Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめ担当の練木です。
日本に戻ってきました。今年からベースとしているメキシコは、コロナピーク時でも陰性証明や隔離といった条件も設けずに外国人観光客を受け入れ続けた自由の国です。メキシコシティではまだマスク着用の人もいますが、地方や観光地はほぼノーマスク。先月1ヶ月間周遊したヨーロッパもノーマスクでした。
日本も晴れてコロナ関連の制限が全廃され、近々、外国人旅行客の受け入れも本格化すると聞きました。そのため、何の準備もせず帰国便に乗り、羽田に到着。ところが、降機しようとしたしたら、フライトアテンダントに静止され、「マスク、マスク」と捲し立てられました。「マスク?持ってない」と伝えると、しばし機内に足止め。フライトアテンダントがどこからかマスクを調達してきてくれたおかげで無事降機。やれやれと思いつつ、入国審査に向かうと、今度は帰国便搭乗前にDLして登録しないといけないアプリがあることを知らされます。「アプリをインストールしなくても済む方法はないのか?」聞くと、別室に案内され、壁に貼ってあるQRコードをスキャンして下さいとのこと。スキャンすると、検疫の質問票を入力するサイトに飛びました。「えっ」。このために荷物を引きずりながら10分も歩かされたの?なぜ降機ゲート、いや、空港のそこら中にQRを貼らないの?湧き上がる疑問を抑えつつ、質問票への入力を終えると、スマホに別のQRコードが表示されました。今度は、そのQRをさらに別室の係官に見せるようにと。思考停止して指示に従い続けます。その後も数カ所を経由し、やっと入国審査にこぎつけ、税関を通って到着ロビーに出られました。
空港を出て電車を待つ間、スマホに残されたQRコードのページを改めて見ると、入力内容も表示されていました。「えっ」。名前の入力が間違ってます。「照子」が変換ミスで「てっっっ」に。でも良いのです。入国できたのだから。電車に乗ると、もちろん乗客は100%マスク着用。私も一旦外したマスクを着用。
日本到着後、わずか1時間で一気に日本モードに切り替え完了。日本に帰ってきたんだなぁと実感しました。
Diamond Handsコミュニティは国内外の関連企業から支援してもらっています。ありがとうございます!
スポンサーには個別に情報共有やインプットをしたり、ニュースレターやレポート上などで企業ロゴを掲載させてもらっています。
ポンド急落を受け、英国でのビットコイン買いが急増
先週のニュースレターで、ポンドの草コイン顔負けの急落に触れました。その後、イングランド銀行が長期国債の買い入れに踏み切り市場安定化を図るものの、唐突な国債買い支えが年金基金の破綻リスクの大きさを露呈するなど混乱が続いています。
自国通貨がこのような危機に頻した時、あなたならどうしますか?何もできず不安を募らせる人が大多数だとは思いますが、とりあえず資産を価値保全機能に優れたものに避難させる人もいるでしょう。今回のポンド急落翌日には、ポンドによるビットコイン買いが、それまでの平均70Mから881Mに急増しました。
年初からの対ドル減価率がポンドと並ぶ日本円。もしかしたら、日本人も同じことを考えるのでは?と期待しましたが、裏切られました。USD, GBP, EURなど他の主要法定通貨と比べると、伸び率が低いだけでなく、絶対額も小さい…。急落したポンドと違って、日本円はジリジリ下げたから、危機感を持ちにくいのか。単にビットコインの特性が理解されていないだけか。金が買われているとか?実際、日本人がどうやって資産を防衛しているのか気になります。
米取引所Swanがウォレット事業者Specterを買収
Swan BitcoinがSpecter Solutionsの買収と、プライバシーとセルフカストディに関する技術のオープンソース開発に注力するSpecter Labsの創設を発表。
Swanはアメリカの取引所で、取り扱いはビットコインのみと正真正銘のビットコインオンリー企業。創業者兼CEOのCory Klippstenは、CelsiusやBlockFiが経営難に陥る1年以上も前からネズミ講、持続性を欠くと批判し続けていたToxicマキシとしても有名です。hodler育成のため、長期投資に適したドルコスト平均法を自動実行する定期積み立てや、自己管理を促すために自動引き出し(残高が予め設定したBTC数量に達すると自動で予め指定したウォレットに送金)を提供するほか、引き出し手数料は無料としてます。さらに、Swanのマキシぶりを象徴するのが、取引サイトにビットコインの「売り」ボタンがないことです。投資アドバイスではないと前置きしつつ、「ビットコインの長期的パフォーマンスの高さは実証済みで、売却は最適な投資判断とは言えないため」と説明しています。「ビットコインとビットコイナーにとっての最善を追求」を使命に掲げるSwanの爪の垢、大量の草コインを高頻度でトレーディングさせて収益を上げるカジノのような取引所に煎じて飲ませたいです。
