th_satです。
Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
ビットコインをめぐるビジネス面の動向(ペイメントや社会生活での利用や、金融機関での金融商品としての取り扱いなど)、規制の動向、その他で気になる個別トピックについて、ゆるく紹介しています。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
米ホワイトハウスの経済諮問委員会、マイニングエネルギー(DAME)物品税に言及(出典)
米ホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)が、今年の予算で提案されたデジタルアセットマイニングエネルギー(DAME)物品税について、段階的な導入期間の後、マイニングに使用する電力コストの30%に相当する税金を課す旨に言及しています。
「マイニング企業は、環境汚染、エネルギー価格上昇、CO2排出量増加による気候への影響という形で、他者に課すコストの全額を支払う必要はない」として、「DAME税は、企業が社会に与える害をよりよく考慮するように促すもの」であるとしています。
NYT報道による「暗号採掘事業者34社に関連する電力消費の規模」が周辺300万世帯が使用する電力に匹敵するとする点を引いて、2022年に米国でクリプトマイニングに使用された電力量は、米国の家庭用コンピューターや住宅用照明に使用されている電力量と同程度であるとしています。
これら既知のコストやリスクの一方、マイニングは同量の電力を使用するビジネスに通常関連する経済的利益を生み出さない、と述べています。
これらを踏まえ、DAME税は地域社会や環境に課されるコストの公正な負担をマイニング業者に求め、10年間で35億ドルの税収を見込んでいるとのことです。
米モンタナ州、マイニングを行う権利を保護する法案を可決(出典, 出典2)
米モンタナ州による暗号通貨法の改正法案の冒頭では、「マイニングは、米国内の個人および企業にプラスの経済価値を提供する」とした上で、「モンタナ州は、個人と企業がデジタルアセットをマイニングする権利を保護し、マイニング業界に法的確実性を持たせたいと考えている」旨が述べられています。また、「マイニングは、送電網を安定させ、州全体のインフラ整備のための収入を提供する可能性がある」とも記されています。
今回の法案には、「マイニングについて、不当に差別的な料金を生み出す料金区分を設けてはならない」および「支払い方法として使用されるデジタル資産に、州または地方政府による追加課税や課金を課してはならない」という点が盛り込まれています。
トピックリスト
米テキサス州、デジタルアセットサービスプロバイダーに対して、顧客に対するすべての義務を履行する上で十分な額の準備金を保持することを求める法案を通過(出典)
4/26に米ワシントンで開催された「Bitcoin Policy Summit」の模様(出典)
Coinbase、規制の明確化を求め米SECを提訴。暗号業界にガイダンスを提供するために正式なルールメイキングプロセスを使用するよう求める(出典)
Blockchain Association、連邦政策に集中すべく米NY州からワシントンへシフト(出典)
欧州議会、MiCA規制を517-38の賛成多数で承認。併せて、マネロン防止で事業者に顧客特定を義務付ける資金移動規制も529-29で承認(出典)
香港HKMA、規制対象のVASPが合理的なプロセスで銀行口座開設の申請を成功できるよう、優良事例を共有(出典)
金融庁、「デジタル資産を用いた不公正取引等に関する国際的な規制動向、法規制当局による執行事例、及びマーケットにおける課題の分析調査」報告書を公表(出典, まとめスライド)
2.ビジネス関連の動向
MicroStrategy、企業むけサービス「Lightning Rewards」を発表(出典, 出典2)
MicroStrategyが、MicroStrategy Lightning for Enterprises として「Lightning Rewards」を公開しました。
電子メールにLightningウォレットを備えることによって、フォーラムへの投稿やウェルネスプログラム参加といった行動へのインセンティブ付けを通じた、顧客と従業員のエンゲージを促すとしています。
ウェブサイトによると、サインアップやロイヤリティ、エンゲージメントのツールとして、管理ポータルを通じたリワードルール設定やロイヤルティプログラムの効果測定などが挙げられています。
Stripe、法定通貨から暗号通貨へのオンランプの開設を発表(出典)
Stripeが、法定通貨から暗号通貨へのオンランプサービスの提供を発表しました。
サービス利用に際して顧客が必要な時に暗号を購入できるようにするものです。
実装オプションとして、コードに埋め込むタイプに加え、コード不要なStripeホスト型を提供するとしています。
BlockのTBD、Yellow Cardと提携しアフリカ16カ国でビットコインによるグローバル決済(出典1、出典2)
TBDの発表によれば、2023年3月に行われたPoCでは、TBDとYellow Cardは、米国からガーナ・ナイジェリア・ケニアへの決済をリアルタイムでテストすることに成功したとのことです。
Yellow Cardは、Web5プロトコルとtbDEX流動性ネットワークのローンチパートナーとなる予定とされます。
TBDが提供するAPIと開発者サービスを使って、リアルタイム取引を実現する機能を簡単に組み込むことができるものです。
送金者は米ドルで送金を開始し、受取人は銀行口座やM-PESAなどのモバイルマネーウォレットに法定通貨をリアルタイムで受け取れる、としています。
バックグラウンドでは、TBDが米ドルをBitcoinやstablecoinに変換し、パートナーのネットワークと連携してデジタルアセットと法定通貨との間に流動性を創出するとのことです。
ブータンの投資部門Druk Holding and Investments、国内でマイニング(出典, 出典2)
国土面積の割には、水力発電による大量のグリーンエネルギーがあり、しかも安価であることから、グリーンマイニングに向いているとの考えを示しています。
なお、電力供給の優先順位としては、マイニングは最後であるとのことです。
さらに、カーボンフリーの水力発電によるマイニング事業に向けて前Bitmain CEOのJihan Wu氏が率いるBitdeer Technologies Groupとの提携を発表しました。
