Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめです。
ここ数年、仕事量がハイパーインフレ気味で、何でこんなに働いてるんだろうと嫌気がさすことがあるのですが、そんな時に思い出しては奮起するフレーズがあります。
What is the most important thing you could be working on in the world right now? ... And if you're not working on that, why aren't you?
世界に山積する問題の中で、今、あなたが解決に向けて取り組むことができる一番重要な課題は何ですか?もし今それに取り組んでいないとしたら、なぜですか?
Aaron Swartzの言葉です。税金で助成するR&Dで得られた知見は国民に広く無償で還元すべきとの考えを行動に移したことで、ホワイトハウスを敵に回した彼は26歳で自殺に追い込まれました。そのホワイトハウスが彼の死から約10年を経て、今週、当該事案で方針転換を表明。
RSSやMarkdownの開発、W3Cやクリエイティブ・コモンズに貢献し Redditを共同設立した才気あふれる開発者、起業家であり、社会正義を追求する活動家でもあったAaronがもし今生きていたら、ビットコイナーとして公正なお金の開発と普及に尽力していたはずと勝手に信じて、一番重要だと思う課題、壊れたお金から健全なお金への移行の実現に向け日々取り組んでいます。
今回の方針転換はもちろん歓迎ですが、時すでに遅しで国家権力の濫用への怒りが再燃しました。Tornado Cash制裁にも同種の危うさを感じます。悲劇を繰り返さないためにも、傍観者となることなく、当事者としてできることをしていきたいです。
Aarronについて詳しく知りたい方には、ドキュメンタリー映画The Internet's Own Boyをおすすめ。CCを有効にして、自動翻訳で日本語を選ぶと日本語字幕が表示されるので、ぜひご覧ください。
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NYDIGがライトニング特化のアクセラプログラム創設
プログラム詳細は金曜日のライトニングニュースまとめでカバーされると思うのでお待ちください。
ここではNYDIGについてご紹介。日本での知名度は低いですが、NYDIGはアメリカで近年加速する機関投資家、事業会社、富裕層のオンボーディングの最大功労者。CEOのRoss Stevensは2012年に資産管理会社Stone Ridgeを創業後、2013年から毎朝仕事前にビットコインを学ぶことを習慣とする筋金入りのビットコイナー。2017年にビットコインに特化するNYDIG創業後はステルス運営をしながらチームを拡充、2020年に満を期して公開したStone Ridge Shareholder Letterでビットコイン界隈で注目度を一気に高め、2021年にはSaylorさん主催の企業向けのビットコインカンファレンスで基調演説を行いました。
日米におけるビットコインのアダプション格差には、規制、国民性、金融サービスの質、金融政策など様々な要因がありますが、既存金融の実力者やエスタブリッシュメント層に彼のようなビットコイン理解者がいないことも大きいと思います。この層をオレンジピルできればと思う反面、現制度からレントを得る彼らにはビットコインを理解しても普及させるメリットはないので難しいだろうなと、遠くなるアメリカの背中を見ながら無力感に苛まれています。
企業間における価値貯蔵手段としてのビットコイン普及の功労者が、ライトニングの開発者とスタートアップの支援を介して、交換手段としてのビットコインの普及に本腰を入れる決意表明ともとれる今回の発表。ますます拡がる日米格差に複雑な思いはあるものの、プログラム参加者は全世界から募集するよう。日本からも挑戦者が出るといいな。
G20各国のクリプト規制進捗
CoinbaseがG20各国のクリプト規制、税制、マネロン対策、トラベルルール対応、ステーブルコイン規制、CBDCについての進捗を独自評価。
何とCBDC以外は既に対応済みの日本は他国をリード!自主性を発揮して他国を主導する領域を間違ってる感が拭えません。
連銀総裁に見え隠れするビットコイナー気質
今月3日に開催された金融規制会議で、CBDCについて意見を求められた米ミネアポリス連邦準備銀行Kashkari総裁の回答が話題に。
Venmoにできなくて、CBDCにできるのは、国民の経済活動の監視、マイナス金利の導入、口座からの税金自動引き落とし。なぜ中国が早期採用に躍起なのかわかるだろう。アメリカにCBDCは必要ない。
Kashkari総裁、2020年には言ってはいけない公然の秘密も口にしています。
Fedには現金が無尽蔵ある。紙幣を増刷してもいいし、データベース上で増やすこともできる。
ビットコインには否定的発言を繰り返していますが、ビットコイナーの素質を感じずにはいられません。
岐路に立つEthereum
Ethereumノードの9%をホスティングするHetznerがEthereumをバンする方針を発表。ノードの30%をホスティングするAWSや、その他のクラウドサービスが追随する動きは見られませんが、リスク軽減のために自宅でのノード運用を呼びかけるtweetも。ただ、ノード数の減少はネットワークの分散性と合意規則の不変性の低下を招くとして、個人のノード運用ハードルを上げないことを優先してきたビットコインとは事情が違うので、なかなか厳しそう。
またEthereumコミュニティでは、Vitalik始め運営から、コインベースなどのバリデーターに対して、制裁対象のTXを検閲するならスラッシュすると脅す声が上がっており、インフルエンサーも「セキュリティと検閲耐性の維持に必須」と脅迫を擁護。
これついて、Nic CarterはCoindeskへの寄稿記事で、スラッシングを「標的は常にテロリストだが、結婚式の参列者も犠牲になる」ドローン攻撃にたとえ、方針として聞こえは良いが運用が困難で現実的な解でないと。併せて資産没収の違憲性、金融ネットワークを武器として使うアメリカ政府と同じとも指摘。さらには、既存金融に対するパブリックブロックチェーンの優位性である中立性を自ら捨てることになると警告。運営がネットワークの中核的特性を簡単に変えられることを実証するのは、政府の仕事を運営が自ら行うようなもので、政府の思うツボとも。
ビットコインネットワークのTX累計が100兆ドル突破
ただし、お釣りアドレスへの送金やUTXO整理などを除く、実質的な価値移転に限ると7.4兆ドルだそう。
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