ビットコインは単なる資産ではなく、未来の経済基盤そのものです。
一方、2月末に起きたEthereumのハッキング事件では、チューリング完全なスマートコントラクトの危うさを改めて浮き彫りにしました。
こんにちは!yutaro です。
さっそくですが「BTCインサイト」本日のトピックスはこちら:
ビットコイン 21の真実——マイケルセーラー氏(@Digital Asset Summit 2025)
Ethereumのスマートコントラクトはなぜ危険なのか?——最新ハッキング事件が示す、設計上の根本的課題
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ビットコイン 21の真実——マイケルセーラー氏(@Digital Asset Summit 2025)
(※本記事は、3月18~20日にニューヨークで開催されたDigital Asset Summit 2025に、マイケルセーラー氏が登壇したYouTube動画@WalkerAmericaをもとに要約・編集したものです)
ビットコイン 21の真実
1. ビットコインは思想である
– 自由、個人の力、そして建国の父たちの価値観を体現する。
2. ビットコインはプロトコルである
– 繁栄、経済的成功、そして金融の自立をもたらすプロトコルである。
3. ビットコインは資産である
– 金、不動産、法定通貨を超越する究極の資産であり、中立で政治的にも非党派的である。
4. ビットコインはネットワークである
– 世界最強のコンピュータネットワークであり、「究極の資産」を保管する真実のネットワークである。
5. ビットコインは無垢である
– 匿名の開発者によって生み出され、世界に贈られた。誰にも支配されない存在である。
6. ビットコインは倫理的である
– 所有権は個人にあり、価値は希釈されず、汚職にも無縁の存在である。
7. ビットコインはコモディティ(商品)である
– 金や木材のように、発行者を持たない資産である。ただし、供給が需要に応じて増加しない究極のコモディティである。
8. ビットコインはデジタルコモディティである
– 人類が初めて生み出したデジタルコモディティであり、光の速度で世界中を移動できる。AIでさえも使用可能である。
9. ビットコインはデジタル希少性である
– 供給量が2100万枚に固定されており、永遠に希少性を維持する。
10. ビットコインはデジタルゴールドである
– 1万年間、価値の保存手段だった金に代わり、より倫理的で健全な未来のマネーである。我々はビットコイン時代に突入した。
11. ビットコインはデジタルマネーである
– クレジットではなく、本物のマネーであり、送信すれば実際に移動する「所有者の証明」である。
12. ビットコインは完璧なマネーである
– 現代のインターネットと暗号技術によって初めて可能になった「完璧なマネー」の最初の事例である。
13. ビットコインは正当な存在である
– 世界で最も強力な政府や機関に認められ、正当性を得た。
14. ビットコインは企業資産である
– MicroStrategyのように、企業が財務資産として採用しており、他の企業も続いている。ビットコインは企業のバランスシートに100%組み込める唯一の資産である。
15. ビットコインはグローバルである
– インターネット接続さえあれば誰でもアクセスできる国境のないシステムであり、株式、美術品、土地とは異なる。
16. ビットコインは不滅である
– 分散型の特性により無期限に存在するよう設計されている。企業よりもインターネットに近い生命体であり、数世紀、あるいは千年単位で存続する。
17. ビットコインはデジタルエネルギーである
– サイバースペースやAIに生命を与えるにはリアルなエネルギーが必要であり、ビットコインはその唯一の方法である。
18. ビットコインはデジタルエネルギーネットワークである
– デジタルエネルギーを世界中で転送する手段である。
19. ビットコインはデジタル経済システムである
– 人間、ロボット、AIが利用可能な自立型経済システムである。
20. ビットコインはデジタル防衛システムである
– 攻撃や検閲に耐性があり、サイバー空間の防衛を維持する。超大国が空と海の制空権を失えば覇権を維持できないのと同様に、サイバー空間の支配も不可欠である。
21. ビットコインは新しい太陽系である
– これらすべての要素を統合し、成長するにつれてより強力かつ明るくなり、資本とエネルギーをその軌道に引き寄せている。
(※原文はコチラ)
「新しい経済秩序」はジェネシスブロックからすでに始まっていた
マイケル・セイラー氏が提示した 「21の真実」 は、単なるビットコイン賛美のリストではなく、Satoshi Nakamoto氏が作り上げたビットコインの役割について、改めて経済・倫理・技術・歴史・哲学から分かりやすく一言で表した「新しい経済秩序」に対する宣言文だと感じました。
このニュースレターを読んで下さっている多くのビットコイナーの皆さんが過去からすでにお気づきのように、ビットコインを単なる「資産クラス」として捉えるのは、もはやあまりにも視野が狭い考え方なのかもしれませんね。
(僕はまだまだ修行が足りていませんでした。今後も読者の皆さんからのご指導、ご鞭撻のほど、ぜひよろしくお願いいたします)
Ethereumのスマートコントラクトはなぜ危険なのか?——最新ハッキング事件が示す、設計上の根本的課題
(※本記事は、Blockstreamのブログ記事をもとに要約・編集したものです)
Bybitコールドウォレットがハッキング
<再燃する「設計ミス」論争>
先月、Ethereumのスマートコントラクトを悪用した新たなハッキングが発生しました。
被害に遭ったのは大手取引所Bybitのコールドウォレットで、攻撃者(北朝鮮のハッキング集団ラザルスと言われています)は契約コードの脆弱性を突いて約15億ドル相当の資産を奪取。
今回の事件をきっかけに、「Ethereumの設計はそもそも安全なのか?」という根本的な疑問が再燃しています。
とくに焦点となっているのが、Ethereumがマルチシグ(複数署名)をネイティブでサポートしていない点。
これにより、開発者が独自に複雑なコントラクトコードを構築する必要があり、セキュリティ上のミスが生じやすくなっています。
ビットコインと何が違うのか?
