Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめ担当の練木です。
世界各地のビットコイン事情を見て歩くのが趣味と化していますが、現地情報の収集で頼りになるのがビットコイナーが運営するバーやコワーキングスペース。
UKにもありました。マンチェスター郊外のSatoshi’s Placeというバー兼コワーキングスペース。バーはもちろんライトニング決済可能。ワークショップを定期開催したり、FastBitcoinsのビットコインバウチャーを販売するほか、まもなくLNBitsを使ったライトニングATMも利用可能に。ノーコイナーのオンボードに力を入れていて、スキャンすると100 satsもらえるQRコードが店内に数枚貼られています。私もスキャンしました。すみません。
Satoshi’s Placeで良いなと思ったのは、BTCバウチャーをKYC一切なしで購入できるところ。ビットコインATMを設置してるバーは多いですが、電話番号の入力を求められるケースがほとんど。Satoshi’s Placeは5ポンド(800円)までの制限がありですが、電話番号すら不要。しかもライトニングなので、オンチェーンのATMのように承認を待つ必要もない。5ポンド制限も「1トランザクションの上限だから」とオーナーは意味深な笑みを浮かべていました。
ライトニング決済は何度やっても感動するし、循環経済コンセプトも大事にしたいので、BTC払いは積極的に実践したいのですが、問題は手持ちのBTCが減ること。決済後、バウチャー購入して即BTC補充できるのは非常にありがたい。
メキシコにもBitcoin Embassyというバーがありますし、ポルトガル、ハンガリー、トルコにもあるようです。日本はBTC決済できる店舗は数件ありますが、ライトニング未対応ですし、決してビットコインをテーマとはしていない。ビットコイナーが経営するビットコイナーの憩いの場がほしい。
Diamond Handsコミュニティは国内外の関連企業から支援してもらっています。ありがとうございます!
スポンサーには個別に情報共有やインプットをしたり、ニュースレターやレポート上などで企業ロゴを掲載させてもらっています。
ビットコイン初のデザインハッカソン
Bitcoin Design Communityが10月12〜23日にオンラインハッカソンを開催。デザイナーだけでなく、開発者、PJマネージャー、コンサルなど幅広い職種の参加者を募集中。
ビットコインは新しく、概念、機能、利用法が法定通貨と異なるため、複雑で使い勝手が悪いと思われています。アプリやサービス設計時は法定通貨や既存プロダクトのUXに近づけたり、ユーザーに余計な情報やプロセスを見せないなど工夫が必要です。こうした努力の甲斐もあり、ここ数年でビットコインのUXは飛躍的に改善しました。ただ、界隈は慢性的なデザイナー不足。デザイナーをオレンジピルして界隈に引き込む努力は継続するとして、ビットコイナーのデザイナーへのキャリアチェンジもありでは。ビットコイン関連の仕事をしたいけど、はまるスキルがない人はデザイナー修行いかがでしょうか。今回のハッカソンは、初心者向けのワークショップやチュートリアルも用意しているそうなので、興味のある人はオンラインですし、気軽に参加してみてください。
マイニング、冬の時代が継続中
9月7日のニュースレターで、マイニングプール第4位のPoolinが出金停止したことをお伝えしましたが、今度は出金凍結している顧客のBTCをIOU(借用証書)トークンに転換すると発表。トークンはマイニング機材やPoolin株の購入にも使えるそう。債務超過の可能性のある会社の株に交換する人はいないと思いますがね。
また22日には、マイニングのホスティングサービスを提供するCompute Northが破産申請。今年中に1.2GW相当の施設を増設するとして、数ヶ月前に410Mドルを調達したばかりですが、BTC価格の暴落と電気代の高騰で行き詰まったよう。顧客には大手マイナーのMaraや個人マイナー向けサービスを提供するCompass Miningも含まれますが、両社とも今回の破産が自社事業に影響を与えることはないとコメント。
このように、マイニングは突然死も珍しくない過酷な業界です。薄利な上、半減期を軸とするビットコインのサイクルとエネルギー市場動向という企業努力では回避できない要因に翻弄されます。変動要因が多く、収益性の予測が難しいというペインを緩和すべく、Red Dirt Miningがマイニングの収益性をシミュレーションできるFOSSをローンチ。収益とキャッシュフローのシナリオ分析が簡単に行えるソフトウェアが、マイナーのリスク制御力を向上することを期待。
マイニングつながりでもう1件。Blockware SolutionsとRiotがマイニングに関するレポート”Bitcoin Transaction Fees”を公開。ビットコインFUDの1つ、2,100万BTCの発行後、経済インセンティブ低下でマイナーが激減してネットワークセキュリティが維持できなくなるという仮説を検証するほか、セキュリティとファイナリティ、悪意あるマイナーによる潜在的な攻撃法とその影響などを解説。これらは重要なトピックであるにも関わらず、これまで断片的な議論にとどまっていました。業界きってのマイニング通が包括的に考察、解説するレポートは必読です。
法定通貨制度の崩壊カウントダウン?
通貨崩壊が途上国や自国通貨で国債を発行できない国の問題だったのは過去の話。世界は今、先進国での通貨崩壊の最初のドミノを倒すのは日本だと見ています。対GDP比債務の大きさ、買い手のつかない国債のイールドカーブコントロール、先週は為替介入も実施。どう転んでも勝ち目のない袋小路です。
ユーロも1ドルを割るパリティ割れしていますし、月曜にはポンドが草コイン顔負けの急落でパリティ割れも視野に。
エルサルバドルのBukele大統領は、去年11月にイングランド銀行総裁が「エルサルのビットコイン実験を憂慮している」とコメントしたことを根に持っていたのでしょう。仕返しとばかりに「言わんこっちゃない」とtweet。
今年に入ってからの対ドルのユーロ、円、ポンドの推移。一人勝ちのドルに避難しますか?
そのドルも直近4年でBTCに対しては67%減価していることもお忘れなく。
この状況に、ビットコインに批判的なNew York Timesでさえ「世界中で通貨が下落、ビットコインを除いては」という記事を掲載。ビットコインを通貨認定したということでしょうか?
何はともあれ、皆さま、ご無事で。
StrikeがシリーズBで80Mドル調達
最後は明るい話題で締めましょう。
私が使ってみたいアプリNo.1のStrikeが新たに資金調達。今回のラウンドは、ビットコインマキシとサイファーパンクが運営するTen31がリード。既存投資家に加えて、Washington University St. Louis校とUniversity of Wyomingの2大学が出資しています。
資金の使途は開示されていませんが、各国の規制対応を加速するのでは?ローンチから2年近く経っていますが、今だにアプリが使えるのはアメリカ(NYとハワイを除く)、エルサル、アルゼンチンのみ。ローンチ当初は1年以内に欧州参入と公言したいましたが、各国で異なる複雑怪奇な規制の対応に苦慮しているようで、CEO Jack Mallarsも国際展開については「できることはやっている」と明言を避けています。
早く使ってみたいけど、ビットコイン規制で世界を主導する日本は言語対応だけでなく、何かと特殊な市場なので、コスパが悪く魅力的ではなさそう。ビットコイナーを増やして市場を大きくするとか、規制緩和を働きかけるとか、何か手を打たないと、今後使えないアプリやサービスは増える一方ではと本気で心配しています。
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