皆様年末はいかがお過ごしでしょうか?
中華圏の新年は2月の春節なので日本のような年末感がそこまでないのもあり、自分は普段通りの生活って感じです。なお大晦日は自分は格闘技のRizinとBellator対抗戦を見て今年は過ごすつもりです笑
年末はこの一年を振り返るいい機会なので、ライトニングに関して今年起きたことで自分が重要だと思っているニュースやトレンドについて自分の記憶ベースでせっかくなので振り返ろうと思います。今回はまずは海外編で、明日国内編、特に今年のDiamond Handsの活動を振り返る記事を出して、Diamond Hands Magazineのニュースレターは今年はこれで納めます。
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重要リンク集💎🙌
Diamond Hands Wiki (ライトニングやルーティングに関するリソース集)
Lost in Bitcoin(ビットコイン学習リソース集)
2022年ライトニング重大ニュース
Cash Appのライトニング対応
アメリカで人気の金融、送金サービスのCash Appが全面的にライトニングに対応したというのはかなりインパクトのあるニュースだったと思います。
Block社が提供するCash Appは元々簡単にユーザー間での送金や株式購入などを出来るようにするサービスで、2022年時点でユーザー数が5,000万人いる巨大サービスです。
Block社はご存知のJack Dorsey率いるアメリカの上場企業で、ビットコインにかなりフォーカスするスタンスをとっています。それもあってCash Appもビットコインだけしか取り扱ってないのですが、そこがライトニングにも対応した意味は日本でももっと理解されてもよいと思います。日本でいうとPaypayとかLine Payがライトニング対応した、くらいのインパクトの話かもしれません。
Cash Appのライトニング対応は認知を上げるという意味でも重要ですが、何より今後ライトニング関連のサービス設計をする上でCash Appからの潜在的なユーザーフローに訴求できるという部分でも重要だと思っています。
これは2022年時点ではそこまで大きな動きには繋がっていないですが、ビットコインやライトニングにとって来年以降重要なファンダメンタルになっていくと自分は予想しており、今後の動きにも注目しています。
Bitcoin Beachインスパイアプロジェクトが世界中に出現
2021年のビットコイン関連の最重要ニュースの一つがエルサルバドル(ES)のビットコイン法定通貨化でしたが、ESのビットコインビーチに触発されたプロジェクトが世界各地で複数生まれ始めている、というのも今年の重要トレンドの一つです。
自分も全部把握しているわけではないですが、スイスのルガーノ市の取り組み、フィリピンのビットコインアイランド、ベトナムのビットコインビーチプロジェクト、他にも先日フルグルのてるこさんも視察に行ったグアテマラのビットコインレイクプロジェクト、他にもアフリカもビットコインやライトニングの普及が加速しているという話は結構聞きます。現地のコミュニティを中心にライトニング決済が出来る店舗を特定の地域で一気に増やすことで、観光客やビットコイン関連事業者の誘致や地元経済の活性化を目指すプロジェクトがボトムアップな形で次々と生まれているようです。
それぞれのプロジェクトは比較的小さなものでそこまで大きな経済効果が現状あるわけではないですが、この中にはエルサルバドルのように大きな事例につながるものが出てくる可能性もありますし、ビットコインの普及活動はこういう草の根活動をコツコツやることがなんだかんだ正攻法、という感じで初心を思い起こさせてくれる部分もあります。
ちなみに日本でも同様の動きはそのうち出てくるんじゃないかと個人的には予想(希望)していますが、税制などの制度的な部分が日本はその他の国と比べると現実的障壁になりそうです。
Strike型のサービス群の出現
ボトムアップでライトニング決済の普及が少しづつ進んできているトレンドにも関係しますが、Strikeのように銀行や法定通貨とライトニングのビットコイン送金を混ぜたハイブリッド型のサービスがアメリカ以外でも少しづつ出てきおり、そしてそれらのサービスが横につながっていくトレンドが2022年に起きています。
例えばアメリカから中南米、もしくはアフリカへの国際送金の手数料やスピードをライトニングやビットコインを極力意識させない形で、劇的に改善するユースケースの実例が出始めています。