クローズドエンド型ファンドを設立し、資金調達に取り組むとしています。
Bitcoinマイニングによる再エネ投資のヘッジ(出典)
風力発電の投資家がマイニング施設に同時に投資することによって、電力価格リスクをヘッジすることを提案しています。
電力価格とBitcoin価格は相関がないため、これらの出力を切り替えることができれば、風力発電所は収益を最大化し、損失を最小化できるとのことです。
Chainalysis、防諜のためにビットコインのOP_RETURNフィールドを使用する例について発表(出典)
Chainalysisが、「OP_RETURNフィールドの前例のない武器化を通じて、防諜のためにBitcoinをより直接的かつ積極的に使用する例と思われるものを発見した」旨、発表しています。
ウクライナ侵攻前の2022年2月12日〜3月14日にかけて、匿名のBitcoinユーザーが、ロシア諜報機関に属するとする約1000のアドレスを呼び出し、警鐘を鳴らしたとのことです。
匿名のBitcoinユーザーが986のビットコインアドレスに送信した、各トランザクション中のメッセージでは、問題のアドレスがロシア機関によるハッキング作戦に使用されたと主張しています。
また、OP_RETURNメッセージのほとんどは、ロシア政府に属していると述べたアドレスから発信されており、ロシアが管理するアドレスの秘密鍵にアクセスしたことを示すとのことです。
Lightning Networkの採用進展について振り返る記事(出典)
2017年12月28日、Bitcoinメインネットで最初のLightning取引が、Bitrefillでのオンライン購入において成功しました。
2018年8月には、Lightningに対応したウォレットがモバイルデバイスで利用可能になりました。(LN Capacity: 1 BTC)
2019年1月には、個人の連鎖を通じてマイクロペイメントを送るプロモーションキャンペーン「Lightning Torch」が話題になりました。(LN Capacity: 107 BTC)
2019年から2020年には、ユーザーやマーチャントが多数の新しい決済チャネルを開設し、ネットワークの全体的な流動性とキャパシティが高まりました。取引所がLightningのサポートを実装した他、新しいウォレットの実装などが進展しました(LN Capacity: 800BTC)
その後、2020年〜2022年には、エルサルバドルでのBitcoin導入、Lightningベースのカード決済サービス、Cash AppのLightning統合、Strikeによるクロスボーダー決済「Send Globally」、およびPOSプロバイダーCloverや南ア食品小売Pick n Payとの提携などが進展しました(LN Capacity: 5,000 BTC)
そして直近2023年のLightning関連トピックスとしては、(1) Lightningに統合された分散型データ共有プロトコル「Nostr」、(2)Xapo BankがLightningを統合し即時決済を実現、(3) 企業向けにLightningの流動性と信頼性を高めるソリューション「Lightspark」、(4) ZEBEDEEによるゲーム業界向けに設計されたカストディアルウォレットサービス、(5) ポッドキャストとLightningの連携(VIDARなど)、(6) Lightning Addressプロトコル(Bottlepayなど)、(7) オフライン取引に対応したノンカストディアルウォレット「Machankura」、(8) TBDによるLightning事業「C=」、(9) EV充電ステーションに対応した「Satimoto」、(10) ノンカストディアルのクラウドファンディングプラットフォーム「Geyser」、(11) P2Pビデオチャット「Keet」におけるLightning決済などが挙げられています。
トピックリスト
「Lightningcon Vietnam 2023」(3/23~3/24)の動画リンク集(出典)
Intel、コスト削減の一環で10月までにマイニングチップ「Blockscale 1000 Series ASIC」の受注停止し、2024年4月に出荷を終了とのReuters報道(出典)
MicroStrategyのMichael Saylor氏、Lightning addressプロトコルを利用して、会社メアドにLightning Networkアドレスを統合し、メアドを通じてBitcoinを送金可能に(出典)
Telegram、サードパーティが作成したWallet bot その関連サービスを通じたwalletのWebインターフェイスで、Bitcoinの購入・引き出し・交換・P2P取引が直接利用可能に(出典)
BTCPay Server 1.9.0のリリースが発表。昨年9月の「BTCPay Day 2022 Riga」で紹介された、プラグインによるカストディアンウォレットのサポートとして、Krakenプラグインのサポートも含まれるとのこと(出典)
Lightningノードのオペレータが、インバウンドトランザクションとアウトバウンドトランザクションの間のバランスを手動で見つける必要性を排除し、AIを活用してLightning上の流動性がどこに集中しているかを予測して、チャネルバランスプロセスを自動化する「Lightspark」(出典1、出典2、出典3)
Lightspark、スタートアップが6ヶ月間無料でフルスタックの完全自動化サービスを利用できるプログラムを開始(出典)
BlockwareTeam、Voltageと協働で、Bitcoin ASICsマーケットプレイスにLightningをインテグレート(出典)
商業用不動産マーケットプレイスのMyEListing、Coinbaseとの統合でBitcoinに対応へ(出典)
Mastercard、暗号資産企業との提携をさらに求め、暗号通貨決済カードプログラムを拡大していく意向であるとのReuters報道。Binance・Nexo・Geminiなどの暗号取引所と提携済(出典)
Revolut、ブラジルで暗号資産投資のサービス提供を開始と発表(出典)
Venmo、Bitcoinの外部ウォレットへの引出し機能を導入へ(出典)
Bitcoin半減期まであと1年を切る(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!