th_satです。
Diamond Hands Magazine、ビットコインを巡るビジネス面・規制面の動向のまとめです。
ビットコインをめぐるビジネス面の動向(ペイメントや社会生活での利用や、金融機関での金融商品としての取り扱いなど)、規制の動向、その他で気になる個別トピックについて、ゆるく紹介しています。
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それでは、早速直近2週間のトピックを紹介したいと思います。
1. 規制関連の動向
米テキサス州、デジタル通貨を所有する権利を議決(出典)
米テキサス州が、デジタル通貨を所有・保有・使用する国民の権利を含む州の権利章典の更新を議決しました。
「財やサービスの取引や契約に際して、現金・コイン・地金・デジタル通貨など、相互に合意した交換手段を所有・保有・使用する国民の権利は、侵害されてはならない」とするものとなっています。
米SECの投資顧問カストディに係るルール変更に各社が懸念表明(出典1, 出典2, 出典3)
米SECの投資顧問カストディに係るルール変更について、Coinbaseが「カストディ業務について不当な仮定をしていることを懸念する」旨のレターを提出しました。
a16やJPMorganも続いており、a16zは、「登録投資顧問(RIA)が顧客の暗号資産をセルフ・カストディすることを認める例外がなければ、セーフガード・ルールが実行不可能である」との懸念を表明しています。
また、JPMorganは、「我々の顧客や取引相手、そして最終投資家にとって不利益を被ることになる」との見解を示しています。
アイルランドおよび英国、Bitcoinなどを裏付けのある暗号通貨として規制求める(出典1, 出典2)
アイルランド中銀が、「暗号と消費者を守るための方法」と題したリリースで、「裏付けのある暗号」と「裏付けのない暗号」を区別して考えている旨を表明しました。
適切な準備と管理が行われている場合、MiCAに基づく電子マネートークン(EMT)や資産参照トークン(ART)など、「裏付けのある暗号」の可能性には前向きな見方を示しています。
一方、「裏付けのない暗号」(裏付けが不十分な暗号や信頼性の低いものを含む)については、宝くじの購入に似ているとし、十分な懐疑心をもって接するべきと主張。「投資」と表現するのは言うまでもなく言葉の乱用であり、「ねずみ講」の方がより正確であるとしています。
さらに、英国大蔵省委員会が発表した報告書においても、「裏付けのない暗号通貨の消費者取引をギャンブルとして規制するよう求める」旨が、指摘されています。
具体的には、「Bitcoinのような暗号通貨は本質的な価値を持たず、有用な社会的目的を果たさない一方、大量のエネルギーを消費し、犯罪者によって詐欺、詐欺、マネロンに使用されている」としています。
トピックリスト
G7 財務大臣・中央銀行総裁声明(仮訳) (2023 年 5 月 13 日 於:日本・新潟)、暗号資産の活動及び市場がもたらす金融安定及び健全性のリスクについて言及(出典)
FATF議長、「G7諸国は、違法な暗号取引のためのセーフヘイブンが存在しないよう、模範を示してクリプトセクターを規制すべき」と言及(出典)
米大統領、裕福な暗号投資家を助けるとされる「税の抜け穴」を終わらせるようTwitterで呼びかけ。抜け穴をカットすることで、$18bの節約になるとしている(出典)
米SECのHester Peirceコミッショナー、Financial Timesのイベントで「MiCAは我々のモデルとなり得る」とコメント(出典)
EU理事会、暗号資産市場規制(MiCA)を全会一致で承認(出典)
英歳入税関庁HMRC、納税を怠った企業から暗号通貨を差し押さえることを可能にする規則の導入を検討(出典)
スイスZug、bitcoin (BTC) と ether (ETH) による納税限度額を従来の10万CHFから150万CHFに引き上げ(出典)
2.ビジネス関連の動向
Lightning Appsを増やすのではなく、Lightningを使ったアプリを増やすことが必要(出典)
Lightningをさらにスケールさせるには、Lightningを使ったアプリがもっと必要であると述べています。
その上で、「開発者が好きなようにアプリにLightningを統合してトランザクションをプログラミングできることに焦点を当てるべき」と主張しています。
Lightningのプロジェクト一覧(出典1, 出典2)
2017年5月にLitecoin上で行われたLightning決済から6年が経過しました。
これまでの期間において、Lightning Networkを実装したプロジェクトについて、一覧が整理されています。
この他、Lightning Dev Kit(LDK)で構築した事例のケーススタディも整理されています。
Lightspark、企業が顧客にLightningウォレットを提供できるツール「Lightspark Wallet SDK」を発表(出典1, 出典2, 出典3)
Lightsparkが、Lightningトランザクションを大規模に実現するエンタープライズグレードのソリューションとして、「Lightspark Wallet SDK」を発表しました。
Lightning Networkは、スケーラブルかつ安価で、相互運用性があり、オープンな基盤があり、ほぼリアルタイムで決済されます。しかしLightsparkのCEOがブログで述べているように、最近まで、その固有の複雑さのために、一般企業や、暗号通貨の経験が豊富な企業でさえも、利用することがほとんど不可能だったという問題がありました。
