Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめです。
今年のノーベル経済学賞は、銀行と金融危機の関係を解明した功績を評し、バーナンキ元FRB議長に授与されるようです。
「?」。バーナンキ元議長といえば、リーマンショックの際にシステミックリスク回避と称し、税金で大手金融機関を救済してモラルハザードに拍車をかけ、量的緩和策を始めて現在のソブリン債危機の一因を作った人です。彼の前例に倣い、今回の危機でも各国中央銀行は年金ファンドを救済するために、国債を買い支えを始めました。もちろん国民に許可など求めていません。リーマンショックで住宅ローン返済に窮した庶民は自己責任と切り捨てられたように、今回もマージンコールに応えられない個人投資家が救済されることはありません。マネーサプライ増加やインフレ抑制の利上げを諦めることで、国民の資産を目減りさせ、購買力を奪うことについては、陳謝はおろか、認知すらしません。まあ、法定通貨の利点の1つが国民に気づかれることなく富を横領できることなので、by designです。
私たちは、こんな草コイントークン獲得を賭けて、状況次第でルールが勝手に改変される絶対に勝てないゲームに強制参加させられているわけですが、こんなゲームはプレイするだけ損、降りたもんん勝ち思う人は確実に増殖中。裸の王様を裸だと嘲笑する声は大きくなる一方です。
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Celsius顧客の終わらない悪夢
破産手続き中のCelsius。預けていたビットコインを失うというダメージから立ち直ろうとしている顧客に追い討ちをかけるように、今度は個人情報が流出。
Celsiusが裁判所に提出した14,000ページにもなる書類に、過去の顧客を含む全顧客の氏名と取引履歴(日時と金額)が開示されており、それがネット上で出回るという信じがたい事態が発生しました。Chainalysisなどのオンチェーンデータ分析企業は、流出情報を使ってCelsiusとの送受金に使われたアドレスと個人の紐付け作業を進めていることでしょう。
なぜこんなことが起きたのでしょうか?裁判所は破産手続きに際し、資産保全のために企業に財務詳細の提出を求めます。Celsiusが顧客から預かっていたビットコインは法的にはCelsiusの資産であるため、詳細開示しなければなりません(秘密鍵の所有者=ビットコインの所有者なので、法的だけでなく実際Celsiusの資産です)。Celsiusは顧客プライバシーの侵害にあたること、売却可能な企業資産である顧客情報が無価値化することを挙げ、裁判所に顧客氏名の排除を訴えましたが認められませんでした。かろうじて、顧客の住所とメールアドレスは公開を免れたようです。
今回は特殊ケースだとしても、KYCを実施する企業の情報管理能力不足から個人情報が流出する事例は枚挙にいとまがありません。第3者に提出した個人情報はいずれ流出すると覚悟して、利用するサービスは厳選すべきです。今回のように資産情報とセットで流出すれば、強盗や脅迫の標的リストに名を連ねることになります。起きてからでは取り返しがつかないので、未然に防ぐしかありません。
Celsius関連では、顧客による出金を凍結した後、破産申請を行うまでの間に、元経営陣が1,700万ドル(約25億円)相当の暗号資産を引き出していたことが報じられています。
さらには、ご丁寧に流出情報をDB化して、氏名を入力するだけで、その人の被害総額とコイン内訳が一覧表示されるサイトを作った人がいます。Tweetボタンまで設置。
作者の狙い通り(?)、ビットコインマキシを売りにするインフルエンサーが、複数アルトコインをレンディングしていた事実が暴かれたりと、ちょっとした魔女狩りの様相でした。上記のPeter Toddのように同姓同名の別人というケースありました。普段はプライバシーを声高に叫ぶビットコイナーが、こうして他人のプライバシーを平然と侵害するのはいただけません。悪ふざけが過ぎた感があります。
言論統制を試みたPayPalが支払った大きな代償
PayPalが利用規約を変更し、11月3日から「誤情報」を流したり「ヘイト」助長した利用者に対して、$2,500の(約36.5万円)の罰金を課すとの情報がネットを駆け回りました。
PayPalは以前から、明確な理由を提示せず、カジュアルに顧客の資産凍結することでも知られていたため、利用者の間でサービス解約が相次ぎ、解約手続きページに一時アクセス不能になるなど混乱。元PayPal社長で現在はライトニング関連事業スタートアップを率いるDavid Marcusも以下のようにコメント。
PayPalが行おうとしてることは、私の信条に真っ向から対立するもの。意見の相違を理由に私企業が顧客から資産を没収するなんて狂気の沙汰。
これにPayPal共同創業者のElon Muskが「同感」と返信したことで、"BoycottPayPal" がTwitterでトレンド入りし、PayPalと子会社Venmoの解約を煽るtweetが溢れました。
この騒動で株価は6%急落。年初からの下落率を50%、最高値からの下落率を72%に拡大しました。
PayPalにとって、こうした顧客と市場の反応は想定外だったのでしょうか?翌日、拡散した情報が「誤情報」であること、利用者の発言に罰金を課す計画はないとの声明をだすなど、必死で火消しに努めます。
コロナ以降、Twitter、Facebook、YouTubeなどプラットフォーマーによる言論統制が強化され、退会やボイコットを促す声が聞かれましたが、大きな動きには至りませんでした。今回はお金が絡んでいるだけに、利用者はリスク回避を急いだのだと思います。今回の騒動はビットコインにとっては非常に有効なマーケティングキャンペーンだとしてPayPalを讃えるビットコイナーも多く、私も財産権の侵害を自分ごとととして捉える機会を多くの人に与えてくれたことに感謝しています。
EUのロシアに対するビットコイン禁止令の効力
EUはロシアへの制裁の一環で、これまで残高10,000ユーロ以上を持つロシア国民を対象にビットコインと暗号資産のカストディおよびウォレットサービスの提供を禁止していましたが、先週、残高条件を撤廃して、制裁対象をロシア国民全員に拡大すると発表。
これに対して、ロシア金融委員会の委員長は以下のようにコメント。
EUの禁止令はロシア国内におけるビットコイン市場の発展を促すだけ。
EUはUTXOと所有者の国籍をどう紐づけるつもりなのでしょう?ビットコインのリテラシーは明らかにEUよりロシアの方が高いようです。
NYDIGが第3四半期総括と来期展望レポートを公開
以下、レポート要点です。
市場が次々と試練にさらされる中、ビットコインはプラス成長
LUNA破綻をはじめ、市場の不安定化に起因するクリプト市場の新たなシステミックリスクが顕在化
マクロ経済の最大懸念は金利上昇と長引くインフレ
経済面の数々の問題は、政府と中央銀行に対する国民の信頼を低下させ、ビットコインのアダプションを促進
米国大統領令で名指しされた当局による規制方針への注目度の高まり
規制明確化に必要な法改正の中でもステーブルコインとデジタルコモディティに関する法案には要注目
マイナーによる売り圧力は8月を境に緩和したが、価格低迷とハッシュレート上昇は続いており、危機脱出とは言い難い
Taroのアルファ版リリースでビットコインとライトニングネットワーク上でのステーブルコインなどのアセット発行が実現
ビットコイン上でスマコンを実現する技術RGB
フルグルがDiamond HandsによるRGBを使ったウォレットのオープンソース開発支援を発表。2023年1月にα版リリースの予定。
詳細は、新しい経済さんの記事、moyashamoさんのニュースレター、Diamond Handsと協力して開発を行うもなみ屋さんのプレスリリースをご参照ください。
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