トークン化の最前線と「ビットコイン」で始まる資本市場 | Real-World Asset Summit Brooklyn 2025
「Bitcoinが金融市場の“真のインフラ”となる時代へ」
このパネルの核心は明確でした。
ビットコインは、単なる価値の保存手段ではなく、新しい資本市場の決済・清算レイヤーになる。
Liquidのようなレイヤー2が、機関投資家のニーズ──流動性・秘匿性・規制適合性──をすべて満たす。
トークン化証券・ステーブルコイン・実世界資産が、次々にビットコイン圏に吸収されていく。
そしてAdam Back氏の言葉を1つ引用するなら、
「もしビットコインを上回る投資ができないなら、すべてをやめてビットコインを買え」
2025年の今、この言葉はもはやジョークではなく、金融インフラの現実的な選択肢となりつつあるのかもしれません。
(*This is Not financial advice)
こんにちは!yutaro です。本日のPro向け「BTCインサイト」では、
Blockstream CEO Adam Back氏も登壇した「Real-World Asset Summit Brooklyn 2025」でのパネルディスカッションを完全日本語訳してお届けいたします。
Johnny Reinsch:
ここにいられることをとても嬉しく思います。
私はJohnny Reinsch、Tokenized Asset Coalitionのエグゼクティブ・ディレクターです。
私たちはみんな、ビットコインのおかげでここにいるんです。間違いありません。
私の役割は、毎週「トークン化」に関する無数のニュースを──ざっと100万語分くらいある情報を──たった200語に要約するという、なかなか骨の折れる仕事です。
興味があれば、tokenizedassetcoalition.com でフォローしてください。
さて今日は、「オンチェーン上での資本市場形成」における最大の潜在流動性──つまり、ビットコイン上に存在する流動性について話します。
現在、ビットコインの時価総額はおよそ1兆ドル規模に達しており、多くのビットコイン保有者は一切売らない。
先ほど控室で話していたんですが、「カサシウスコイン(Casascius Coin)」の話題が出ました。つまり、ビットコイン初期からの保有者がいまだに存在しているということです。
このパネルでは、ビットコインの実用的なユースケースを掘り下げ、いくつかの誤解を解いていきたいと思います。
まず最初に取り上げたいのは、「パフォーマンスの問題」と「プログラマビリティ(柔軟な機能性)の欠如」という誤解です。
今日はそのテーマを深く掘り下げるのにぴったりなゲストが来ています。
それでは、まずは簡単に自己紹介から始めましょう。
順番に、自分のプロジェクトについて話してもらい、その後「パフォーマンスとプログラマビリティをどう克服するか」という質問に進みたいと思います。
Arnab、最初にお願いします。
Arnab Naskar:
私はSTOKRの共同創業者兼共同CEOのArnab Naskarです。
STOKRはヨーロッパを拠点とする「アセット・トークナイゼーション(資産のトークン化)」プラットフォームで、ルクセンブルクの規制を受けています。
2017〜2018年頃から始めたので、RWA(Real World Assets=現実資産トークン化)領域では“先史時代”から活動していたと言えるでしょう。
長年、ビットコインのデリバティブ(派生商品)やストラクチャード・プロダクト(仕組債)に注目してきました。
私たちの仮説はこうです:
もし「2兆ドル以上の資産クラス」が存在するなら、その数十%にあたる数千億ドル規模のデリバティブ市場が必ず存在する。
ならば、それをトークン化してはどうか?
なぜなら、ビットコインという資産自体がオンチェーン上で完結するものだからです。
つまり、レゴブロックのようにその上にさまざまな金融商品を組み立てることができる。
実際、私たちはその方向で事業を始めました。
現在、私たちのインフラ上で10億ドル以上の資産がトークン化されています。
さらに最近では、ビットコインのレイヤー2であるLiquid Network──Blockstreamが開発したサイドチェーン──上でもトークン化を進めています。
このLiquidを支えている中心人物の一人が、今日ここにいるAdam Backです。
これが私たちSTOKRの概要です。
Elan Nahari:
私はBitcoinOSの共同創業者の一人、Elan Nahariです。
私たちの目的は、ビットコインにプログラマビリティをもたらすことです。
今の暗号資産の世界では、ブロックチェーンは単なる「デジタル資産を記録する台帳」として使われています。
しかし、その中で最も安全な台帳こそがビットコインです。
ビットコインはこれまでに作られた中で最も安全なデジタルネットワークでありながら、現状は「送金と保有の管理」だけに使われていて、圧倒的に過小利用されているのです。
私たちは、このネットワークが本来持つポテンシャルは遥かに大きいと考えています。
つまり、ビットコインに“目と脳”を与える──外の世界を認識し、適応し、反応できるようにすることが目標です。
これにより、ビットコインをより広い暗号経済圏や金融システムと結びつけ、真の相互運用性を実現するのです。
Adam Back:
私はBlockstreamの共同創業者です。
Blockstreamはビットコインのレイヤー2技術を中心に活動しています。
まず「Lightning Network」について。
私たちが開発した Core Lightning は、実際に価値を扱い、ウェブストア決済などが行える初の実稼働型Lightning実装でした。
その当時は「無謀だ(reckless)」と批判されました。
なので、誰かが「Reckless Lightning」と書かれた帽子を作ったんです(笑)。
もう一つの主力活動が、先ほどアーナブが話した「Liquid Network」です。
Liquidはビットコインのサイドチェーンで、私たちはこれを「投機ではなく、革新のためのネットワーク」と呼んでいます。
Liquidでは新しいトークンを発行する必要はありません。
Liquid上の基軸資産もビットコイン(L-BTC)であり、メインチェーンとLiquid間で相互に転送できる仕組みです。
Lightningとの関係に似ていますね。
最近では、Liquid BTCを使ってLightningチャネルのリバランス(再調整)を行う専業企業も登場しています。
Liquidはそうした「補助的かつ効率的な」ユースケースでも活躍しています。
Liquidネットワークの仕組みとユースケースの拡張
Liquidの理解を深めるには、「フェデレーテッド・サイドチェーン(federated sidechain)」という仕組みを押さえると良いでしょう。
Liquidでは複数の企業がHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)を運用しており、それぞれがブロック署名を行います。
他のブロックチェーンで言う「バリデーション(検証)」に近いですが、Liquidでは複数の信頼された事業者が署名する連合型構造になっています。
内部構造はビットコインとよく似ており、アドレス形式も同様です。
ただし、Liquid上のスクリプト(Bitcoin Script)は拡張されており、ステーブルコインや現実資産(RWA)、証券トークンなど、さまざまなタイプのアセットを扱えるようになっています。
さらに特徴的なのは、規制資産を安全かつ柔軟に扱う機能が標準で備わっている点です。
STOKRは現在、Liquid上で最も多くのユーザーと資産を扱うシェア登録エージェント(share registration agent)として活動しています。
そして、すでに上場企業の株式──たとえば MicroStrategy や MetaPlanet──がLiquid上でトークン化されており、これらを非中央集権的なウォレット間で取引可能になっています。
その仕組みはシンプルです。
トークンはマルチシグで管理され、登録済みのユーザーはSTOKR(登録エージェント)が共同署名する形で取引できます。
登録されていない場合は、どこに登録すればよいかが自動的に示される仕組みです。
結果として、ビットコインのように扱える「株式トークン」が生まれ、簡易的なコントラクト(契約)やスワップ(交換契約)も組み込めるようになっています。
登録完了後は、ユーザー体験としてほとんどビットコインと同じように感じられるでしょう。
EthereumからBitcoinへ──なぜSTOKRは移行したのか?
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