bitFlyerオフィスにてビットコイン社内勉強会をやってきました。
タイトルの通り先日自分が日本にいる間にビットフライヤーさんのオフィスに伺い、ビットコイン/ライトニング社内勉強会を実施しました。発表者は自分とAndGoの原さん、またビットコイン/ライトニング開発者として活躍する宮本ジョーさんの3人です。
勉強会自体は比較的少人数でしたが、みなさんご存知ビットフライヤー金光さんに企画を協力していただき、共同創業者/CTOの小宮山さんにも参加していただき色々意見交換できました。上の写真はビットフライヤーオブジェの近くで記念撮影したものです。
ご存知の人も多いと思いますが、ビットフライヤーは日本国内で最も早く仮想通貨関連の事業を始めた事業者の一つで、一時期ビットコイン先物取引高で世界でも大きなシェアを誇っていた取引所でもあります。
今は当然ビットコイン以外の銘柄も扱っていますし、色んな事業に拡大していますが、創業当時は基本的にはビットコインしか存在しないところからスタートしていることもあり、なんだかんだビットコインに対する理解や関心、リスペクト要素などがまだ残っている企業なんじゃないかと思います。(と自分は信じています)
ちなみに金光さんはビットコインデザインのリング(指輪)を愛用しており、今回の勉強会にもちゃんとつけていたのでやはりビットコイン愛を忘れていないということだと思っています(と自分は信じています)
ちなみに自分はしばらくYuzo氏とも直接は会ってないので、次回日本にいる時に機会があればYuzoさんとも会いたいですね。以前からいた古株的なメンツですでに引退したり、消えた人たちも多いので、その視点だけからでも個人的には密かに応援しています。
なお、今回の勉強会はAndGoとDiamond Handsが今共同で立ち上げ準備をしているビットコイン研究所の法人向けの活動の一環で、ビットコインやライトニングについて事業観点でもう少し理解度を深めたい企業向けに今後も社内勉強会のようなものをもう少し積極的にやっていこうと思っています。(詳細については最後に補足説明します)
勉強会の内容を一部紹介
自分は「Why Bitcoin in 2023?」というテーマで、日本の企業視点でなぜビットコインにもっと注目すべきか、について話しました。
主な内容としては複数の視点からビットコインに関するデータや事実を提示し、世界的なビットコイン関連のトレンド、なぜビットコインは過小評価されていると言えるか、今後どうなりそうか、などについて概要を説明しました。
マクロ要因
認知/普及度
流動性
分散性
環境/エネルギー
既存金融の参入
政治の関与
決済、送金性能(ライトニング)
ビットコイン上のDeFiレイヤー
ステーブルコイン
NFT
などについてビットコインの特徴や優位性について話しました。
それぞれの内容はそこまで難しいことはないのですが、ビットコインのそもそもの意義や、大きな優位性を持っている部分、量的に把握できる海外のトレンドやその他のコインとの比較などについて、正確に把握している人はむしろ最近減ってきてしまっている気がするので、自分の方でまずは全体の概観を提示しました。
なおこちらの資料は今回の勉強会で使ったものをベースにもう少しキレイに修正して、後ほど外部向けにも公開予定なので、公開したら是非そちらも確認してください。
AndGoの原さんはBolt Cardの仕組みの説明と実際にデモをしました。
先日AndGoとDiamond Handsで共同でデザインしたKintsugiカードもコミュニティ内ではすでに公開していますが、こちらも「かっこいい」という感じで活躍してくれました。
Bolt Cardについては以前Diamond HandsミートアップですでにAndGoさんが発表したもののアーカイブ動画も公開しているのでそれも参考にしてください。
ただし、今回のビットフライヤーでの勉強会では、実はコンタクトレス決済が最初上手くいかずエラーに見舞われるというちょっとしたアクシデントもありました。結局何回かチャレンジして最終的には上手く行ったのですが、まだまだBolt Cardの仕組みやルーティングの安定性のところで課題が見えたのも興味深いです。
