力にかなり依存するパターンが多いだけでなく、クリプトをテーマにしたバーだと特に、客足も相場の上下に強く依存する傾向もあります。実際過去にも似たようなお店は多数出てきましたが、ほぼ全てBear相場中に閉店に追い込まれてきたという先例や歴史もあります。
いずれせよ成功するチャンスが少しでもあるとしたら、現場で「誰か」がものすごい犠牲を出しながら毎日顔を出すくらい覚悟を決めてやらないとこういうのは上手くいかないですが、少なくとも今の自分にそれは出来ないです。
一方、コワーキングスペースはミートアップや勉強会を開催するための場所としても便利だしいいと思うんですが、特にある程度以上広いところを借りようとすればするほど運営コストが大きくなり黒字化して運営、維持し続けるのが難しくなりますし、最終的には界隈の同様のスペースも運営資金に余裕がある大手企業だけが生き残るんじゃないかと思います。
というわけでこれも自分たちにとってはあまりいい戦略とは思えません。まあ似たようなことを一部やろうとしたこともありますが、実際かなり大変で個人的にやりたくはないですね…。
現状自分が考えているのは、維持費や運営コストが極限まで低い、もしくは直接的に利益が得やすい事業と絡める、この2つのどちらかのパターンではないと上手く行かないと思います。
具体的には例えば以下の3つのアイディアなどを自分は検討しています。
場所だけ決めてみんなで住むが、特に目標は決めない
ビットコインの文化などと親和性の高いエリアに絞ってその周辺に実際に居住する人の数を少しづつ増やしていくことで、特に何もアジェンダを決めなくてもそこに住んでいる人同士が近所で交流する機会が増えて、その過程で近所の店舗などを巻き込みながら少しづつ何かが起きていくのでは?というパターン。
エリアとしては例えば高円寺、下北沢、大岡山などを想定しています。
自主的に賛同した人たちが近くに住んだり、エリアを訪れたりしているだけなので特に維持や運用費がかからなくて緩いのはいいですが、本当にこんな緩さで人が集まるのか、本当に何か起きるのか?がちょっと怪しいかもしれません。国内外のビットコイナー向けの宿泊施設を作る
最近緩くブレインストームをしているくらいのレベルですが、Airbnbみたいな形で国内外のビットコイナー、観光客向けにビットコイン払いで決済が出来る簡易宿泊施設みたいなものを作るというアイディアもあります。
ライトニング決済×インバウンド需要みたいなコンセプトの実験も民泊所みたいな施設を通して進められそうですし、個人的には需要も結構あるんじゃないかと思っています。
課題としてはライセンスの取得や宿泊スペースの確保など、初期費用がある程度以上かかるのと、現地マネージャーの採用など現地での運営費用も少なからずかかることでしょうか。Web3/Cryptoスペースに相乗りさせてもらう
3つ目はとりあえず短期での戦略かもしれないですが、当面はわざわざ自分たちで物理的なスペースの開拓はせず、東京にすでに存在するCrypto関連のお店やコワーキングなどと協力関係を作りつつ、ビットコイン関連のイベントなどをより頻繁に開催し、Crypto界隈でも少しづつビットコインの存在感を増していくことですかね。
メリットとしては最も着手しやすくすぐにある程度の効果が見込めること。デメリットとしてはCrypto/Web3の文化とビットコインは思っているより似て非なるものなので、上手く文化も作れないですし、お互い微妙な空気になってしまう、とかですかね笑要は押し込まれそうです。
読者の方々はどう思いますか?
他にもこういうことをしたほうがいいのではないか?こういう内容なら協力できる。などがあれば是非Substack上、もしくはDiamond Handsのテレグラムグループなどで気軽に教えてください。
自分はとりあえず上記3つのアイディアを中心に、出来そうなところから少しづつ実験したり、より詳細な戦略を考えながら、少しづつ「ビットコインの聖地を日本でも作る」という目標を実現させるために動き始めようかなーと思っています。他にもやらなくちゃいけないことはたくさんあるのですが、オフラインでのイベントやコミュニケーション、物理スペースの確保は来年の大きなテーマの一つになりそうです。
P.S. 9月末に自分が日本にいる間に高円寺エリアで緩い街ブライベントオフ会、ビットコイナー聖地検討会を開催予定です。日時などは後で再告知するので、興味のある人は気軽に参加してください。