こちらもすぐにものすごく大きな経済効果が生まれるわけではないかもしれませんが、目に見える形でライトニング決済が現状の非効率的なシステムの問題を解決し始めている事例が出てきたのは大きいと思いますし、順調に進んでいけばこのあたりの国際送金のユースケースは来年のライトニングのモーメンタムを強力にプッシュする材料になりえると思います。
StrikeとBitnobの連携でライトニングを介したアメリカからアフリカへのスムーズな国際送金が実現
Taroの公開とライトニング上でのトークン利用
Lightning Labsが今年お披露目したTaroへの注目が今年後半に集まりました。
TaroはTaprootを利用したトークンプロトコルで、ビットコインとライトニング上でスケーラブルで実用的なトークン利用の実現を目指すものです。主なユースケースとしてはステーブルコインをライトニング上でビットコインと同じ要領で送金する、というのがイメージしやすいですね。
Taroの競合というか、一部似たような機能をビットコインとライトニング上で実現しようとしている他のプロジェクトにRGBというプロトコルもあり、Diamond Handsでは実はこちらのRGB関連のプロジェクトにも今取り組んでいます。
個人的には意識的にどちらにもニュートラルな見方をしようとしていますが、Taroが出てきて注目されたことで、2つのトークン関連プロトコル間でいい意味での競争が起きており、双方の開発スピードも今年一気に上がってきている感覚はあります。
そういう意味で「良くも悪くも」の部分もありますが、ライトニングはビットコインの高速安価な送金だけでなく、トークンやスマートコントラクトを実行するための土台としても今後活用されていく、という予感や将来性が認知されてきているというのが今年後半の重要ニュース、トレンドの一つだったのは間違いないと思います。
ちなみにRGBとTaroのそれぞれの仕組みや違い、適したユースケース、今後の展望などについてまとめたレポートを現在Diamond Handsとして絶賛作成中で、こちらは1月に公開予定ですので、詳しくはそちらを見てください。
RGBとTaro、一歩下がってそもそもビットコイン上でのトークンユースケースのメリット、デメリットなどの概観をするレポートですが、英語圏も含めて同様のまとめはまだ存在していないので有用な資料になると思います。
ビットコイン、ライトニングとその他のクリプトとのデカップリング
もう一つ、ライトニングに関して今年地味に重要なポイントが、ライトニングの開発や普及のパターンやトレンドが、イーサリアムを中心としたその他の「クリプト」や「Web3」などとかなり分離されてきていることだと思います。
ビットコインとその他のクリプトの違いについてはFTXの事件の後にもDiamond Hands Magazineでも一部考察していたので、是非何度でも読み返して欲しいですが、それを直感的に感じる理由の一つにライトニングの成長が実はあります。
御存知の通り2022年はクリプト市場全般ではかなり辛い1年で、Lunaの崩壊、FTXの破産、それに伴うクリプトバブル崩壊による全体の仮想通貨価格の急激な下落など、あまりいいニュースは正直多くなかった気もします。2022年の前半を引っ張ったNFTの売上高なども最高値から多分8−9割以上落ちていますし、DeFiのTVLもドル建てだけではなくETH建てでも減少しています。
それらに対してライトニングの合計キャパシティ数は今年1年でBTC建てでも伸びていますし、いわゆるクリプトの投機需要とは別の次元で普及や開発が進んでいるのが印象的な一年でした。
これは現状ライトニングは支払いに関するネットワークであり、ライトニング上のキャパシティの成長は投機というよりは、上述のような国際送金や取引所間送金などの送金需要に依存している部分が強いからだと思います。
なのでマーケットトレンドにより急激に上がったり下がったりするものではなく、利用用途や受付サービスが広がると共に、来年も相場にあまり影響されない形で着実に広がっていく、クリプトの世界とは違う成長曲線を描きそうだ、というのがさらに明確になった一年でもあると思います。
他にも色々重要ニュースはあったと思いますが、自分の記憶と印象ベースでは以上です。
明日はDiamond Handsの活動とライトニングの国内の動きについてカジュアルな投稿をするので、そちらも見ながら良いお年をお過ごしください。