なお、ライトニングの送金が上手く行かなかった要因として、Bolt Card ServerのライトニングノードはTor接続であること。それにより通信が不安定でルート検索が上手く行かなかったからだと推察されます。
実際一回小さい金額でルーティングが成功したらそれ以降は何回か繰り返し実験した時は全て問題なく行きました。ちょっと失敗してしまったものの、ライトニングの決済の仕組みや課題、またどのような解決策が考えられるかについて話が広がったのは、むしろ良かったんじゃないかと個人的には思います。
最後の発表は宮本ジョーさんが開発者視点でのライトニングの概観、特に取引所視点でライトニングをする時の設計や注意点、多くのユーザーを抱える企業の場合どのような運用が必要になってくるのかを実例などを含めて説明したものです。
個人的にはこちらの発表も興味深く、数千万人規模のアクティブユーザーを抱えておりすでにライトニング対応をしているCash Appが、どのようにライトニング入出金の安定化を実現化しているかという考察は参考になりました。また各ライトニング実装の特徴やトレードオフなどについての説明、チャネルステートのバックアップ時の注意点など具体的な話も一部出ていてよかったです。
総評とフィードバック
約1時間半の時間内で、それぞれ中々有用な発表が出来たと思います。
その上でビットフライヤーの人たちと軽くディスカッションや質疑応答もしたのですが、技術面だけの学習だけでは不十分で、やはりコンプラ、規制対応などの面のハードルが高く、そこがどうしても新規サービス設計や開発の難易度を上げてしまうなどのフィードバックももらいました。同様の意見はその他の事業者と話してても常に出てくる悩みではあるので、これは業界共通の悩みだとは思います。
この意見はごもっともとな部分が多いので、自分たちもDiamond Handsとして、もしくはビットコイン研究所の枠組みで国内の企業がもう少しビットコイン関連のプロジェクトを立ち上げやすい環境を整備していくことが出来ないか少し自分でも考えています。
その上で、コンプライアンスの話などはあれど、業界全体としてそもそも根本として「なぜこの業界で働いているのか?」そもそもビットコイン、もしくはWeb3でもいいんですが、何に本当に関心を持っているのか、最終的なゴールやビジョンが何なのかという熱意やミッション的な部分が全体としてかなり希薄化している気がしており、個人的には業界全体として突破力が低くなっているのはここらへんも小さくないと考えています。
社内勉強会では基本的にはビジネス視点からビットコインがどのように有用で、どのような事例があるか、どこにビジネスチャンスがあり、どのような技術を応用すべきか、国内で規制に準拠するにはどのような設計が考えられるか、など比較的実用的な話をすることを意識していますが、やはり最終的にはなんとなくでもビットコインに対する熱意やパッション、ミッション意識みたいなのも伝わると理想だなと個人的には思いました。
(まあ熱意はあるように見えるんだけど、冷静に考えると支離滅裂だったり、明確に間違っているパターンなどもあるので、別にただパッションがあればいい、というわけでも無いのは難しいですが…)
ビットコイン研究所での社内勉強会、企業向けサービスの取り組み
というわけでビットフライヤーさんでビットコインとライトニングに関する勉強会を実施する機会を頂きました、という話でした。
もしその他の企業でも同様にビットコインに関する社内勉強会を実施したい、もしくはこういう相談は出来ないか?ということがあれば、ビットコイン研究所の問い合わせフォームから気軽に連絡してください。
なお、今AndGoとDiamond Handsで共同で、社内勉強会などの対応も含めたビットコイン研究所の法人向けのサービスの拡充を準備しています。こちらも近く具体的な内容について案内できると思うので、特にビットコインやライトニングについてより体系的に効率よく情報収集、海外の最新事例や技術などについて理解したい国内関連事業者の人たちには是非オススメしたいです。