Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめ担当の練木です。
先週に続き、今週もUK。ロードトリップを終えて、郊外の友人宅に滞在しています。ピーターラビットが出てきそうな美しい田園風景にtownやvillageが点在する地域で、歩いていると二度見されるくらい有色人種が少ない(蔑視というより、単に珍しくてビックリという感じ)。
外食を控えて自炊しているのですが、スーパーの食材も高い。一番驚いたのが卵。6個2ポンドなので1個55円。日本は10個198円くらいだった気がするので、実に2.8倍。
日本でも光熱費が上がっていると思いますが、UKは桁違い。ガス会社から「月々の支払い額が52.35ポンド(8,600円)から1,248.90ポンド(204,500円)に変更されます」との通知を受け取った人も。暖炉がある家も多いですが、ガス代高騰のあおりで薪も値上がり。「暴動」という言葉が頭をよぎります。暖冬となることを祈るばかり。
Diamond Handsコミュニティは国内外の関連企業から支援してもらっています。ありがとうございます!
スポンサーには個別に情報共有やインプットをしたり、ニュースレターやレポート上などで企業ロゴを掲載させてもらっています。
フィリピンにビットコイン・アイランド誕生
エルサルバドルのビットコイン・ビーチに触発され、昨年から中南米やアフリカでビットコイン循環経済圏が続々立ち上がっています。私が知っているだけでも、グアテマラのビットコイン・レイク、コスタリカのビットコイン・ジャングル、ブラジルのプライア・ビットコイン、南アフリカのビットコイン・エカシがあります。
先週ついに同様の試みがアジアで始まりました。ビットコイン・アイランドの名の下、フィリピンのボラカイ島で100以上の商業施設がライトニング決済を受け付けているそう。PJのキックオフ告知tweetには世界中のビットコイナーから祝福と激励のリプライが寄せられ、フォロワー数もたった5日で40から3,400超に急増。
ボラカイ島は行ったことないですが、2020年1月にのシャルガオ島に行った時、クレジットカードがほとんど使えず、街に1つしかない両替商の長蛇の列に何度も並んだ思い出があります。現金決済が主流の地域では、外国人旅行者にとってライトニング決済は魅力的なオプションになり得ます。クレカが普及している地域でも、海外利用に課される2~3%の手数料の回避策、またはカード発行会社による決済ブロック(特に先進国以外での決済は詐欺とみなされて承認されないケースが頻発)のバックアップ策としても、ライトニング決済は有用。現地目線でも、今ならライトニングの新規性に乗じて、ビットコイナーをターゲットに観光業をブーストするチャンスです(観光業振興策としてのビットコイン効果はエルサルバドルで実証済み)。
日本も近いうちに開国せざるを得ないわけですし、円安を逆手に、政府がVisit Japanキャンペーンを復活させる可能性は大。ビットコイン温泉(ビットコイン・ラーメン、ビットコイン和牛、何でも良いですが)を立ち上げて、国内外に日本のビットコインシーンの存在感を示したいです。観光協会や業界団体にツテのある方、ぜひご連絡ください。
The Merge完了でPoW攻撃が本格化
EthereumのThe Mergeは無事完了した模様。PoS移行後、PoWに対する攻撃が激化することは予想していましたが、早速始まりました。New York Timesはビジネス欄のトップ記事で、EthereumのPoS移行がクリプトのエネルギー問題を解決する可能性に言及しています。
国際環境NGOグリーンピースも「待望のThe Merge完了!時価総額2位の暗号通貨のエネルギー消費量は99.95%減、環境負荷も大幅減。次はビットコインの番。」とtweet。「Change the Code, Not the Climate(気候変動ではなく、コード変更)」キャンペーンと題して、予算100万ドルを投じて反PoWのPR活動を開始することと、ビットコイン支持派のFidelityに対してビットコインのPoS移行を促すよう圧力をかけることを表明。
困った人たちですね。
Arcane Researchのレポートや、アメリカ科学技術政策局が今月公開したレポートの事実誤認箇所を訂正したNic Carterの添削バージョンは、マイニングが再エネ事業のROIを改善し、社会全体としてクリーン電力の普及を促進という実績と仮説をデータで示しています。
テキサス州では昨年、太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電力のうち、7.4TWhが使われずに無駄になりました。これはビットコインマイニングで消費された7TWhを上回ります。このチャートからだけでも、マイニングのエネルギー資源へのインパクトの小ささがわかるはずです。
ただ、こうのような正論は、ESGに関するvirtue signaling(政治的に正しいとされる観念を支持することを明示すること)が企業や著名人の死活問題となったり、ESGが利権化した今となっては何の意味もないのかもしれません。巨額のPR予算を投じて、ビットコインが地球上のエネルギーを使い果たすと訴えるESGマキシに、どう対抗すればいいのか正直分かりません。
レバノンに学ぶ通貨崩壊とは
CNBCによると、レバノンでは今週月曜から、銀行が3日間、臨時休業しています。なぜでしょう?
顧客が武装して銀行を襲い、自らの預金の引き出しを求めて立てこもる事件が頻発しているからです。レバノンでは2019年に経済危機に陥って以降、預金の引き出しが凍結されたまま。その間、レバノン・リラは米ドルに対して9割以上も減価し、国民の7割近くが貧困層に転落しました。
動画の彼女は、がん治療で入院している姉の医療費を支払うために、おもちゃの銃を手に銀行を襲いました。「自分の臓器を売ろうとした、もう失うものはない。」と。
通貨崩壊、自分には関係のない遠い国の不幸ですか?
無から簡単に無限に刷れるお金と、大きな初期投資と高いランニングコストを要する発行上限があるお金。希少な時間を費やして労働する対価として受け取る報酬、その報酬を将来に備えて貯める媒体として、どちらを選ぶかは自由。ただ、その選択は重大な結果を伴います。
ビットコインコア、関連PJの最新情報
Bitcoin Optech Newsletter(日本語版)最新号でチェック。
データ・チャート
ビットコインに関する数値はダッシュボードでチェック。