Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめ担当の練木です。
今月はノマドらしく、ヨーロッパのビットコインが盛り上がっている都市を中心に転々とする予定です。先週末はラトビアの首都リガで開催されたHoneyBadger 2022というビットコインカンファレンスに行ってきました。参加者は約800人とマイアミの25,000人に比べると小規模で心地よく、テーマはレイヤー2、サイドチェーン、ドライブチェーンなどのスケーリングから、ベースレイヤーやウォレットのセキュリティ、ライトニングやコインジョインなどのプライバシー、途上国でのアダプションとユースケースまでバランス良く網羅され、普段追っていない分野のキャッチアップが効率よくできました。質の高いプレゼン、ビットコインが社会を良くすると信じて改善と普及に取り組む参加者との交流(プラス無料なのに美味しいコーヒーとランチとカクテル)に大満足。ただ不覚にも弊社Fulgur Venturesがスポンサーしてることを知らず、300ユーロのチケットを自腹購入したことが悔やまれます。
会場にはサングラス+マスク/スキーマスクで完全防備の人も多く、TwitterやTelegramのアカウントに実名を使っている私はOpSecがなってないと思われるんだろうなと、連絡先交換の時、ちょっと恥ずかしかったです。一方で、こういう人と真顔で議論する自分は大丈夫なんだろうか、かなり異次元に入り込んでしまったなぁとも。
個人的に特に面白かったのは、ドライブチェーン議論と2,100万BTC発行後のマイナーインセンティブについての議論です。ラズパイ+Umbrelでライトニングノードを運用している人には、Warren Togamiの”Lightning: You're Doing Everything Wrong(ライトニング:君のやってることは間違いだらけ)”をお勧めします。カンファレンスのトークはYouTubeに上がっているので、ぜひご覧ください。
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イランが輸入品の決済手段としてビットコインの使用を認可
イランのビットコインに関する方針は、これまで一貫性を欠きましたが、今回は従来の通達ベースとは異なり、ビットコインの法的位置付けを明確化する新法を定めた上で決済手段として認可していることから、国としてビットコインを禁止するより、受け入れるのが得策との結論に至ったということなのでしょう。
核をめぐりアメリカが一方的に経済制裁を加えたせいで、国際決済のデフォルト通貨である米ドルを入手できなくなり、ビットコインを使わざるを得ないのが実情かもしれません。同様の法案を審議中と報じられたロシアも似たような状況では?
アメリカが特権的地位を利用して国際決済ネットワークを私物化、武器化し、気に入らない国のアクセスを拒む。排除された国は代替案を模索してビットコインにたどり着く。”bitcoin is money for enemies(ビットコインは敵に好都合なお金)”と言います。ベースレイヤーが持つパーミッションレスと検閲耐性という特性は、どんな極悪人でも善良な市民と同様に決済を行えることを意味します。そのため、ビットコインを早期導入するのは北朝鮮などの独裁国と言われてきました。そして、こうした国がビットコインで利するのが許せない欧米諸国は、ビットコインへの嫌悪と圧力を強める。2018年頃に Vijay BoyapatiやNic Carterが予測していたことが、一部現実味をおびてきました。
ナイジェリアがビットコイン経済特区を計画中
ナイジェリア政府がドバイをモデルに、ビットコインとクリプトの経済特区創設に向けてBinance、Talent Cityと協議中であることを公表。
ナイジェリアはビットコイン普及率で世界トップ10入りするビットコイン先進国。中央銀行は、昨年、金融機関に対してビットコインの取り扱いを禁じる通達を出したものの、逆にP2P取引が27%も増加するという皮肉な結果に。
抑え込めないのであれば、逆に利用して国益を最大化しようということなのでしょうか。計画が実現し、目に見える成果が上がれば、追随する国も出てくると思うので、ぜひうまくいってほしいです。
TBDがWeb5開発進捗を報告
Web3を嘲笑うかのように、Jack DorseyのTBDが6月に発表して話題となったWeb5の続報が入ってきました。
Web5の中核コンポーネントとなるSelf Sovereign Identity(SSI)についてTBDの考えやゴールを説明し、オープンソース、コミュニティドリブン、スタンダード準拠のソフトウェア開発のための環境整備と、SSI SDK、SSI サービスという2つのプロジェクトが進行中であることを報告。SSI以外にもDecentralized Web NodesとIdentity Wallets開発にも着手したと。
タイムラインも公開され、来年1月1日までにSI SDKとSSI Serviceのベータ(0.1.0)版がリリースされる模様。
Web5が冗談か本気かわかりませんでしたが、ここまで詳細な記事が出てきたので本気なのでしょう。GoogleやFacebookのアカウントでいろんなサービスにログインできるように、将来的にはSSIでのログインも可能になるということですよね、SSIが普及すれば。一通り読んだものの、非開発者には正直ピンとこないので、誰かが日本語解説記事を書いてくれることを期待。
マイニングプールPoolin、債務超過の可能性
ハッシュレート(HR)の10%を占める業界第4位のPoolinが出金を凍結。別プールへのマイナー流出が相次ぎ、HRは3割減。債務超過の理由は定かではないものの、3ACやBlockFiとの協業が関係しているかもと。
マイニングプールはカウンターパーティ・リスクを伴うことを認識し、最低出金額を下げてまめに出金するほか、予め複数プールにアカウントを作成し、万が一の時にダウンタイムを最小限に抑えてスムーズな移行ができるよう準備しておくことが大事です。
KYCなし、スマホでビットコインをP2P取引できるアプリPeach
HoneyBadger 2022に合わせて、新商品ローンチの発表が相次ぎました。中でも個人的に気になったのがコレ。
これまでもBisq、 Hodl Hodl、RoboSatsなどKYCなしでビットコインをP2P取引できるサービスはありましたが、モバイルアプリは初では?残念ながらヨーロッパ限定なので利用できませんが、1000スイスフラン(約14万円)までならKYC不要、初心者向けに使いやすさを優先したUXUI(テスターからはTinderのようとのコメントも)、手数料は1.5~5%とKYCフリーにしては低め。Google Play、AppStoreと同じメアドをログインIDに使う必要がありますが、匿名性やプライバシーにそこまでこだわらない人なら抵抗ないのでは。
私は最近RoboSatsを使っていますが、時間帯によっては閑散としていてtakerが現れないこともあります。Peachはヘッジファンドが流動性を提供している上、スマホアプリなのでPCの前で待ち続ける必要がないのは良いですね。今はオンチェーン限定ですが、ライトニング導入も進めているので、将来的にはRoboSatsの競合になります。
ノーコイナーをオレンジピルするプロセスのペインにオンボーディング、最初のビットコインの入手があります。Peachはこのペインを解消します。
日本も少額購入のKYC免除や、少額決済の非課税化などが実現すれば、ビジネスチャンスもビットコイナーも増えるんじゃないかと思いますが、どうなんでしょう。
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