Diamond Hands Magazine、水曜日のビットコインニュースまとめ担当の練木です。
先週のリガから、今週はUKに移動しました。エリザベス女王の死去でロンドン中心部で渋滞が激しくなったりと多少影響を受けていますが、予定通り旅程をこなしています。
5年ぶりのUK、至る所で円安とインフレの洗礼を受けています。もともと物価が高い国でしたが、今回はさらに高い。スタバのトールラテが666円、パブのフィッシュ&チップスが2,300円はまだ許容できるとして、バーガーキングのワッパーチーズのセットが1,800円、ガソリンはリッター300円。15,000円では大したAirbnbには泊まれません。4月のマイアミに続き、購買力の低下を痛感。今の状況が一時的とは思えないので、この痛みには慣れるしかないと観念してますが、辛い。
Diamond Handsコミュニティは国内外の関連企業から支援してもらっています。ありがとうございます!
スポンサーには個別に情報共有やインプットをしたり、ニュースレターやレポート上などで企業ロゴを掲載させてもらっています。
カナダ最大野党の新党首はビットコイナー
カナダ保守党の党首選で、ビットコイナーを自認するPierre Poilievreが圧勝。Trudeau現首相を自由を剥奪する独裁者と批判し、ビットコインに対する理解や時間選好の低さを示す国会答弁やtweetをするなど、以前からビットコイナーの間では注目されていた政治家です。世界中に蔓延する通貨膨張中毒を歴史上繰り返された事例になぞらえて不可避な結末を説明する10分間の熱い国会答弁は実に爽快。
Trudeau首相の人気も賞味期限が近づいてる感があるので、次期首相はビットコイナーというのも、あながち夢物語ではないかもしれません。
11月に中間選挙を控えるアメリカでも、ビットコイナーのBruce Fentonが上院議員に立候補したほか、Cynthia Lummis、Ted Cruzなどビットコイン支持を明確に表明する政治家が複数います。ビットコイナーであることが政治活動においてマイナスではないこと、有権者としてビットコイナーの存在感が高まっていることの表れで、ビットコインのアダプションが着実に進んでいることの証。Web3を国家戦略に掲げる日本とは状況がまるで違うということです。
Coinbase、米財務省のTornado Cash制裁に抗議する訴訟を資金援助
Coinbaseは制裁が合法的にサービスを利用する市民に資産凍結など被害を与えていること、暗号資産をプライバシーを保持しながら安全に利用する権利を侵害すること、開発者を萎縮させてイノベーションを阻害するものとして問題視しており、財務省による制裁は越権行為とする訴訟人を資金援助することを発表。
制裁が解除されなければ、Coinbaseは制裁対象のTXを検閲せざるを得ず、スラッシングのリスクを抱えます。CEOのBrian Armstrongは「検閲するくらいならステーキングサービスを停止する」と投稿しましたが、そんなことは株主や取締役会が容認するはずはなく、制裁解除はCoinbaseをはじめとするCEXやカストディアンにとっても死活問題。
ビットコインもTornado Cashと同じオープンソース・ソフトウェアであり、制裁は対岸の火事ではないので、この件は引き続き関心を持ってフォローしていきます。
Jack DorseyとJay-Zが取り組む金融包摂と格差縮小
Jack DorseyとJay-Zがニューヨークの貧困地区の住人にビットコイン教育を無償提供するために創設したBitcoin Academyの第1期生が12週間のカリキュラムを修了。修了者全員にJack DorseyとJay-Zから1,000ドル相当のビットコインが贈られました。
Bitcoin Academyの目的は金融包摂と貧困の連鎖を断つこと。治安の悪い貧困地区で暮らす人は常に身の危険と隣り合わせのため、自然と時間選好が高くなり、犯罪に走る傾向が高いです。ビットコインという健全な貨幣制度の仕組みを理解し、時間選好を下げて長期的視点で物事を考えるようになることで、人生を好転させることができればという、同貧困地区出身のJay-Zの願いが込められたAcademyで学んだことと、修了お祝いのビットコインを活かして、ぜひ社会に価値を提供する生産的な人生を歩んでほしいです。
エルサルバドルのビットコイン教育事情
ビットコインを法定通貨にしてから1年になるエルサルバドルで、Bukele大統領夫人が指揮する教育改革My New Schoolイニシアティブがスタート。その一環で、子どもや若者向けのビットコイン教育を担う教員16,000人を養成することを発表。第1弾として、8歳以下の子どもにビットコインを教える2,500人のトレーニングを開始。
法定通貨化したものの、なかなか国民の間に定着しないビットコイン。官製ウォレットChivoの出来の悪さもありますが、最大要因は不十分な教育だと考えられています。その意味で、今回の発表には期待が高まります。
アダプションの肝である教育を政府だけには任せておけないと、ビットコイン関連企業による教育プログラムも複数進行中。IBEX mercadoがスポンサーするMi Premir Bitcoinは、38の公立高校で10週間のビットコイン教育を無償提供しています。以下、教科書らしいですが、楕円曲線暗号など結構テクニカルなことも教えているみたいですね。
コースを終了した生徒は教育省公認の修了証書を手にします。先週も60人の高校生が修了証書を受け取りました。嬉しそうですね。こうした小さな達成感を覚えると、他のことにも意欲が湧いてくるのでは。
Mi Premir Bitcoinは運営費の寄付を常時募っています。50円からライトニングで寄付できるので、ライトニング送金の練習として寄付してみてはいかがでしょうか。
教育は効果が見えるまでに時間がかかりますが、ビットコインのアダプションに関して言えば、最も効果的で、実は一番の近道。法定通貨制度に毒されていない、頭の柔軟な子どもや若者をターゲットとした教育の成果は、きっとアダプションの数値にも表れるはず。まだまだ問題が山積のエルサルバドルですが、こうした地道な活動を粛々と進めて、後に続く国のお手本となってほしいです。
人権団体がビットコインPJに325,000ドルを寄付
アメリカの人権団体Human Rights Foundation(HRF)がビットコイン関連PJに325,000ドルを寄付。HRFはこの2年間で総額150万ドル以上をビットコインの開発とアダプションを進めるPJに寄付しています。
今回の寄付先は、BTCPay Server($100,000)、コア開発者 Jon Atak($50,000)、Fedimintの開発者Josh Kitman($50,000)、DIYハードウェアウォレットSeed Signer開発者Keith Mukai($25,000)、NGO向けにビットコインで寄付を受ける方法をガイドブックにまとめたジャーナリストLeigh Cuen($25,000)、ライトニングを使ったビットコインのP2P取引プラットフォームRobosats($25,000)、ロシアの独立ニュースサイトNovaya Gazeta($25,000)、ブラジルでコア開発者を育成するR&D拠点Vinteum Initiative($25,000)。
なぜ人権団体がビットコイン開発を支援するのでしょうか?ビットコインが独裁政権、金融的抑圧、ハイパーインフレ、貧困からの逃避手段として使われているためです。ビットコインと人権擁護の関係が日本でクローズアップされることは皆無ですが、世界では実需のあるユースケースとして認識されています。このトピックについてご興味があれば、手前味噌で申し訳ありませんが、ビットコインの歩き方: 世界の今を知るとビットコインが見えてくるをぜひ読んでみてください。
ビットコインコア、関連PJの最新情報
Bitcoin Optech Newsletter(日本語版)最新号でチェック。
データ・チャート
ビットコインに関する数値はダッシュボードでチェック。