一方のSpecterは、フリーオープンソースのウォレットを開発しており、個人で簡単にマルチシグが構築できるデスクトップウォレット、DIY式のハードウェアウォレット、企業向けのセルフカストディ・ソリューションを提供しています。
Swanは買収を介してウォレット技術開発をリードするSpecterと組むことで、初心者向けにはセルフカストディの参入障壁を下げるとともに、上級者が重視するプライバシー向上など、全顧客層がメリットを実感できるようUX改善を目指すとのことです。
SwanとSpecterは2019年にサンフランシスコで開催されたBitcoin 2019のピッチイベントに出ていて、私は両社のピッチを聞いていました。当時、Swanはアイデアのみ、Specterはハードウェアウォレットの実機デモを披露。それから3年、両社ともビットコイナーに愛される企業に成長し、各分野での強みを活かして協業することになったことは感慨深いものがあります。スタートアップの3年は実に濃いですね。
スイスのルガノ市、ライトニング決済導入を急ピッチで進める理由
昨年、ビットコインを法定通貨に採用したルガノ。Plan₿というプロジェクト名の下、市政府とTether社が主導する形で、ルガノを欧州のビットコイン拠点にするための多様な施策が実施されています。
今年7月にはPlan₿ Summer Schoolを初開催し、応募者500人超から選ばれた50人を対象に2週間わたって、Adam Backなどそうそうたる講師陣が技術、ビジネス、法規制など様々な角度からビットコインについてレクチャーしました。世界28カ国から参加者が集まりましたが、残念ながら日本からの参加はゼロ。来年はぜひ参加してほしいです。弊社Fulgur Venturesも講師として参加するなど協力しているので、興味ある方、ぜひお気軽にご相談ください。
また今月28、29日にはPlan₿フォーラムというカンファレンスを予定。登壇者には、お馴染みのビットコインオールスターのほか、WikileaksのJulian Assange夫人が含まれるなど、ビットコインだけでなく、言論の自由と経済主権をテーマとしています。
2,000人の参加が見込まれるフォーラムを前に、ルガノでは今、市内の商業施設へのライトニング決済用のPOS導入が急ピッチで進められています。フォーラムまでに250店舗をオンボードする予定とか。
ルガノ市がビットコインを法定通貨化し、ビットコイン拠点を目指す理由は、観光業振興、雇用促進、高スキル人材獲得です。こうした効果は、エルサルバドルでは徐々に統計などに現れ始めています。エルサルバドルが中南米やアフリカの途上国でのビットコイン普及に弾みをつけたように、スイスでビットコイン導入の経済効果が実証されれば、先進国政府のビットコインに対する認識も変わるかもしれないと思っています。ぜひとも成果を上げて、他国の政府自治体に紹介できる成功事例となってほしいです。
TBDとCircleがデジタル通貨の普及促進で提携
DEXプロトコルやWeb5の名の下で分散型IDプラットフォームを開発するTBDと、USDCを発行するCircleが提携を発表。決済と金融におけるデジタル通貨の利用を加速するため、業界標準と技術のオープンソース開発を進めるとのこと。
第1フェーズでは国際送金とウォレット、具体的には、アメリカとメキシコ間の即時かつ低コスト送金の実現と、ハイパーインフレや独裁政権下で暮らす人々が価値貯蔵手段として利用できるUSDペッグのステーブルコイン用のノンカストディアルウォレットを開発する計画。
ステーブルコインについての意見は様々です。個人的には、供給操作を介して価値操作が可能という致命的欠陥を抱える法定通貨にペッグしたコインに何の価値も感じず、ビットコイン普及の邪魔になるだけと切り捨ててきました。しかし、エルサルバドルなどの貯蓄する余裕のない人が日常決済にビットコインを使うことの難しさや、トルコなど通貨暴落と高インフレを同時に生きる人が手にした自国通貨を一時的に避難する先として、米ドルよりも購入しやすいUSDTが重宝されている現実を目の当たりにして、考えを変えました。長期的にはビットコインスタンダードへの移行というゴールは維持しつつも、移行のアーリーフェイズでは、特に途上国におけるステーブルコインが果たす役割は大きいと今では考えています。また、マーチャントへの導入も、いきなりビットコインだと抵抗感が大きいですが、ステーブルなら心理的障壁も低いよう(上記のルガノは正にこのパターン)。こうした意味で、TBDのようなガチなビットコイン企業がステーブルコインの利用普及に取り組むのも、急がば回れ的でありだと思います。
ビットコインコア、関連PJの最新情報
Bitcoin Optech Newsletter(日本語版)最新号でチェック。
データ・チャート
ビットコインに関する数値はダッシュボードでチェック。