DHルーティングランキングを使って効率よくルーティング収益を上げる方法
今年に入ってルーティング以外のことにも結構時間をとられてしまっていたのですが、先月くらいからまた本格的にルーティング関係の環境構築や分析に時間をまた割き始めています。
そのルーティング研究活動の一環として、先日から準備していたDiamond Handsオリジナルのルーティングランキングのプロトタイプを先日公開したので、今回は改めてルーティングって何なの?という話と実際のルーティングの収益性、そしてこちらのランキングの意義や使い方について紹介します。
ルーティングとは?
ライトニングネットワークには送金の中継をするルーティングノードの存在が不可欠です。ルーティングノードがあることで、通常2者間でしか機能しないペイメントチャネルのオフチェーン送金技術が複数人にも応用可能になり、ビットコイン送金のスケール性能が大幅に改善するような仕組みになっています。
また、ルーティングノードが多数存在することで送金の安定性や分散性が実現するので、ルーティングノードをいじっている人たちはライトニング送金の安定化に直接的に貢献していると言えます。(これだけでも何かロマンがありますよね)
ルーティングをするメインのモチベーションとして、自分の保有するビットコインをペイメントチャネルにロックアップして送金の中継をしてあげる代わりに送金手数料の収益を受け取れるような仕組みになっており、このルーティング収益を目当てにルーティングに興味を持つ人が2年ほど前から一気に増えました。
もう一つの大きな特徴として、ルーティングはノンカストディアルな形で実行できるので、ライトニング上でチャネルの形で流動性を提供することで一種のノンカストディアルな金利をビットコインを受け取ることが出来るのも重要な側面です。
イメージとしてはStakingに近いような部分もありますが、ライトニングの場合は資金をロックアップすればいいだけでなく、どのノードにどれくらいの大きさのチャネルを開設するか、ネットワーク上のお金の流れを予測しながら流動性を調整する必要があるということで、Proof of Stakeより戦略性や難易度が高い部分があります。
また、Proof of Stakeの場合はStakingの利率はプロトコルにより何%と決められているのに対し、ライトニングのルーティングの利率はノード間の競争、ライトニングネットワーク上の送金需要の増減などによりダイナミックに市場原理で変わっていくのも違いの一つと言えます。
また、ルーティング収益以外でも新しい技術やネットワークの出現に立ち会う、という側面ではまっている人たちも結構多いです。何かよくわからないけど新しくて面白い、ワクワクする、というのは非常に重要な感覚ですね。
ライトニングやルーティングの概要については去年「ライトニングネットワーク概観」というレポートを無料で公開しているので、まだの人は是非そちらを読んでください。
ルーティング運営者が直面する課題
上記を見てルーティングに興味を持ったでしょうか?
脅すわけではないですがもし仮にルーティングで本気で収益をあげようとすると、常にルーティングデータを研究しながら接続するノードを変更したり、流動性をアクティブにマネジメントする必要があります。これは初心者だったり、本業の仕事で忙しい人などにとっては実際かなり難しいと思います。
それらの問題を解決するために、ここ1年ほどでルーティングノード運用者のためにに、ルーティングデータを可視化したり運用を自動化してくれるTorqといったツールや、ルーティングノードのランキングや自動で手数料を設定してくれるTerminalなどの情報サイトが少しづつ成熟してきており、前に比べればルーティングの難易度は下がってきている部分はあると思います。
一方ツールは少しずつ改善はしてきてはいますが、「結局どのノードにどれくらいのチャネルを貼って、どれくらいの手数料を設定すべきなの?」というルーティングノード運営者が一番知りたいことに関する情報は案外手薄な印象で、その疑問に答えるために実験的に作ってみたのが今回のDiamond Handsルーティングランキングです。
Diamond Handsルーティングランキングの使い方
Diamond HandsランキングはDiamond Handsノードの実際のルーティングデータをベースにしたランキングで、その他のノードにとっても有用であろう情報を多く掲載しています。
実際のルーティングデータをベースにしたランキングは今までありそうでなかったものなので、個人的には今後このランキングを少しづつ改善して、海外ノードユーザーにとっても役に立つものに上手くいけば育てられるかなと思っています。
ランキング自体は直近7日間のルーティング量で並べられていますが、他にもチャネルごとの収益性や平均トランザクション手数料を掲載しているので、理論値だけではなく、実質的に多くのルーティングや収益を発生しているノードの発見に役に立つと思います。
例えば、以下は今日のランキングを「Channel APY」(チャネルごとの収益性)でソートした画面です。通常のルーティングランキングでは上位に食い込まないノードもこちらのランキングでは上位にランクインしており、実は収益性が高い「隠れた優良ノード」を発見するのに役に立つかもしれません。
気になるルーティングの収益性ですが、ノードを選別して適切なサイズのチャネルを開設すれば場合によってはルーティングでも年間2〜3%相当の利率が得られるくらいの規模感にはなってきています。
その一方注意して欲しいこともあり、上記の統計はまだ実験的な参考値であり、必ずしも他のノードにも通用する正確な数値ではないです。
例えばチャネルごとのAPY(収益率)の数値ですが、平たく言えば各チャネルのルーティングからの収益(インバウンド収益とアウトバウンド収益合算)をチャネルサイズで割って年間換算しただけのシンプルな値です。チャネル開閉にかかるオンチェーンコストなどは計算に含んでないので、実質収益性というよりは現状では名目収益性に近いような値なのでそこは注意してください。
ただ今回このルーティングランキングと、ルーティング量や収益性を公開したことで、ルーティングで実際どれくらい収益が上がりそうなのか、それぞれのノードでどれくらいルーティングの傾向に差があるのだろうか、などの素朴な疑問に一定の回答を出せたと思います。
このランキング自体はまだプロトタイプレベルでフィードバックをもらいながら少しづつ改善、さらに面白い指標を追加していく予定です。
また、こちらのデータも利用しつつ以前公開していたDHメソッドを改良し、あまりルーティングに時間をあまり使えない人でも効率よくルーティングを実行し、年利換算で1〜2%の収益を得られるスキームを色々試行錯誤実験していきたいなと思っているので、是非興味のある人はDHのテレグラムグループに参加して議論に加わってください。