<シンプルなマルチシグ vs. カスタムコントラクト>
BitcoinやLiquidでは、マルチシグの実装が非常にシンプルです。
OP_CHECKMULTISIG
や MuSig(署名の集約)など、プロトコルレベルでのサポートがあり、コードの表面積が小さく、バグの入り込む余地が少ない構造となっています。
一方、Ethereumではマルチシグを実現するために独自のスマートコントラクトをゼロから構築する必要があり、以下のような複雑なロジックをすべて開発者が担わなければなりません。
オンチェーンの状態管理(状態が変化するごとに保存)
再入可能性(reentrancy)への対策
トランザクションの署名者管理と承認処理
ガス制限によるトランザクションの失敗リスク
これらはどれもセキュリティ監査を困難にし、バグの温床となります。
システム的に抱えるリスク構造
Ethereumの脆弱性は、設計思想そのものに起因します。
EVM(Ethereum Virtual Machine)の表現力が高すぎる
チューリング完全性スマートコントラクトにより、dAppsなど何でも実装できる反面、攻撃の糸口も無限に存在します。
グローバルステート管理
全コントラクトが1つの状態ツリーを共有するため、1つのコントラクトのバグが他の資産にも影響を与える可能性があります。
開発者任せのセキュリティ
Ethereumはセキュリティを「開発者の責任」にしており、毎回ゼロから車輪を再発明させているようなものです。
Bitcoinの進化:セキュリティとシンプルさを両立する未来
BitcoinとLiquidでは、より洗練されたセキュリティモデルへの進化が進んでいます。
MuSigによる署名の集約
複数の署名を1つにまとめることで、プライバシーと効率性が向上。
Simplicity言語の導入
Liquid上で開発中の「Simplicity」は、チューリング完全ではない代わりに、形式的検証が可能なスクリプト言語です。これにより、コードの安全性を数学的に証明できるようになります。
このように、Bitcoin系の設計は「表現力よりもセキュリティ」を重視し、攻撃されにくく・監査しやすい設計を一貫して追求しているのです。
開発者の自由と引き換えに、ユーザーが被害を受ける世界
Ethereumのように高い自由度を持つスマートコントラクトは、確かに革新的なアプリケーションを生み出す土壌ではあります。
しかし、今回のBybit事件が示したように、開発者の小さなミスが、億単位の規模の損失を招くリスクを常に抱えています。
そのため、スマートコントラクトの自由度の高さは、時にユーザーへの不利益につながってるのかもしれません。
今後、ブロックチェーン技術が本当に社会インフラとなっていくためには、「安全性が標準装備されているプロトコル設計」こそが求められるでしょう。
(※原文はコチラ)
コントラクトの複雑さが生む「無自覚な中央集権」
スマートコントラクトの脆弱性は、単なる技術的問題にとどまりません。
複雑なコードとそれを動かすフロントエンドの関係性により、「ユーザーが何を承認しているか理解しないまま、資金を奪われる」という構造的な問題も起きているのです。
今回のBybit事件では、ユーザーが署名した取引内容が実際にはまったく異なる内容だったという報告もあり、これはつまり「Ethereum上でのトランザクションの真正性が、ユーザー自身には保証できない」ことを意味します。
皮肉にも、スマートコントラクトの自由度の高さが、ユーザーの自己決定権を逆に奪っているとも言えるかもしれませんね。
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