Lightspark Wallet SDKは、Lightsparkのサービスおよびツール群を拡張し、互いに連携して企業向けにLightning決済ソリューションを提供するものです。
Lightningの複雑さと課題を取り除くべく、以下の3つの機能が提供されます。
①Lightspark Connect: Lightning Networkに接続し、支払いを送受信するための最も簡単で最速の方法を提供
②Lightspark Predict: 資本効率と信頼性の高い決済のためのワンストップソリューションを提供
③API/SDK: Lightspark APIとサーバーサイドSDKを使用することによって、Lightsparkのサービスを数分でシームレスに統合可能に
このように、Lightspark Wallet SDKを用いてLightning決済の複雑さを処理することによって、企業はチャネルの設定、流動性のリバランスなどを心配する必要なしに、顧客体験の構築に集中することができるとのことです。48時間程度で顧客向けの決済ソリューションが利用できるようになるなど、統合も簡単であるとしています。
Lightspark Wallet SDKは、すべての企業がLightning決済を開始できるようにするための重要な一歩として位置付けられています。
そのためには、コンプライアンス要件を満たす必要があることから、Chainalysis、Notabene、TRM Labsとのパートナーシップを通じて、規制対象のプレーヤーがLightning Networkに参入できるようにしているとのことです。
また、マーチャントはLightningでの支払いをより簡単に受け入れる方法を求めているとして、デジタル決済のFlexaとの統合により、300以上の異なるウォレットアプリから100以上の異なるデジタル通貨での決済をサポートし、41,000以上の小売タッチポイントで決済可能としています。
Bitcoin/Lightning用いたプロダクトのリリース続く
Strikeが、グローバル本社をエルサルバドルに移転することを発表しました。併せて、決済サービスを米国・エルサルバドル・アルゼンチンの3カ国から65カ国に拡大するとのことです。(出典)
また、BitcoinリワードアプリのFoldが、中南米事業の拠点としてエルサルバドルへの進出を発表しました。現在までにFold社のBitcoinリワードインフラは$1b以上のボリュームを処理しているとしています。(出典)
このほか、Fintech企業のNeutronpayが、アフリカのLightning決済企業Bitnobとの戦略的パートナーシップ締結を発表しました。Lightning Networkを利用したベトナム〜アフリカ間のクロスボーダー決済の拡大に取り組むとのことです。(出典)
さらに、Nayuta Wallet が世界的に有名なビットコインゲームチーム THNDR との連携を発表しました。Bitcoin Bounce などのゲームで獲得するビットコインが受け取り可能になるとのことです。(出典)
TBD、開発者向けのオープンソースWeb5ツールキットを公開(出典1, 出典2)
TBDが、Bitcoin Conference 2023において、開発者向けの新しいWeb5ツールキットを公開しました。
このツールを使うことで、分散型インターネットアプリケーションの開発が容易になるとしています。
このツールには、DID(Decentralized Identifiers)、VC(Verified Credentials)、DWN(Decentralized Web Nodes)を軸とする技術が含まれています。
TBDがWeb5プラットフォーム上でローンチするアプリケーションの1つは、BitcoinとStablecoinを用いたアフリカとメキシコ向けの送金アプリであるとされ、流動性を発見して資産を交換するプロトコルTBDexをベースに開発予定とのことです。
トピックリスト
PayPal、顧客の利益のために保有する重要な暗号資産として、Bitcoinを$499m、Ethereumを$362m、その他あわせ計$943m保有していることを発表(出典)
DIBA (Digital Bitcoin Art and Assets)、RGBプロトコルを活用したBitcoin NFTマーケットプレイスをローンチ(出典)
Binance、NFTマーケットプレイスでOrdinalsをサポート(出典)
リヒテンシュタイン、市民が特定の国家サービスをBitcoinで支払可能に。国家の暗号投資にも前向きとのこと(出典)
米国政府のデジタルアセットマイニングエナジー(DAME)物品税について、「業界を海外に移転させ、排出量を増加させ、電力網から有用なデマンドレスポンスを奪うことになる」とするNic Carter氏のブログ(出典)
Grayscale、「Bitcoin Composite ETF」「Privacy ETF」「Ethereum Future ETF」を新たに申請(出典)
Robert F. Kennedy Jr氏、米大統領候補として初めてBitcoin 2023 conferenceに登壇し、米国史上初めてBitcoinで選挙寄付を受け付ける大統領候補となることを発表(出典)
MicroStrategyの「Bitcoin & Lightning for Corporations 2023」(5/3-5/4開催)の模様が公開(出典)
Bitcoin Argentina、Lightning Hackday 2022での内容を踏まえ4つのクラスから成る「Lightning Network入門」を開講(出典)
様子をみながら、少しずつ発信していければと思いますので、よろしくお願いします!