今週創刊のDiamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめ担当の練木です。初めましての方も多いと思うので、軽く自己紹介しておきます。
2017年バブル終盤に初めてビットコインを購入し、2日後に暴落の洗礼を受け、「詐欺」に引っかかった悔しさから「詐欺」の全容を解明すべく、手当たり次第に文献を読み漁るうちに底なし沼にハマり今に至ります。
日本生まれ、日本育ちの日本人ですが、なぜか日本に違和感があり、ビットコインと体力と丈夫な胃腸さえあれば、どこでも生きていけると信じ、今はCitadel探しのノマド生活を送っています。
ニュースは客観的に伝えることを心がけますが、端々にリバタリアン、マキシ色が滲み出ると思いますので、予めご了承ください。
それでは、早速今週のニュースです。
Tornado Cashに制裁、開発者逮捕
マネーロンダリング幇助を理由にアメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)が制裁対象に追加、オランダ在住の開発者が逮捕。
これを受け、Infura, GitHubなどがサービス提供停止、Coinbaseなど取引所が資金凍結、アドレスブラックリス化など過剰な自主規制を開始。また、著名人に対してTornado Cashから少額ethが送りつけられるスパム攻撃が多発し、被害者のアドレスがDeFiからブロックされる二次被害に発展。
ミキシングはプライバシーを守る合法的手段であることから、業界ロビイストCoin Centerをはじめ各方面から抗議の声。
DAO、オープンソースPJといった法的位置付けが曖昧な対象に国家が行動を起こす時、特定しやすい開発者が標的となるケースは今後増えると予測。開発者は匿名性を維持して自衛するしかなく、社会的意義が大きくても体制の意に沿わないPJから優秀な開発者が逃げてしまうのではと懸念。当局の決定は絶対ではなく覆せるという前例をここで作っておきたい。
ブラックロック、ビットコイン私募投信開始
今回は米機関投資家のみを対象とした商品ですが、個人投資家向け現物ETFへの布石と見る向きは多い。同様の戦略を試みたGrayscaleが突破できていないSECの壁を、世界最大の資産運用会社は超えられるか?
同社は機関投資家向け暗号資産サービス提供に向けてCoinbaseと提携したばかり。ビットコインを「マネロン指数」と評したアンチのCEOも、時代の変化と顧客の要望には逆らえないということか。
StrikeがVisaカード発行
銀行口座からのダイレクトチャージ、ビットコインの売買と送受金、ビットコインでの給与受け取りなどの従来機能に、Visa加盟店での支払いと利用額に応じたキャッシュバックという新機能が追加。全機能、手数料無料で使えるモンスターアプリ。
同社はVisaカード事業の収益の1%をビットコインコア開発に寄付することも発表。ユーザーはStrikeでVisaカード決済する度にビットコイン開発を支援できる。
Blockが開発中のウォレット概要を公開
「鍵を失くしてもビットコインは失わない」と題した記事で、ハードウェア、マルチシグ、ソーシャルリカバリー、タイムロックなどを組み合わせた復元方法を提案。
現スタンダード、12/24英単語のニモニックに頼るバックアップが自己管理の障壁になっているとも言われており、Borderウォレットがニモニックにパターンロックを組み合わせた方法を発表したばかり。ウォレットやバックアップの選択肢の増加は、自己管理の促進に直結するので競争は大歓迎。
SMSでビットコインを送受金
ナイジェリアでSMSを使ってビットコインを送受金できるMachankuraがローンチ。ガラケー利用者が多く、決済の94%がSMSベースのアフリカでは、インターネット接続がビットコイン普及の最大の壁。
アフリカはインフレヘッジ、金融包摂、財産権保護のツールとしてビットコイン実需が高い地域。先進国にはないニーズはローカル起業家が自ら拾って解決する、こうした動きを奨励するため、そして有望市場で先行者利益を確保するため、資金と技術援助を積極的に行っているビットコイン関連企業は多い。法規制が未整備で自由度が高いので、日本では規制が厳しく理想のプロダクトが作れないと嘆くスタートアップは、実証実験の場、市場としてアフリカを検討してみては?
Riot、マイニングしないことで収益アップ
デマンドレスポンスでクレジット獲得を選択したことで、通常通りマイニングするより、収益が90%+増加。熱波で電力が逼迫し、スポット価格が高騰したタイミングで電力会社に電力を売り渡すことで実現。
以前から可能性が指摘されていたマイニングのデマンドレスポンス効果が実証された形。電源確保が困難、電力供給が不安定な状態は当面続きそうなので、電力会社がビットコインマイニングに参入するインセンティブは小さくないはず。
次のマイニングのホットスポットは、ごみ埋立地
ごみ埋立地で発生するメタンガスでマイニングするVespene Energyが430万ドルを調達。
メタンガス処理に多額のコスト負担を強いられている業者には、コストをマイニングで収益化という単純明快なセールスピッチが響くかと思いきや、ビットコインへの理解不足から反応は鈍い。中には「掘ってもビットコインが出てこなかったらどうするんだ」とビットコインを地下資源と勘違いしている業者もいるそう。We’re so earlyです。
水力発電の余剰電力、原油採掘現場のフレアガスに続く、グリーンマイニング電源として定着するか?天然資源と違い、ごみ埋立地はどこにでもあるので、マイニングの分散化にもつながりそう。
ペルーでビットコイン循環経済圏が始動
アメリカの人権団体Motivが16の貧困コミュニティでビットコイン循環経済の実証実験を開始。
エルサルバドルのビットコイン・ビーチで始まった金融包摂と経済的自立を目的としたビットコイン循環経済の成功に触発され、同様のPJが中南米とアフリカで続々発足。こうした草の根運動は、法定通貨化して強制通用させるより、ビットコインが受け入れられやすいし、何よりビットコインらしい。世界各地のビットコイン循環経済圏を訪れたり、移住を考えるビットコイナーも多く、経済効果、高スキル人材の誘致効果も高い。現にエルサルバドルでは、観光業が好調で新たな投資計画が発表されたばかり。
MicroStrategy、ビットコイン・スタンダード移行2周年
Michael Saylor氏がCEOを辞任し会長に就任した理由として、ビットコイン暴落で評価損計上の責任を取らされたという説もありますが、この2年、同社の株は主要インデックスやテック企業を大幅にアウトパフォーム。
CEO退任の真相は知る由もありませんが、Saylor氏がフルタイム・ビットコイナーになることは、機関投資家や事業会社でのアダプション、関連法の整備・改正にはプラスととらえています。
国連が途上国での暗号通貨普及を阻止へ
国連貿易開発会議(UNCTAD)は、各国当局に5つの具体的なアクションプランを提案。背景には途上国での暗号通貨利用の広がりに対する警戒感。
過去にビットコイン禁止を試みた国は数あれど、成功例がないことから、今回も小手先のアクションで実効性はないでしょう。インフレ、資本規制、金融包摂など根源的な問題に正面から向き合わない限り、ビットコインの需要はなくなりません。
ビットコインコア、関連PJの最新情報
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ビットコインの普及が感じられて、楽しく読み進められました。次回の連載も楽しみです!
こんばんは。有り難うございます。どれも大変興味深いです。感謝。☺️