米税務当局がブローカーによるデジタル資産の販売と交換に関する規制案を公表/エンタープライズむけLightningソリューションにおける課題
Diamond Hands Magazine Vol.102
th_satです。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
米財務省と国税庁、ブローカーによるデジタル資産の販売と交換に関する規制案を公表(出典)
税格差を是正し、デジタル資産がもたらす脱税リスクに対処し、すべての人が同じルールに従ってプレーすることを保証するための財務省の広範な取り組みの一環として示されたものです。
この規制案の中では、デジタル資産のブローカーに対して、特定の販売と交換を報告することを義務付けています。また、この規制案は、ブローカーによる情報の税務報告に関する規則を明確化・調整し、デジタル資産のブローカーが証券やその他の金融商品のブローカーと同じ情報報告規則の対象となるようにするとしています。
発表された内容によると、現行法では、納税者は売却益に対して税金を支払い、デジタル資産の売却損を控除することができるものの、多くの納税者にとって売却益を計算することは困難であり、コストもかかるといった課題が指摘されています。
そこで、今回提案された規則は、納税者が税金を支払う必要があるかどうかを判断するのに役立つ新しいフォーム1099-DAを提供することをブローカーに義務付けるもので、納税者が確定申告をするために複雑な計算をしたり、デジタル資産税申告書作成サービスを利用したりする手間を省くのに役立つと見られています。
規制案によると、ブローカーがデジタル資産の売買・交換に関する情報を報告することが義務付けられる最初の年は2026年であるとされています。
この内容に対して、Blockchain Associationは、「デジタル資産で取引する参加者が確実に税金を納めることは非常に重要であり、この規則が正しく運用されれば、日常的に暗号を使用しているユーザーに、税法を正確に遵守するために必要な情報を提供することができる」とするコメントを発表しています。
Coin Center、米上院財務委員長に税制の明確化を求めるレターを送付(出典)
キャピタルゲイン課税の最小限の免除がなければ、暗号通貨利用者は代金を支払うたびに課税対象となる可能性があり、日常的な決済やマイクロペイメントの用途とする上で複雑にすぎる旨、指摘しています。
また、「新しい価値が創造された瞬間に納税義務を適用することは、極めて困難な会計処理を生み、国民に過大な税金を課すことになる」として、マイニングやステーキングから得られる報酬は、それが作成された時点で所得として課税されるべきではない、と主張しています。
トピックリスト
日米韓首脳会談、北朝鮮による暗号通貨の使用・窃盗・マネロンへの対応の調整などにに焦点を当てる「三国間ワーキンググループ」にむけて協力へ(出典)
Coinbase、”オンチェーンで組織される草の根運動”として「Stand with Crypto Alliance 」の立ち上げを発表(出典)
米FDIC(連邦預金保険公社)、リスクレビューレポートにおいて暗号資産のセクションを設ける(出典)
米司法省、Tornado Cash創設者らをマネロンと制裁違反で起訴(出典)
2.ビジネス関連の動向
Lightningプロトコルを使用したインターネット決済向けエンタープライズ対応ソリューションにおける課題(出典)
Lightning Networkには、Bitcoinを日常利用する上での利点が多くあるにもかかわらず、アドプションを達成できていない背景として、その「複雑さ」がある旨、Lightsparkがブログ記事を発表しています。
複雑さの課題として、具体的には以下を挙げています。
Lightningノードが効率的に動作するには、他ノードと適切に接続された状態を維持する必要がある一方、「どのピアとチャネルを確立するか」「各チャネルでどの程度のバランスを維持するか」「新しいチャネルをいつどのように開くか」といった難しい意思決定を行う必要があるため、ノード維持にフルタイムの体制が求められる。
必要に応じて資金を送受信できるように、チャネルのバランスが適切に保たれている必要がある一方、トランザクション量が多いチャネルではバランスが崩れやすいため、継続的なモニタリングと判断が求められる。
