韓国のビットコイナーは日本よりハードウェアウォレットを活用しまくってて危機感を持っています。
みなさまごきげんよう。
久しぶりにこちらのニュースレターで記事を書きますが、今回はハードウェアウォレットについてです。今深夜にこの記事を書いているのですが、勢いで書き殴っていきます。
さて、タイトルにある通り、最近韓国でのパートナーBitcoin Social Layerと実施したユーザーアンケートで韓国のビットコイナーの傾向がわかってきて、それに驚きと危機感を感じているという話をサクッとします。
細かい話をする前に初心者にも対応したハードウェアウォレットに関するセミナーを7月9日にTBBで開催することを告知しておきます。(記事後半で詳細は再告知)
もしもに備えるビットコインセキュリティ入門
こちらの記事を読めばなぜハードウェアウォレットについてもっと知っておくべきなのか?危機感が湧いてくること請け合いなので、こちらのイベントなども是非積極的に参加してください。
韓国のビットコイナーでハードウェアウォレットが重視されまくっている件
というわけで本題に入りましょう。
まずこちらをご覧ください。
こちらは韓国のビットコイナーのモバイルビットコインウォレットのマーケットシェアですが、Blueが約50%ほどのシェアで第一位。BlueWalletは日本でもシェアでは一位だったので、それ自体はそこまで違和感はなかったのですが、Nunchukがなんと40%のシェアで第二位につけています。
Nunchukはハードウェアウォレットとの連携やマルチシグの作成に特化したアプリなのですが、日本では数%以下のシェアしかなく使っている人も玄人以上の人たちが多い印象なので、実に4割くらいの韓国ビットコイナーがNunchukを使っているのは驚きました。日本とは傾向が全く違いますね。
ではなぜ韓国ではBlueWalletとNunchukがこんなに高いシェアを持っているのか?
これはモバイルビットコインウォレットに求める条件というアンケートで面白い結果がでました。
実に9割くらいの人がモバイルビットコインウォレットを選ぶ上で、「エアギャップ機能」を「絶対に必須」と考えていると回答しています。これは他の項目と比較しても最も高い割合でした。
このエアギャップというのは、要はハードウェアウォレットとモバイルウォレットを接続し、インターネットに接続しない形で安全にビットコイントランザクションを生成する機能です。
このエアギャップというコンセプトは現状ではColdcardやJadeなどのビットコイン特化のハードウェアウォレットでしか対応していないのですが、何と韓国では比較的カジュアルなビットコインユーザーも、このハードウェアウォレットを使ったエアギャップ機能をかなり活用しているということがわかりました。
つまり、韓国のビットコイナーにとってモバイルビットコインウォレットはハードウェアウォレットと接続するためのアプリとしての認識が強いようです。
これは日本とは全く違う傾向です。
日本ではハードウェアウォレットの保有者の割合は年々下がってきている気がしており、ビットコインをメインに保有しているユーザーでもハードウェアウォレットを使ったことがないユーザーはかなり多いですし、興味はあるけどやり方もわからないし、ということで使っていない人も散見されます。
なぜ韓国ではハードウェアウォレットが普及して、日本は逆方向に行っているのか?
なぜ日本と比較して、韓国のビットコイナーの間ではエアギャップやハードウェアウォレットの利用がここまで進んでいるのでしょうか?
理由は色々あると思いますが、主に二つです。
一つは現地のビットコインコミュニティの人たちがハードウェアウォレットやセキュリティに関する海外の文献を韓国語に翻訳する作業を熱心にやっていること。
一方、日本では2017年、2018年以前は大石さんや自分など、ビットコイナーの中でもハードウェアウォレットに関する発信をしている人がまだいた気がしますが、その後自分も含めてその動きが一周してしまって、ハードウェアウォレットに関して積極的に海外の文献を翻訳したり、発信をする人たちが残念ながら減ってしまっていたことがハードウェアウォレットの普及率が以前よりむしろ落ちてしまった要因の一つして挙げられそうです。
そしてもう一つは韓国は近年取引所などがGoxして大損をする人たちが大量に発生する事件が起きたことで、取引所などを信頼せず自分でセルフカストディした方が安全という認識が広まったからだと考えられます。
具体的には2022年に起きた韓国を震源としたLuma /Terraの崩壊、そしてその後に発生したFTXの崩壊で、韓国の投資家は相当な打撃を受けた人が多くいたようです。
一方日本ではFTX Japanに資金が移管していたこともあり、大部分の日本のユーザーは分別管理の規制に守られて、大部分のユーザーは直接的な大きな被害は受けなかったことなどがあり、ヒヤリ的な事件はありましたが、取引所に預けておいても何かあってもお金帰ってくるから大丈夫でしょ?という認識が広がってしまっているのもハードウェアウォレットの活用が下がってきている要因の一つだと思います。
取引所のGoxでユーザーに被害が出ていないのはラッキーも含めてむしろ喜ばしいことだとも思いますが、同時にセルフカストディや、ハードウェアウォレットへの需要を下げてしまっているという功罪もあると言えそうです。
日本人ビットコイナーはどうすればいいのか!?
韓国はハードウェアウォレットの普及や理解度で日本を超していることがわかってきたと思いますが、じゃあそれがどうしたと言うのか!?
答えはただ一つ。日本人のビットコインユーザーや投資家もハードウェアウォレットについて改めてちゃんと学びなおした方がいいです!
いや、でも取引所置いておけば安全だし、わざわざお金払ってまでハードウェアウォレットなんて使う意味ないのでは?
断言します。FTXやDMM、Bybitなど最近あったGox事件でもなんだかんだユーザーにお金は帰ってきましたが、そのうち残念ながらユーザーへの資金返還が行われないGox事件がそのうち日本でもまた起きると自分は予想しています。
そうなった時に初めてハードウェアウォレットなどでの管理の重要性に気づく人たちも出てくるとは思いますが、最低でもハードウェアウォレットに関するリテラシーを鍛え、資金の全てではなくてもいいですが一部はハードウェアウォレットなどでセルフカストディをできる状況を作っておいた方がいいです。
というわけで、上記の話を聞いてハードウェアウォレットについてもう少し勉強した方がいいかも?と思いましたか??
そこでこの7月9日のイベントですよ。
こちらのイベントはJade Plusを実際に使いながら、ハードウェアウォレットの基本や複数プロダクトの比較や運用の注意点などについて優しく説明してくれるイベントです。TBB主催、Lightning Baseが協賛していますが、自分で言うのも何ですが正直こんなありがたいイベント無料で参加できるようにして優しすぎでは?と思います笑
ちなみに、自分がBlockstreamと今仕事をしていてJade Plusの販売などもしているのでこのセミナーではJadeを使用しますが、内容としてはハードウェアウォレット全般に当てはまることですし、正直ハードウェアウォレットに関する理解度を高めるのがまず第一優先で、Jadeを無理して買う必要性も別にないです。
というわけで、こちらのイベント以外でも自分でももう少しハードウェアウォレットやセルフカストディに関する発信は今後少しづつ増やしていく予定ではありますが、ビットコイナーであれば、というかクリプトユーザー全般にもあてはまりますが、ハードウェアウォレットくらいは使いこなせないと危機感持った方がいいよ、という話でした。
少なくともお隣韓国では日本より危機感はもっと高いようです。
ではまた次回(深夜のテンション)