Lightning Networkの参加者の側にも、ノードに正しいチャネルでビットコインの十分な流動性があることを確認する必要がある。
L1に保持されているBitcoinをL2で使用えるように移動したり、L2にあるビットコインBitcoinをチャネルを閉じてL1に転送するといったレイヤー感の移動に時間がかかる。
ノードは決済を送信したり、問題がある送信を受け取るためにオンラインでなければならず、ノードがスリープ状態になっていたり再起動していると決済を受け取ることができなかったりする。
決済チャネルのグラフ構造であるLightning Network全体を横断したチャネル残高をトラッキングするのは難しい。
Lightsparkでは、こうしたの課題を踏まえ、プロトコルの複雑さを管理することなくエンタープライズグレードの決済体験ができるよう、Lightning NetworkのUXの簡素化に取り組んでいるとしています。
その例として、企業が決済の送受信に手中できるよう、ノード管理・チャネル管理の課題に対処する他、Lightning Networkのグラフの包括的な画像を作成することでスマートなルーティングとチャネルの確立ができるようにするなどをあげています。
世界各国の家庭で1BTCをマイニングするための電気代比較(出典)
CoinGeckoが、世界中の家庭用電気料金の広範な分析に焦点を当て、さまざまな地域にわたるマイニングコストの分布に関するレポートを発表しています。
平均的な家庭の電気代がマイナーの採掘に利益をもたらす唯一の地域がアジアであるとしています。
1BTCのマイニングに要する家庭用電気料金の平均コストが最も高い欧州($85,767.84)に対して、 アジア地域は個人マイナーの平均コストが最も低く、$20,635.62とのことです。
アジア域内でも、レバノン($266.20)と日本($64,111.02)のように地域内の電気代の格差が際立っています。
Ai4ALLハッカソンの受賞結果が発表(出典)
AIとBitcoinの企業が手を組み、Bitcoin・Lightning、Fedimintの力を借りて人工知能の民主化を目指す1カ月間のイベント「Ai4ALLハッカソン」が、FediとStakの主催のもと、7月に開催されました。ハッカソンの焦点は、分散型テクノロジーと生成AIの統合を探求し、世界規模でのアクセスと採用を促進することである、とされています(出典)。
ハッカソン開催にあたり、「アプリのユーザーからビットコインで支払いを受ける方法」「npmパッケージの収益化方法」および「プロンプト・エンジニアリング」に関するインタラクティブなチュートリアルなどが行われました。
ハッカソンには、173のメーカーが参加し、44のプロジェクトが提出されました。AIアプリケーションを動かすためにBitcoinをどのように使っているのかについて、以下のハッカソンwinnerプロジェクトで紹介されています。
仕事を小さな仕事の連鎖に分解してNostrネットワークに公開し、生成AIサービスが仕事を完成させるために互いに競争する「PhotoBolt」。
AIベースのオートメーションにBitcoinを採用することで、ノーコードのワークフローをスケールさせる「Flow」。
Lightningの知識無しに、Lightningの決済レイヤーを利用してAIワークフローオートメーションへの支払いを可能に
LLMとユーザーをBitcoinで訓練・教育するために、インセンティブ付きクラウドソーシング・プラットフォームと組み合わせたAIチャットボットを作った「Bitcoin-PAL」。
BitDevs参加者の経験を改善すべく、 AI LLMが生成したミートアップコンテンツの要約を備えるウェブサイトテンプレートを作った「BitDevs Upgraded」。
トピックリスト
Tether、2014年に使用した最初のトランスポート層であるOmni Layerの実装サポート中止を発表(出典)
Ledger、米国の顧客がPayPalアカウントを使って暗号通貨を購入可能に(出典)
PayPal、英国顧客の暗号通貨購入を「一時停止」(出典)
マイナーの「Genesis Digital Assets (GDA)」、スウェーデン北部での新たなマイニング施設落成を発表(出典)
AML/KYCから解放されたBTCを取得するためのプライバシーを保護するオプションでもあるマイニングに関するリソースリスト(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!